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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1188/1229

何を望めばいい?

今になって思う。



僕は何を望んでいたんだろうか?



不意に思う疑問と悩み。



海軍の船で目覚めたあの時から、

ずっと悩んでいたことがある。



それは後悔や絶望ではなくて、

僕が目指すべき目標とも言えるんだけど。



心から助けたいと願っていた総魔は死んで、

仲間も全員倒れてしまった。


そして愛する沙織も亡くなったことで、

僕は全てを失ったんだ。



共和国を守り抜くという想いはあるけれど。


戦争が終わればそれは果たされる。



…だとしたら?



僕が目指すべき目標は何だろうか?



総魔を越えたいと願う気持ちはある。


だけどそれを実証する方法はない。



例えどれほどの成長を続けたとしても、

満足出来るとは思えないからだ。



天城総魔という『存在』は僕にとって絶対的な価値があって、

畏怖と尊敬に値する目標だから。



総魔を乗り越える為には3度目の試合を行うしか証明する方法がない。



だけどその願いは叶わない。



すでに総魔は僕の中で伝説となって不滅の存在になっている。


それほどの存在である総魔を越えること。


それが可能かどうかなんて、

どうしても疑問に感じてしまうんだ。



…僕は何を望めばいいんだろう?



力を手に入れて強くなるほどに感じる疑問。



命懸けの戦場を駆け抜けて、

必死に生き抜いてきたからこそ気付いてしまう。



人を殺せる力。


この力で僕は何を望めばいい?



強くなるほどに犠牲は増える。


僕が戦い続ける限り死体は増え続ける。



戦いから逃げて力を捨てない限り死体が増え続けるんだ。



それが『戦争』で、

それが『戦い』だ。



総魔が倒れて、

理事長が倒れて、

翔子や深海さんも倒れて、

たどり着いた最強の座。



それは多くの実力者が倒れて回ってきただけの称号でしかない。



そんな称号に興味なんて持てなかった。



『最強の魔術師』



その称号は死してもなお総魔のものだと思っている。



ただ生き残っただけの理由で得られるようなものではないからだ。



だからこそ。



戦争が続く限り、

戦い続けるつもりでいる。



自分自身の意思で最強の称号にたどり着くために。



戦い続けるつもりでいるんだ。



だけど。


もしも戦争が終わったら。



僕はどうすればいいんだろうか?



守りたいと願った仲間は全員死んだ。


そして多くの罪を重ねて独りになった僕の心を理解出来る人なんて今はもう一人もいない。



共和国を守り抜く想いはあるけれど。


それが果たされた時に、

僕の手に残るモノは血と悲しみだけだ。



その先の未来に願うことなんて、

何一つとして思い浮かばなかった。



総魔と沙織のいない世界で、

僕は何を望めば良いんだろうか?



目標を失い。


愛する人を失い。


それでも生きていくこと。



その悲しみ。


その絶望。


その悲劇。



僕は何を望めば良いんだろうか?



答えの出ない疑問。


それでも立ち止まることだけは決してしないと心に誓う。



そんなあやふやな状況。



今は何も分からないけれど。


だけど逃げることだけは絶対にしたくないから。


みんなに守られたこの命を無駄にしたくないから。


だから今は前に進み続けるしかない。



この道の先にどんな答えがあるのかは分からないけれど。


いつか総魔を越えたと自信を持てる日が来るその時まで。


最後まで逃げないことだけは誓いたいと思うんだ。



例えそれが幻想だとしても。


総魔にたどり着きたいと思うんだ。



…今はただ。



それだけを願いながら歩みを進める。



そうしてついにたどり着いたんだ。



通い慣れた一室である特風会へとね。




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