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いらだち
《サイド:北条真哉》
…ちっ!
今回は偶然、二人の姿に気付いてしまった。
メシを食うために、
どこかに空いている席がないかと探している途中でたまたま二人の姿が目に入ったからだ。
………。
食堂で見かけた天城総魔と翔子。
いつもなら遠慮無く近付けるんだが、
今の心境ではただそれだけのことが出来なかった。
…馴れ合うわけにはいかねえだろ。
明日の試合で戦う予定のあいつがいるんだぜ?
その隣で仲良く食事ってのはどうなんだ?
そんな疑問を感じたからだが、
それ以上に二人の雰囲気に割って入る気になれなかったってのが本音だな。
…気に入らねえ。
自然といらだちがこみ上げてくる。
すでに総魔を憎んではいねえが、
昨日まで仲間だったはずの翔子が俺達から離れてあいつの隣にいるんだぜ?
そのことが気に入らねえと思う気持ちが心の中に確かにあった。
…とは言っても。
この状況は翔子自身が選んだことだ。
あいつを恨むわけにはいかねえってのは分かってる。
「…しゃあねえか。」
ざわつく心を無理やり忘れて、
一人で食事を済ませてから早々に食堂を後にすることにした。




