願い下げ
《サイド:常磐成美》
………。
何が起きたのか分かりませんでした。
ですが私の足元に鎌田さんが倒れているのは確かで、
その理由が私のようです。
突然発生した光。
『バリバリ』と音を立てた不思議な力で鎌田さんは倒れたからです。
どうしてそうなったのかは分かりません。
どうして助かったのかなんて、
私にも分かりませんでした。
「成美ちゃんっ!大丈夫!?」
慌てた様子で駆け寄ってくれた栗原さんは、
心配そうな表情で私を見てから制服の上着を貸してくれました。
「とりあえず怪我はなさそうね。」
服が破かれていたので恥ずかしかったのですが、
制服のボタンをとめてくれた栗原さんのおかげで少し気持ちが楽になりました。
「あ、ありがとうございます。」
「いいのいいの、気にしないで」
私には笑顔で接してくれるのですが、
足元で倒れている鎌田さんには冷たい視線を向けています。
「女の子の服を切り裂くなんて…ホントに最低の男ね。」
…ですね。
私としては恥ずかしいとかそういうこと以上に、
お母さんに用意してもらったお洋服がダメになってしまったことのほうが問題なのですが、
ひとまず栗原さんは私の手を引きながら鎌田さんから離れました。
「本来なら怪我人は平等に助けてあげたいところだけどね。この馬鹿だけは願い下げよっ!」
はっきりと否定してから重傷の鎌田さんを置き去りにしています。
確かに私としても助けてあげたいかどうかと聞かれたら素直に「はい」とは言えません。
おそらく栗原さんにしても、
医師として怪我人を助ける役目があっても性格に問題がある人とは関わりたくないのだと思います。
「馬鹿は死ななきゃ治らないって言うしね。」
…そうなのでしょうか?
どういう理由でそういう考えになるのかさえ私にはわかりませんけれど。
鎌田さんから離れる私達に、
御堂さんが駆け寄ってくれました。
「成美ちゃん、怪我はないかい!?」
「えっ、あ、はい。大丈夫です。怪我はないんですけど…」
お母さんに用意してもらった喪服が破れちゃいました。
もしかして、お母さん怒るかな?
それとも心配するのかな?
ただでさえお姉ちゃんが亡くなったことを知って落ち込んでいるのに。
…これ以上、不安な思いはさせたくないな。
そんなふうに思う私を眺めていた御堂さんが栗原さんに話し掛けていました。
「ごめん、栗原さん。しばらく成美ちゃんを見ててくれないかな?」
「いいけど…」
「ごめん。よろしく」
栗原さんが返事をするよりも早く、
御堂さんは私達に背中を向けてから別の人に捕らえられているもう一人の女性に振り返りました。
「里沙!すぐに助ける!」
御堂さんが声をかけていたのですが。
実際に行動に出る前に再び誰かが近づいてきました。
「御堂…っ!!お前がいながら、この様は何だっ!!」
怒鳴り声を上げながら私達に近づいてきたのは一人の男性です。
明らかに怒っていると分かる表情で、
見たことのない男性が御堂さん駆け寄ってきました。




