表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1138/1212

くだらん言葉

《サイド:フェイ・ウォルカ》



セルビナとの国境付近。



夕陽が沈み。


空が暗く染まり始める頃。



牽制として前線部隊による交戦を行っていた共和国とセルビナの両軍に変化が起きようとしていた。



それは終戦への兆しとでも言うべきか。


ついにセルビナとの戦争が終わろうとしているようだ。



国境警備隊のみで編成される前線部隊で唯一の生徒として参戦していた俺は、

『風を纏う槍』を手にしながら最前線でセルビナ軍と戦っていた。



そして攻め寄るセルビナ軍に対して極力防衛に徹していたのだが。


前方から押し寄せて来るセルビナの兵士達が不意に足を止めるのが見えた。



そして突如として撤退を始めたのだ。



「退却命令だ!!全員後退しろーっ!!!」



指揮官の声が戦場に響き渡る。



その号令を受けて一斉に後退するセルビナ軍の様子をじっと眺める。



「何が起きた…?」



疑問を感じても深追いはしない。



今はセルビナ軍を殲滅することが目的ではないからな。


撤退してくれるというのなら無理に追いかける必要がない。



「進軍を諦めたのか?」



最前線で状況を眺めていると、

軍の指揮官である北条辰雄が駆け寄ってきてくれた。



「こちらも軍を下げるぞ!」



北条司令官が国境警備隊の部下達に指示を出している。



「総員後退しろっ!!」



前線からの撤退命令だ。



指示が出た以上は俺も従う必要がある。



「何があったのですか?」


「先程、北部から伝令が届いた。アストリア王国が敗北したことをきっかけとしてミッドガルムが軍を撤退しているらしい。セルビナが軍を撤退させたのは、向こうにも同じような報告が届いたからだろう。」



…ああ、なるほどな。



自然と微笑みを浮かべてしまう。



「つまり共和国軍の勝利ということですか?」



それしかないと思って確認してみたのだが、

北条司令官は不満そうな表情でセルビナに視線を向けている。



「勝利か…。くだらん言葉だ…。」



…くだらない?



それはどういう意味だろうか?



はっきりとは聞き取れなかったが、

北条司令官の表情が陰っていることにはすぐに気付けた。



「何か問題でもあったのですか?」


「…ああ。」



北条司令官は曖昧な笑顔を浮かべている。


そして「あとで説明する」と告げてから俺にも撤退の指示を出した。



「撤退だ!退くぞ!」


「はい!」



指揮官の指示は絶対だ。


俺は軍人ではないが、

軍に参加させてもらっている以上、

勝手な行動をとるわけにはいかないからな。



北条司令官のあとを追って前線を離れることにしたのだが、

そのあとで俺は知ることになる。



辛く悲しい現実と。


友の優しい想いを。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ