聖剣アルビオン
《サイド:近藤悠輝》
…ちっ!!
舌打ちをしながら慌ててルーンを構える。
予想していなかったとは言わないが、
まさかこんなところで『奴ら』に襲撃を受けるとは思っていなかったからだ。
「くそっ!こんなところで竜の牙だとっ!?」
ここはミッドガルムの領土だからな。
ミッドガルム軍に襲われるのなら理解できるが、
竜の牙に襲われるとは思っていなかった。
そのせいで俺が率いていた部隊はすでに壊滅状態だ。
共和国と敵対する竜の牙によって、
調査部隊は全滅を迎えようとしていた。
「こんなところで…っ!」
100人を越える死者を出して、残る仲間は数名のみ。
この状況で200を超える竜の牙と戦うのは不可能だ。
魔術による突然の奇襲を受けて驚くほどあっさりと瓦解した直後に、
竜の牙が容赦なく襲いかかってきた。
「もはや、ここまでか…っ!」
絶望を感じて唇を噛み締めてしまう。
そんな俺すぐ傍で最後の仲間も倒れてしまった。
「隊長…すみません。」
謝罪の言葉を残して力尽きる仲間の最後を見届けながら必死にルーンを握り締める。
「くそぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
最後の一人になった俺を竜の牙が取り囲んできた。
…俺はここで死ぬのか?
…兄貴に届かないまま死んでしまうのか?
いつかは越えて見せると願っていた兄貴に届く前に死に直面することになったようだ。
…いや!
…例え死ぬとしても、このままでは終わらない!!
200人の魔術師に取り囲まれた状況でも気合を入れ直して誓いを立てる。
…一人でも多くの敵を倒して仲間の無念を晴らして見せるっ!!
最後の抵抗としてルーンを振りかざしたその直後に。
…なんだ!?
突如としてルーンに異変が起きた。
光り輝くルーン。
まばゆい光に包まれたルーンは形を変えて別のルーンに変化する。
「なっ!?」
戸惑う俺の手にあるのは新たなルーンだ。
それは扱い慣れた武器ではなくて、
ずっと憧れを抱いていた剣だった。
いつかは越えたいと願っていた剣。
そのルーンの名は…聖剣アルビオン。




