ここに来た目的
《サイド:御堂龍馬》
「「………。」」
状況を飲み込めない様子の深海さんのご両親だったけれど。
すぐ傍にいる僕も戸惑ってしまっていた。
…もしかして。
成美ちゃんは気付いているのだろうか?
言葉に迷う僕に、
成美ちゃんが問い掛けてくる。
「教えてください。お姉ちゃんの最期を…」
…沙織の最期か。
成美ちゃんはどこまで知ってるんだろうか?
沙織が戦争に向かったことを聞いているんだろうか?
…いや。
そのはずはない。
沙織は何も告げなかったと言っていたからだ。
翔子も何も話さずに別れてきたと言っていた。
成美ちゃんを心配させないために。
事実を伏せて出てきたという話を聞いている。
だから成美ちゃんが真実を知っているはずがないんだ。
それなのに。
成美ちゃんはすでに気づいている様子だった。
どうしてなのかは分からないけれど。
全てを知っていると感じてしまうんだ。
「お願いします。教えてください!」
………。
真剣に願う成美ちゃんに嘘はつけない。
いずれ知ることになるんだ。
だからもう隠すべきじゃないと思う。
「ごめん。少しだけ待ってくれるかな?ちゃんと教えるから、だから今は…」
まずはここに来た目的から果たそうと思う。
成美ちゃんに話すのはいつでもできる。
だけど深海さんのご両親に話せる時間はそれほど多くはないから。
だから今は深海さんのご両親と向き合うことにしたんだ。
「娘さんのことでお話があります。」
「「………っ!?」」
目的を告げてから持ってきた鞄を開く。
そして。
鞄の中から深海さんの鞄を取り出したことで、
ご両親の表情が青く染まるのが見えてしまった。
「それは…優奈の?」
「どうして、きみが…っ!?」
戸惑うご両親に鞄を差し出しながら、
真実を伝えることにしたんだ。
「申し訳ありません。娘さんは…深海優奈さんは、亡くなりました。」
「「な…っ!?」」
事実を告げた瞬間に。
空気が凍り付くような重苦しい雰囲気が広がってしまったんだ。




