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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1154/1242

日高芙美

そうしてたどり着いた学園長室。



扉の前に立った私達は、

扉をノックしながら部屋の中にいるはずの人物に呼びかけることにしたの。



「学園長、おられますか?」


「あら?その声は上矢遥さんですか?どうぞ中にお入り下さい。」



返事はすぐに返ってきたわ。



しっかりと耳を澄ませなければ聞こえないような低くてか細い声だったから聞き取りにくいけれど。


年齢が年齢だから、そこは仕方がないわね。



扉越しということもあるけれど。


ちゃんと返事を聞き取れたことで、

あまり大きな音を立てないように気を遣いながらゆっくりと扉を開けてみる。



そして室内を見回してみると。



…うわ~。



ティーカップやポットが宙に浮いていて、

5人分の紅茶が注がれていく様子が見えたのよ。



何度見ても驚いてしまう光景だけど。


学園長は自分の席に着いたまま火や風の魔術を器用に使いこなして、

離れた場所にあるテーブルの上にお茶の用意を整えてくれているの。



完璧に使いこなせればある意味で楽が出来る技術だけど。


さすがにここまで極めるのは至難の業でしょうね。



どこかで一つでも失敗すれば、

お茶が撒き散らされて掃除の手間が増えるだけだからよ。



考え方によっては無駄な技術とも思えるけれど。


こういう不思議な現象さえも自由自在に使いこなせるのが学園長の凄いところでもあるわ。



「夜遅くにすみません。」



礼儀正しく声をかけながら室内に歩みを進めていく。



私のあとに続いて4人の仲間達も室内に入る。



そしてお茶の用意が整っている席に向かうことにしたんだけど。


肝心の学園長は執務用の机に書類を広げて、

何らかの仕事をしている途中のようね。



「お忙しいところすみません。」



もう一度、丁寧に頭を下げてみると。



「いえいえ…。」



学園長は不満を口にするどころか笑顔で接してくれたのよ。



「こういう状況ですからね。大変なのはみなさんのほうだと思います。私に出来ることでしたら、何でも言って下さい。」



のんびりと思えるほどゆっくりだけど。


丁寧な言葉遣いの学園長は、

いつでもどんな時でも温厚な態度で私達に接してくれるのよ。



…とは言っても、さすがにね。



年齢のせいだとは思うけれど。


席から動き出すことはほとんどないわね。



それでも私達としっかりと向き合って会話を行う姿はとても100歳を越えているようには見えないわ。



健康や体力的に不安を感じる部分はあるけれど。


魔力や威圧感には一切の衰えを感じさせない力強さがあるのよ。



「えっと、その~。この時間から申し訳ないのですが、少し話を聞いて頂いても宜しいでしょうか?」


「ええ、良いですよ。」



言葉を選びながら願う私に学園長は笑顔で頷いてくれる。



「ありがとうございます。」



快く願いを聞き入れてくれた学園長に感謝しつつ。


肝心の話を進めることにしたわ。




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