表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月4日
121/185

勝率

《サイド:北条真哉》



…さて、と。



とりあえず、これからどうするかだな。



検定会場を離れてからすぐに医務室に移動したんだが、

その間も沙織は眠ったままだった。


翔子のようにすぐに目を覚さないのは精神的な疲労だと思うんだが、

医務室にいた美春に声をかけてみたらすんなり引き受けてくれたからな。


沙織は医務室に預けてきた。



そうして今は校舎内を移動してるわけだが。


まあ、行動そのものに理由は特にねえな。


ただなんとなくじっとしていられなかったってだけだ。



明日の試合を考えるだけで気持ちが高ぶってくるってのが落ち着けない理由なんだが、

あいつと戦うことだけが頭の中を駆け巡るって感じでもある。



色々と思うことはあるんだが、

一言で言うなら期待が膨らむってところか。


ここまでわくわくするのはひさしぶりだからな。



全力で戦っても勝てないかもしれないなんて思える相手はそうそういねえんだ。



気持ちが高ぶるのも当然だろ?



…あいつの実力は本物だからな。



もはや疑う余地はねえ。


攻・防・魔の3種の力で翔子は敗れた。


そして魔法によって沙織も敗れた。



あのとんでもねえ一撃は俺でさえ見切れないほどの破壊力があったからな。


純粋な攻撃力だけを見れば、

すでに俺を超えてるだろう。



…沙織ですら、軽くあしらわれたってのが問題だな。



単純な魔術の腕前だけで言えば間違いなく沙織が1位だったからだ。


総合的な戦闘能力という部分で3位にいるとはいえ、

沙織の攻撃力が俺を大きく上回ってるのは確かだ。



それなのに。



沙織でさえ霞んで見えるほど、

あいつの破壊力は群を抜いていた。



あれはもうバケモノだ。


桁が違うとしか言いようがねえ。



比べることがバカバカしく思えるほど圧倒的な差があるんだぜ?


どう考えても勝ち目はねえだろ。



それでも一応、今の俺の力とあいつの力を比較してみるとしたら。



まず単純な力技では勝てそうにねえな。


桁違いの魔力の総量はすでに俺の倍くらいあるんじゃねえか?



ぶっちゃけるなら、

魔力や魔術に関しては本当に沙織が一番だったんだ。



その沙織を上回るとなると魔術戦では到底勝ち目がねえだろ。



ってことは、別の方法で勝つしかねえよな?



俺が沙織よりも上位にいるのは単純な戦闘能力の問題だ。



沙織があいつに負けたように。


俺も沙織を倒すことができる。



戦闘技術という差において、

俺は沙織に優っているからだ。



だからこそ自分に自信を持ってるんだが、

戦闘の技術においてもあいつは既に俺を上回る実力を持ってるかもしれねえ。



あいつの実力は魔力だけじゃないからな。


戦闘能力に関しても侮る事は出来ないはずだ。



特に今日一日、あいつの戦いを見てきたから分かる。


判断能力や瞬発力を含めた

総合的な行動力も認めるしかねえ。


まともに戦えばまず間違いなく負けるだろう。



…それでも、だ。



それでもまだ敗北が確定したわけじゃねえ。


やってみなければわからないってのもあるが、

絶対に勝てない存在だとは思わないからだ。



俺には誇れる力がある。


だからこその学園2位だ。



魔力の量だけが全てじゃねえ。


物量も大事だが戦闘技術そのものも大きく影響するのが戦いだ。


なにより俺の持つルーンは翔子や沙織とは違って直接的にあいつと渡り合える能力を持ってるからな。



まともに切り合えば吸収の餌食になるかもしれないが、

そうさせない自信はある。



魔術戦では勝ち目がねえとしても、

戦闘なら勝ち目はあるはずだ。



俺自身の戦闘能力を客観的に考えて、

あいつの実力と比較してみる。



その結果導き出される答えは甘く見てほぼ互角か?


場合によっては限りなく苦戦に近い戦いになるだろうな。



勝率は40%以下ってところか。


それが現状の予測だ。



ただ、これは万全な状態での話になる。


実際にはもっと優位に戦えると思っているからだ。



その理由はまあ、簡単な話だな。


あくまでも仮説にはなるが。


もしもあいつが優しさを見せずに容赦なく翔子と沙織の魔力を吸収していれば、

さすがの俺も太刀打ち出来ないほどの実力差が開いていただろうぜ。



それこそ勝率は限りなく0パーセントだっただろう。


だが、幸か不幸かあいつは二人の魔力を吸収しなかった。


それどころか自分の魔力を犠牲にしてまで二人を助けている。



その結果。


あいつの魔力は著しく低下してしまった。



実際に見てたんだからな。


間違いないと確信できるぜ。


あいつは魔力の底を見せたんだ。



万全な状態であれば圧倒的な魔力の差があったはずだが、

今のあいつがそこまで魔力を取り戻せるとは思えねえ。


おそらく明日の時点で取り戻せる魔力はせいぜい半分。


いや、良くて3割程度だろう。


だとすれば魔力の量は俺のほうが圧倒的に多くなるはずだ。



ルーンに込められる魔力の量に差があるとしたら、

勝率も一気に上がるってもんだよな。



…だけどな?



だからこそ、だ。


その事実を思うからこそ、

今更あいつと対立する可能性なんて考えられないとも思う。



翔子の言葉通り、

理事長が心配するような事にはならないと思うぜ。


最終的にどうなるかは分からねえが、

あいつが敵対するような行動をとるとは考えにくいからだ。



自分自身の治療を後回しにして、

自らの魔力を犠牲にしてまで二人の命を助けたんだ。


明日の試合でどの程度まで力を取り戻すのかは分からねえが、

そうまでしてみせたあいつを疑う必要なんてないんじゃねえか?



少なくとも俺はそう思う。


だからあいつを疑うつもりはないし、

無理に対立しようとも思わねえ。



今考えるべきことはただ一つ。


あいつに勝てるかどうかだけだ。



決して油断できる相手じゃないが、

それでも低下した魔力が万全に戻るとも思えねえ。



だとすればまだ勝ち目は十分にあるはずだ。



ある意味では他力本願な考え方だけどな。


それでもこの推測は現実になるだろうぜ。


そんなふうに考えながら歩き続ける。


そして明日に向けて気持ちを引き締めつつ。


腹ごしらえのために食堂に向かうことにした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ