1番目
暗黒迷宮の1番目。
迷宮内に歩みを進めたことで、
背後の扉が閉まってしまったわ。
『ガチャッ…』と鍵がかかったような音が聞こえて、
完全な暗闇が訪れたのよ。
「…想像以上に暗いわね〜。」
思っていた以上の暗闇なのよ。
まさに暗黒の世界。
光なんて一切存在しないわ。
ただ闇だけが迷宮を支配してる。
そんな状況なのよ。
さすがにね。
こうなると私には何も見えないし何も分からない。
…困ったわね。
どっちに進めばいいの?
…って言うか。
どこに出口があるの?
何もかもが分からないのよ。
それにね。
物音一つ聞こえない状況にも戸惑ってしまうの。
「この状況でどうしろって言うの?」
扉が閉まるまでの僅かな時間の間に覚えてる景色なんて、
ホンの数メートル先まででしかないわ。
さしあたってまっすぐ進む以外に道はなかったはずなんだけど。
ここから何歩進んだら未確認の地点になるのかさえも分からないのよ。
…さすがに暗すぎるでしょ。
目隠しをして迷路を突破するような状況なのよ?
それもただの迷路じゃなくて、
罠が満載の迷宮なのよ?
…あずさも未来も楽勝って言ってたけれど。
方角を知る方法は皆無。
距離を測る方法も思いつかないわ。
もちろん出口なんてどこにるのかも分からない。
何もかも疑問に感じてしまうのよ。
…うぅ〜ん。
さすがにね?
このまま考えなしに突き進むわけにはいかないわよね?
だからまずは明かりを生み出そうと考えてみたの。
例え一瞬だけでも周囲を照らせれば、
進行方向が分かるかもしれないからよ。
「ライト・ボール!!」
光の球を生み出して闇を掻き消そうとしてみたんだけど。
…うわ〜〜〜。
どうやら光は存在さえも許されないみたい。
発動すら出来ずに失敗してしまったのよ。
「本当に使えないのね…。」
冗談抜きで光を封じられたということよ。
その事実を確認してしまったことで、
私の心は恐怖に包み込まれてしまったわ。
「闇がこんなにも怖いなんて…初めて知ったわ…。」
闇を照らす光の魔術のおかげで、
今までなら感じることのなかった不安と恐怖。
でもね。
完全な暗闇の中では私に出来ることなんて何一つとしてなかったのよ。
…だけど。
「みんなはこの闇を乗り越えたのよね?」
彩花と奈々香だけではなくて、
あずさと未来も乗り越えたのよ。
4人の仲間はこの迷宮を安々と突破してみせたの。
その事実を思い出したことで、
改めて気持ちを引き締め直す。
「まずは進んでみるしかないわ。動き出さない限り、永遠に突破は不可能なのよ。」
攻略に向けて一歩を踏み出してみる。
だけど最初の一歩にさえ、
予想以上の恐怖が付きまとってしまうのよ。
先の見えない道。
暗闇を歩く恐怖。
右手に触れる壁だけが私の心を安定させてくれてる。
「だけど…この感覚さえも失ったら、完全に方向を見失うわね。」
今いる場所から真後ろに入口があるはず。
そして右側には壁がある。
それだけが私に分かる事実。
だけどもしも右手を離して方向を見失ってしまったら?
完全に迷子になってしまうでしょうね。
「制限時間は8時間。」
それまでに突破出来なければ迷宮を追い出されることになるのよ。
迷ってる暇なんてないわ。
更なる一歩を踏み出すしかないの。
何も見えない道。
それでもゆっくりと歩みを進めていく。
そして恐る恐る歩みを進めた次の瞬間に。
最大級の恐怖が襲ってきたのよ。
正確な距離は確認しようがないけれど。
ほんの2メートルくらい進んだだけ…だったはずなのよ?
それなのにね。
移動開始早々に。
恐怖を知ることになってしまったの。




