今日一日の出来事
「ありがとう、お母さん♪ご飯、美味しかったよ♪」
精一杯の笑顔で感謝します。
そんな私を見て、
お母さんは幸せを感じてくれている様子でした。
「良かったわね。成美」
嬉しそうに微笑むお母さんの隣に座るお父さんも、
笑顔を浮かべながら話しかけてくれます。
「散歩は楽しかったか?」
「うん♪すごく楽しかったよ♪」
本当に楽しかったんです。
だから今日の出来事をお父さんに話すことにしました。
「お家の外はすごく広くて、沢山の建物が並んでて、人が沢山いて、動物さんもいてね。何て言うか…想像してたことと全然違ってたり、考えてたことと似てたりしてて、すごく楽しかったんだよ♪」
今日一日で沢山のモノを見て、
様々なことを知りました。
お父さんやお母さんにとっては当たり前のことでも私にとっては驚きの連続です。
どんな些細なことでも、
私にとっては初めての経験でした。
「あのね♪あのね♪」
今日一日の出来事を話します。
そんな私を両親は暖かい目で見守ってくれていました。
「あのね♪お父さん♪今日ね、私ね、海を見たんだよ♪」
町の港から眺めた景色。
それはどこまでも広大で、
どこまでも青く澄み切った海。
煌めく水面や波の音。
海上を進む船や波間に揺れる水鳥達でさえも、
私にとっては初めて目にする景色でした。
「空と海が重なっててね♪すごく綺麗だったよ♪」
水平線を知りました。
空の青と海の青が混じり合う景色はとても不思議で、
とても幻想的な世界でした。
「あとね♪あとね♪商店街?…っていう所に行ってね。お花屋さんにも行ってきたの♪」
深海花店で様々な花を学んだんです。
その思い出は決して忘れることが出来ません。
「沢山お花があったんだけどね。でもねっ♪『カトレア』っていう名前のお花が一番綺麗で、一番のお気に入りなの♪」
深海優奈さんのお父さんに貰ったカトレアは、
今は私の部屋にあるので食卓にはありません。
お母さんがちゃんと手入れをしてから花瓶に活けて部屋に置いてくれたので今ここにはありませんけれど。
それでもカトレアがどんな花なのかは、
お父さんも知っている様子でした。
「カトレアは父さんも知っているが…確か、花の女王だったかな?」
「うん!そうだよ♪すっごく綺麗で、すっごく甘い香りがするの♪」
楽しそうに答える私を両親も楽しそうに見てくれています。
「それでね♪あとね♪お月様も見たんだよ♪」
夜に輝く優しい光。
その光が私の心を癒してくれました。
目が見えなかった時の暗闇。
その恐怖を誰よりも知っているから。
ずっと恐れていた暗闇を照らしてくれる月の光のおかげで夜の闇を克服出来たんです。
「真っ暗になると思ってた夜を、お月様が照らしてくれたの♪だからね♪夜も怖くないんだよ♪」
明るく元気に笑顔で話し続ける。
そんな私の話に耳を傾ける両親は、
温かい気持ちで優しく見守り続けてくれていました。




