特訓の目的
《サイド:冬月彩花》
カリーナ女学園の魔術研究所に到着したわ。
ここは他の研究所と違って、
汎用的な研究なんて一切行われていないのよ。
ルーンの研究は行われていないし、
攻撃魔術や回復魔術の研究も重要視されていないの。
この研究所で行われる実験は全て『闇』属性の探求。
ただそれだけ。
もちろん属性特化の研究所は他の町にもあるらしいけれど。
闇属性に関してはカリーナの研究所が最先端の技術を誇っているわ。
影や暗闇や暗黒への干渉から幻術や精神操作に至るまで。
ありとあらゆる研究が行われているのよ。
そんな研究所の前にたどり着いたわけだけど。
時刻はすでに午後7時を過ぎているわね。
「ねえねえ?もしかして、今から特訓するつもりなの?」
…ふふっ。
「ええ、そうよ。」
問い掛けてくる乃絵瑠に笑顔を向けてあげる。
「乃絵瑠ももう分かっているはずよ。認めたくはないけれど、今度またあの女と遭遇しても私達では手も足も出ないわ。」
だから私達は強くならなければいけないの。
…もう二度と。
乃絵瑠に悲しい思いをさせない為にね。
「今の私達では戦力外なのよ。」
事実を宣言しながら微笑み続ける。
だけど表向きな笑顔に反して、
私の心は怒りに満ちているわ。
ウィッチクイーンに対して、
かすり傷一つさえ負わせられなかったからよ。
そして今の私達ではどう考えても戦場で生き残れないことを思い知らされたから。
もしもウィッチクイーンの他にも圧倒的な実力を持つ敵がいたとしたら?
今度は助からないかもしれないわね。
次は誰かが死ぬかもしれないのよ。
「次は負けないわ。今よりも強くなってクイーンを倒してみせる。」
学園最強の称号を持ちながらもウィッチクイーンに対して何も出来なかった事実。
あの日の悔しさを心の奥底に押さえ込みながら立ち向かう覚悟を決める。
「これから行うのはそのための特訓よ。」
目的を告げてから研究所の内部へと歩みを進めていく。
…次は負けないわ。
その想いを胸に秘めて『力』を追い求める。
大切なモノを守る為に。
更なる『高み』を目指すことにしたのよ。




