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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1226/1242

本当の謝罪

《サイド:御堂龍馬》



僕は自ら今回の役目を受け入れた。



悪名を負うことで。


罵られることで。



自分自身に罰を課せようと考えていたんだ。



そうすることでしか謝罪する方法が思い付かなかったから。



「例え戦争に勝利したとしても仲間達を守れなかった僕の罪は消えません。だから僕はどんな憎しみも受け入れようと思っています。そうすることでしか…僕は僕を許せないんです。」



何も出来なかった僕を責めてほしかった。


仲間を見殺しにした僕を断罪してほしかったんだ。



そうして僕を嫌ってくれればそれで良かった。



全ての罪を背負うことで、

残された人達の悲しみが少しでも薄れてくれるのなら…それだけで良かったんだ。



仲間を守れなかった後悔と、

一人だけ生き残った絶望。



その苦しみを言葉にすることしか出来なかった。



「僕は仲間を犠牲にして生き残りました。だから僕には…憎まれる義務があるんです。」



そうする以外に何もできないと考えていたんだ。



それなのに。



「…おやめなさい。」



深海さんのお父さんは、

僕を優しく抱きしめてくれたんだ。



「自分を責めても何もなりません。」


「ですが…っ!」


「…良いのです。」



深海さんのお父さんは、

僕を責めることなく語り掛けてくれていた。



「御堂龍馬さん。あなたは戦争を生き残ったと言いましたが、あなたの意思はどうなのですか?」



…僕の意思?



「もしも生きていることが辛いと思うのなら、それは間違いです。優奈がどんな想いで戦場に立ったのか私には分かりませんが…あなたの生存を願って、あなたを守ったのであれば…あなたには生きる義務があるはずです。」



………。



「後悔を感じて罪を願うのではなくて、精一杯の生きる努力をするべきです。それが本当の謝罪というものです。」


「…ですがっ!」


「落ち着いて聞いてください。詳しい事情を知らない私達には何も分かりませんが…それでもこれだけは言わせてください。」



深海さんのお父さんは、

僕を強く抱きしめながら願ってくれたんだ。



「娘は…優奈は自らの意志で旅立ったのです。それだけは間違いありません。ですから、あなたが悔やむ必要はありません。あなたは亡くなった人々の為にも強く生きてください。」



…僕は。


…僕は?



「生きていても…良いのですか?」


「当然です。」



はっきりと断言してから、

深海さんのお父さんは僕を放してくれた。



そして、僕の顔を見つめてくれたんだ。



「………。」



………。



僕の表情は涙に濡れて必死に声を堪えてる状況だ。


無様で情けなくて、

とても人前に出られるような顔じゃないと思う。


それなのに。



「娘の分まで生きてください。」



深海さんのお父さんはこんな僕を許してくれたんだ。



「ありがとう…ございます…っ。」



深海さんのお父さんに許してもらえたことが嬉しかった。



自分でもよくわからない感情だったけれど。


憎まれることを望んでいたのに。


許してもらえたことがすごく嬉しかったんだ。



「ありがとう…ございますっ!」



堪えきれない涙を流して何度も何度も感謝していた。



そうして少しだけ空気が軽く感じられるようになったところで、

今度は深海さんのお母さんが僕に話しかけてくれたんだ。



「あの子は…娘は幸せだったのでしょうか?」



…どうなのかな。



個人の気持ちまでは分からないけれど。


最後の戦場に立った深海さんは後悔なんてしてなかったんじゃないかな?



「おそらく…満足していたと思います。」



深海さんは最後まで懸命に戦っていたんだ。



「仲間を失って、親友を失って、大切なモノを全て失っても…それでも最後まで戦っていたんです。」



深海さんは総魔と二人で戦い抜いたんだ。



その結末は僕も知らないけれど。


結果だけは知っている。



総魔と深海さんの二人によって共和国は守られたから。


その結果だけは知っている。



「きっと…深海さんは幸せだったと思います。」



確信をもって宣言しておく。



だけど僕は何も知らない。


共和国を守り抜いた二人の最期を僕は知らないんだ。



だけどね。


それでも僕は思うんだ。



「きっと…幸せだったと信じています。」



自信をもって告げる僕の言葉を聞いて、

深海さんのお母さんは微笑んでくれていた。



「だったら良いんです。優奈が幸せだったのなら…それだけで良いんです。」



深海さんの鞄を抱きしめるお母さんは幸せそうに微笑んでいる。



「あの子が幸せだったのなら、それだけで良いんです…。」



涙を流しながら微笑む隣で、

深海さんのお父さんも頷いていた。



「もう少し…お話を聞かせて頂いてもよろしいですか?」


「は、はい。僕にお答え出来ることでよければ…。」



何もかもとは言えないけれど。


答えられることは全て伝えたいと思っている。



『深海さんの行動』を。


『深海さんの戦い』を。



そして。



『深海さんの想い』を。



全て伝えることにしたんだ。



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