生きていけるように
《サイド:常磐成美》
あの日はもう…何もする気になれませんでした。
一日中泣き続けて。
どうすることも出来なくて。
ただただ泣いていたんです。
そうして一日中泣き続けて、
泣き疲れてしまった私そのまま眠りについていました。
そして翌朝。
目が覚めた時に異変に気付いたんです。
自分の瞳に起きた奇跡に気付くことができました。
「一晩中泣き続けて…。泣き疲れて眠って…。気が付いた時にはもう朝でした。」
あの日の驚きは、
今でもはっきりと覚えています。
「朝になって目が覚めて…起きようとした時に生まれて初めて『眩しい』って思ったんです。」
どうしてなのかは分かりません。
…ですが。
私は光を知りました。
見えなかったはずなのに。
ずっと治らないと思っていたのに。
「何故か光を感じることが出来るようになっていたんです。」
理由なんて、私にも分かりません。
いつもと同じように目覚めて、
いつもと同じように暗闇の世界を生きていくはずでした。
…なのに。
突然、奇跡が訪れて、
『瞳』に『光』が宿ったんです。
奇跡の理由も目が見えるようになった理由も分かりません。
ですが。
それでも私は思うんです。
「どうして見えるようになったのかは分かりません。でもきっと…お姉ちゃんと翔子さんが奇跡をくれたんだと思います。」
はっきりとした理由なんてありませんけど。
…それでも。
「二人が私を想ってくれているって感じることができるんです。私を見守ってくれているって思えるんです。」
そう思えるから。
だからこれからは一人でも生きていけると思っています。
私にとって大切なお姉ちゃんと翔子さん。
最愛の二人の死によって、
孤独と絶望を感じたことは事実です。
ですが。
瞳に宿る二人の『優しさ』が感じられる限り、
絶対に一人ではないと思えるんです。
二人が見守ってくれていると信じることが出来るから。
だから私は一人になっても生きていけると思えました。
…例え二人の支えがなくても。
瞳が見えるのなら、
自分の力で生きていけるはずです。
そう思うことで強くなろうと考えていたんです。
「きっとこの瞳は…二人が治してくれたんだと思います。私が一人でも生きていけるように…自分の力で生きていけるように…きっとその為に『光』をくれたんだと思います。」
まるで二人に抱きしめられているかのような、
そんな優しさを感じることが出来るんです。
だから瞳に込められた想いを信じて、
これからも生きていこうと…そんなふうに思っていました。




