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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1171/1212

料理勝負

《サイド:文塚乃絵瑠》



…うんうん。


…悪くないわね〜。



カリーナの魔術研究所で、

未来と二人で夕食を食べてるんだけどね。



「ん~♪まあまあね。」



未来の作った料理を評価してみると。


未来は冷たい視線を向けてきたのよ。



「文句があるのなら、無理に食べなくてもいいわよ?」



…あぅ。



返事に困って愛想笑いを浮かべてしまったわ。



「あ、あははは…。別に美味しくないとか、そんなことはないわよ?ただもうちょっと工夫したら味が変わるかな~?なんて思っただけで…ね。」



「はぁ…。」



私の発言が気に入らなかったのか、

未来は呆れ顔でため息を吐いていたわ。



「その『ちょっとの工夫』で、何をどうしたら生死の境目をさ迷えるようになるのかを説明してほしいわね?」



「…あぅぅぅぅ。」



未来の指摘を受けて、

何も言えなくなってしまったのよ。


それなのにね。


未来は追い打ちをかけてくるの。



「『同じ食材』と『同じ調味料』で、どうしてそこまで結果が変わるのかが知りたいわ。」



…それは、まあ。



不思議よね?


自分でもよくわからないのよ。



「美味しさを追求した結果…っていう感じ?」


「はあ!?味覚が死んでるんじゃない?」


「そ、そこまでじゃないわよ…。」



以前の経験を思い出しながら追及してくる未来に必死の抵抗を試みる。



「だ…だって、ほら!私の料理が一番評価が高かったじゃない?」



かつての出来事を思い出しながら反論してみたのよ。



あれはおよそ3ヶ月くらい前の出来事になるわ。



些細なことから誰が一番料理が得意か?という勝負が勃発して、

私と未来と彩花と奈々香とあずさの5人が集まって料理勝負をしたことがあるのよ。



最終的な結論から言えば彩花の優勝という結果なんだけど。


それはあくまでも総合点での結果であって、

『見た目』と『香り』と『味』の総合で彩花が一番になっただけなのよ。



でもね?



個別で見ると結果は変わるわ。



純粋な『味』だけでの勝負で言えば私が断トツだったと言えるからよ。



文句無しに一番美味しい料理だったの。


それは間違いないわ。



だけど…ね。



問題になったのはその後の『副作用』だったの。



その時の課題はシチューで、

私達は共通の食材と調味料を用意して、

それらを自由に使っての勝負になったのよ。



何を選んでどういう使い方をするのかは個人の自由。



そういう勝負だったんだけどね。



…何をどう調理したのかな?



直感と言うか、感覚的な味付けで作ってみたんだけど。


味付けだけで判断すれば、

私のシチューは抜群に美味しかったのよ。



…なのに、ね。



そのあとで『4人』を地獄が襲ったの。



…私には一切影響しなかったんだけどね。



私のシチューを食べた未来や彩花達は絶望的な腹痛に襲われて、

一週間の間、医務室での生活を余儀なくされたのよ。



…それはもう。



死んだほうがマシって思えるくらいに絶望的な腹痛だったらしいの。


軽く生死の境目を行き来出来る瀕死の状況だったらしいわ。



…とは言ってもね?



私は全っ然平気だったから、

どれくらい苦しかったかなんて私にはわからないのよ。



だけど凶悪な結果を出してしまった私の料理?は、

私を除く全員一致で「二度と作るな!」っていう結論に達したのよ。



だからね。



最高の味を引き出すのと引き換えにね。


最高の絶望を与える私の料理?は、

その事件以降一度も行われていないの。



「味はともかく、食べただけで瀕死になれる料理って何?って言うか、それって料理なの?」



…あうぅぅぅぅぅぅ。



果てしなく疑問を感じる未来の疑問に私は何も答えられない。



「私は平気だったのに〜〜〜〜。」



それが精一杯の反論だったのよ。


そのせいで未来は冷めた視線を向けてきたの。



「それが不思議なのよね?全員が倒れたのなら食中毒かも?とか思えたんだけど。乃絵瑠だけは平気だったからこそ納得出来ないのよ。」



未来と彩花と奈々香とあずさは倒れたわ。



だけど私には影響しなかったのよ。



その理由は不明だけど。


だからこそ不満が残ってしまったみたい。



「肝心の乃絵瑠にあの絶望が伝わらないなんておかしいわよ。絶対に何かが間違ってる

わ。」



不満全開の表情でふて腐れてる。


その未来は料理勝負において真ん中の3番目。



彩花が1位で、私が最下位として。


予想通りと言うかなんと言うか、

宮野あずさの作るシチューは普通にまずかったのよ。



見た目は悪くないんだけどね。


変に甘くて異様な味だったの。



私に次ぐダメなシチューを作ったあずさ。


そんな中で意外なことに奈々香は普通に美味しいシチューを作って見せたのよ。



そうしてなかなかの高評価を得た奈々香が2位になったの。



…と言うことで、最終的な結果は。



1位、冬月彩花。 (完璧)

2位、矢島奈々香。(美味しい)

3位、雨音未来。 (普通)

4位、宮野あずさ。(まずい)

5位、文塚乃絵瑠。(命懸け?)



…っていう評価になったのよ。



私に関しては「順位すら付けたくないっ!!」っていう判断になりつつあったんだけど。



私が全力で謝罪したことで、

百歩どころか千歩くらい譲る気持ちで5位に許されたの。



「乃絵瑠の味付け?を一度本気で調査してみたいわね。あれはある意味で最強の猛毒だと思うの。」



…いやいや、いやいや。



「猛毒って…それはちょっと言い過ぎだと思うけど?」



限りなく控え目に答えてみる。



全力で否定出来ない自分を情けないと思うんだけど。


それでも未来は責め続けてくるのよ。



「乃絵瑠はもう二度と料理をしないほうがいいと思うわ。あれは料理という言葉に対する最大限の冒涜よ。」



…はうぅ。



はっきりと宣言する未来に反論出来なかったわ。


自分では自信があってもね。


仲間達を医務室送りにしたことは事実で、

その過去は消えないからよ。



「確かに私が悪いけど…。でも、そこまで言わなくてもいいじゃない…。」



未来に責められて落ち込む私に優しい言葉は返って来ない。



「乃絵瑠はもっと料理というものを勉強するべきよ」


「…ぅぅ…。」



反論出来ずに呻くしかなかったわ。


そんな私の耳に、

ようやく扉を開く音が届いたの。



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