裏の交渉
久しぶりにたどり着いた特風会。
僕達4人は会議室の中に入ることにしたんだけど。
会議室に入ってからすぐに、
誰かがいることに淳弥が気付いた。
「ん?木戸と須玉じゃないか!」
淳弥の声を聞いて視線を向けてみる。
会議室の奥には木戸祐樹君と須玉聡美さんの二人がいたんだ。
彼等は特風に所属する研究部門の二人。
主に魔術の分析調査を担当していて、
かつて翔子の依頼によって総魔のホワイト・アウトの解析を行ったこともあるらしい。
結果としては『解析不能』で断念したみたいだけどね。
普段は魔術研究所に参加していて、
魔術の研究に没頭していることが多いんだけど。
戦争が始まってからは学園の治安維持を優先して特風の仕事を行ってくれていたようだ。
「あら?みんな久しぶりね。」
須玉さんが微笑んでくれている。
「御堂君。無事だったんだね。」
木戸君も笑顔で出迎えてくれたんだ。
「やあ、木戸君と須玉さん。久しぶりだね。」
二人も元気そうで何よりだよ。
「学園の様子はどうだい?」
「う〜ん。今のところ特に変わったことはないわ。医師と救急班が減ったおかげで検定会場が封鎖されてから揉め事が減ったからかもしれないけれど、学園は平和そのものよ。それに、みんなが抜けた分を生徒会も協力してくれてるから何とかやっていけているわ。」
…ああ、なるほど。
生徒会が協力してくれているのか。
「へえー。生徒会が協力してくれるなんて珍しいね。いつも適当な言い訳を考えて、なかなか協力してくれないのに。」
僕がお願いしても滅多に動いてくれない…と言うか。
いまだかつて一度も協力してもらった覚えがないからね。
僕が知る限りでは特風と生徒会が共同で動いたっていう話は今回が初めてじゃないかな?
…なんて、考えていると。
「ああ、それなら俺が交渉したからな。」
隣に立つ淳弥が笑いながら理由を教えてくれたんだ。
「次の生徒会長選で特風は全員、芹澤啓輔を推薦するって約束したからな。」
…ああ、そういうことか。
…それで協力してくれたのか。
確かに僕達の推薦があれば選挙戦で有利に動けるだろうね。
…だけど。
『全員』って言っちゃったのはまずいんじゃないかな?
「全員で推薦するって言ったのかい?」
「ああ、一応な。まあ、さすがに亡くなったやつまでは無理だが…」
…いや、そういうことじゃなくて。
もっと別の問題があるんじゃないかな?
「えっと、一応確認するけど…」
本人に確認をとったのかどうかを確かめようと思ったんだけど。
「ちょっと!?淳弥~~!!!」
僕が質問をするよりも先に、
隣で話を聞いていた里沙が僕達の会話に割り込んできたんだ。




