絶叫
「これは、まずいですね…。」
学園長の焦る声が聞こえる。
敵部隊の魔術の詠唱までは聞こえないけれど、
明らかに何かをしようとしているのは間違いないからよ。
「こちらも迎撃を…」
呟きながら薬品を手にとる学園長だけど。
その間にも馬車の暴走は続いているの。
「無理無理無理無理っ!!助けて下さい学園長!馬がいうことを聞きませんっ!!」
一人で慌てる私。
そして更に暴走する二頭の馬。
制御不能になった暴走馬車は、
夜の街道を全速力で駆け抜けていく。
「止まらないだけ、まだましですよ。」
気楽に答える学園長だけど。
これってそういう問題じゃないわよね?
「そうかもしれませんけど…っ!でも、これはちょっと…!!」
「頑張ってください。もしも馬車が止まったら…。その時が私達の最期です。」
…うわっ。
「そんな~〜〜〜〜〜っ!?」
冷静な学園長と混乱状態の私を乗せた馬車に、
後方から魔術が襲い掛かってくる。
『……!!!』
『っ……ぅ…!!』
『ぇぁ…ぉ…ぅ…!!!』
微かに声が聞こえたと思った次の瞬間に。
数え切れないほどの魔術の矢が馬車へと放たれたのよ。
炎、氷、雷、光。
後方から矢が放たれた直後に。
「シールド!!!」
学園長の魔術が発動して馬車を結界が包み込む。
数秒で馬車に襲い掛かる魔術の矢の雨。
だけどその全てを結界が遮断してくれたみたい。
「ボム・ウイン!!!」
続けて風を生み出した学園長は、
その風に麻酔を混ぜて後方へと放ったわ。
吹き抜ける風にのって拡散する麻酔。
だけど追撃部隊も風を生み出して麻酔を吹き飛ばしてしまったようね。
「やはりそう簡単にはいきませんね。」
学園長はため息を吐いてた。
「さて…どうしたものでしょう?」
迎撃方法を悩む学園長だけど。
その間にも私の絶望は加速していたわ。
「お願いだからいうことを聞いて~~~~っ!!」
暴走する馬に対して全力で叫ぶ私の声が夜の街道に響き渡る。
「無~~~~~~~理~~~~~~~っ!!!」
絶望的な心境で叫ぶ悲鳴。
背後の追撃部隊よりもね?
暴走する馬車に恐怖を感じていたのよ。
「誰か助けて~~っ!!」
もうどうにもならないことで、
必死に助けを求めてしまったわ。




