即座に断念
《サイド:長野淳弥》
…さて、と。
御堂が去ったあとで受けとった手記に目を通してみる。
ざっと内容を確認してみたんだけどな。
「はあ…?なんだこれ?」
即座に断念することになってしまった。
…いやいや。
…これは無理だろ?
予想以上に難解な記述だったからだ。
分析や解読を得意とする俺でさえもお手上げの内容だった。
「これはもう…読むとかそういう問題じゃねえだろ?」
意味不明な内容に頭を悩ませてしまう。
そんな俺を見て気になったんだろうな。
「ねえねえ、私にも見せてよ。」
「私も興味があるわ。」
動けるようになった里沙と付き添いの百花が歩み寄ってきた。
そして3人で覗き込む手記の文面だが、
この内容は里沙には絶対に理解不能だろうな。
「…何この暗号?」
やっぱり読めないらしい。
「ちょっと厳しいわね…。」
百花でさえも辛うじて読み進められる程度らしく、
全文を理解するのは難しいと言っていた。
その結果として。
「木戸君。須玉さん。この解読に協力してもらえないかしら?」
解読不可能と判断した百花は、
木戸と須玉に協力を要請したんだ。
矢野百花。
木戸祐樹。
須玉聡美。
3人とも就職はまだ出来ないが、
常盤沙織と同様に研究所で助手としての実績は持っているからな。
ジェノス魔導学園において優秀な分析能力を持つ3人の生徒が揃っての分析だ。
上手くいけば手記の内容を解読できるかもしれない。
…と言うか。
この3人が揃っても解読出来ないのなら、
お手上げとしか言いようがないな。
仮説の提案と理論の構築。
そこから組み立てる結論。
3人の意見がぶつかり合って少しずつだが解読が進んでいく。
その様子を俺と里沙は黙って眺めている。
諜報部門の俺と医療部門の里沙には理解出来ない会話だからな。
議論を行う3人のやりとりを大人しく眺め続けることにしたんだ。




