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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1165/1212

護衛?

「………。」


「………。」



………。



馬車の中で沈黙する私達。



だけどまっさきに気持ちを切り替えたウィッチクイーンが再び話を切り出したのよ。



「まあまあ、細かいことは気にしないとして。せっかくだから私も乗せて行ってくれないかしら?」



…えっ?



「はぁっ!?」



予想外の台詞を聞いた私と学園長は、

揃って戸惑いの表情を浮かべてた。



「えっと…ウィッチクイーンさんもジェノスに向かってるんですか?」


「ええ、そうよ。本当ならまだ行くつもりはなかったんだけど、予定が変わったせいで仕事が増えちゃったのよね~。」


「仕事…ですか?」


「説明は難しいけれど、色々とあるのよ。それでまあ、目的地が一緒ならどうかな?ってね。まあ、無理にとは言わないけど、あなた達だけだとジェノスに着く前に死んじゃいそうだから手を貸してあげてもいいわよ。」



…死んじゃいそうって。



全く否定できないから落ち込んでしまったわ。



…うぅ~ん。



でもこれってどうなのかな?



戦力として考えたら間違いなく大賛成なのよ。



…でもね?



それでもまだ敵か味方かも分からない状況なのよ?



「私は賛成ですけど、学園長はどう思いますか?」


「………。」



すぐには答えられない様子の学園長。


敵のはずのウィッチクイーンが目の前にいるからかな?



快く…とはいかないみたい。



「貴女は何が目的なのですか?」


「私も人探しよ。一応言っておくけれど、あなた達と敵対するつもりはないわ。私には私の目的があるの。それは結果的に共和国の利益に繋がるかもしれないけれど、その詳細まで答える義務はないわね。」



…共和国の利益?



ウィッチクイーンの言葉は意味不明な部分が多いわね。


だけど追求しても答えないっていう感じの威圧感が込められているから質問すら出来ないのよ。



「まあ、私が言える条件は一つだけよ。何も聞かずに私をジェノスに連れて行くこと。その見返りとして私が道中を守ってあげるわ。その約束を守れるかどうか、ただそれだけのことよ。」



余計な詮索しなければ護衛してもらえる。


そういう話よね?



私としてはそれだけで十分だと思うんだけど。


それでも学園長は最後に一つだけ確認してた。



「あなたが私達を襲う可能性は?」


「あればとっくにそうしてるし、そもそも助けてあげる必要がないわよね?」



…うん。



私もそう思う。



実際にこうして助けてもらうのは2回目なわけだし。


今更、襲われるなんてかけらも思わないわ。



「…良いでしょう。ひとまず貴女を信じます」



どうやら学園長も信じることにしたみたい。



少なくとも私の命は守ってくれるみたいだから、

ウィッチクイーンの同行を受け入れたのかも?



「よろしくお願いします。」



一時的に和解したことで差し出した学園長の右手をウィッチクイーンは軽く握り返していたわ。



「こちらこそよろしく。まあ、正直に言うと走るのに飽きてたから、馬車に乗れるのは素直に有り難いわね。」



…えっと。



それって単に疲れてたってことよね?



もちろんそこを指摘する勇気はないけれど。


挨拶を終えたウィッチクイーンは、

あっさりと荷台に移動してしまったわ。



「とりあえず眠いから、あとはよろしくね~。」



さっさと横になって眠ろうとしているの。



…それで護衛になるの?



なんて。


ちょっぴり疑問に思うけれど。



いないよりは安心だし。


いざとなればすぐに対応してくれるはずだから、

今はそっとしておいたほうが良いのかも?



「えっと…おやすみなさい?」



何だか変な言い方になったけど。


ウィッチクイーンは苦笑しただけで何も言わなかったのよ。



その間に学園長は放棄された手綱を拾い上げて馬車の操作を再開してる。



「ひとまず野営できる場所を探しますので、栗原さんも休んでいてください。」


「あ、はい。」



このままここにいても何もできないし。


とりあえずウィッチクイーンの隣に並んで体を休めることにしたわ。



…一応ね。



聞きたいことは沢山あるし。


知りたいことも沢山ある。



だけどウィッチクイーンは何も答えてくれないと思うのよ。



そんな雰囲気があるの。


だからただじっと横顔を眺めてみる。



そんな私の視線なんて気にもせずに、

ウィッチクイーンはのんびりと体を休めていたわ。



そして。



私達を気にせずに手綱を握る学園長は、

どこかに馬を休められそうな場所がないかを捜しながら街道を進み続けたのよ。




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