闇特化の研究所
《サイド:文塚乃絵瑠》
…さて、と。
ひとまず彩花達と一緒に通いなれた学園まで戻ってきたわ。
校門を抜けて学園の敷地内を5人で歩く。
先頭を歩いてるのは彩花とあずさで、
二人の後ろについて私と未来がいるわ。
そして今回も一番後ろにいるのが奈々香よ。
「…で?学園に戻ってきてどうするつもりなの?」
誰にともなく問い掛けてみると。
「…地下施設です。」
後ろを歩いている奈々香が答えてくれたのよ。
でもね?
答えてくれたのはいいんだけど。
説明も何もないから意味が分からないのよね~。
なのに。
そのまま黙り込んでしまったから結局何もわからないままなのよ。
あまりにも簡潔過ぎて余計に理解が追い付かないわ。
そんな複雑な表情を浮かべる私に隣を歩く未来が話しかけてくれたのよ。
「私も詳しいことは知らないけれど。『魔術研究所』の地下に大規模な実験施設があるらしいわよ。」
…はあ?
…実験施設?
…何それ?
そんな話は聞いたことがないんだけど?
でもまあ、カリーナ魔術研究所は他の学園のような総合的な研究所とは少し違うっていう話は聞いたことがあるわ。
ここは『とある属性』に関して特化的な研究を行っている研究所だからよ。
ある意味ではマールグリナに最も近くて、
真逆の研究をしているとも言えるけれど。
マールグリナ医術学園は医療(回復系魔術)を専門としているから、
それ以外の魔術の研究は基本的には行われていないらしいわ。
ジェノスやデルベスタやグランバニアの研究所は総合的な研究を行っていて、
ルーンの研究なんかも発達してるらしいけどね。
ちなみにヴァルセムの研究所は精霊の研究が主体で、
魔術やルーンの研究はその次という扱いみたい。
…あとはまあ、そうね。
エスティアの研究所はルーンも精霊も研究してないけれど。
魔術全般を幅広く研究しているらしいわ。
そんなふうに各学園の研究所ごとに様々な研究が行われているのよ。
だからカリーナの研究所も独自の研究が進んでいて、
たった一つの属性に特化しているの。
それこそがカリーナ女学園が魔女学と呼ばれる由縁でもあって、
彩花達が最も得意とする属性なんだけどね。
カリーナで研究されているのは純粋な闇よ。
『暗闇』『暗黒』『毒』『幻』『混乱』『麻痺』等々…。
その内容は多種多様で様々なんだけど。
他の属性と違って闇に属する能力は数多く存在しているわ。
体を蝕んで心を破壊して死を与える力。
そんな危険な研究を行っているのがカリーナ魔術研究所なのよ。




