荷物の中身
そうして生徒会室を出たあとで、
寮に戻ってから荷物をまとめた私は校門へと急いだわ。
「すみません、学園長。お待たせしました。」
「いえいえ、謝る必要はありませんよ。こちらもまだ準備中でして、もう少し時間がかかりますので。」
出発はまだのようね。
結構急いで学園長が待つ馬車に駆けつけたんだけど。
まだ準備中らしくて、
すぐには出発しないみたい。
「あと20分ほどで準備が整いますので、しばらく休んでいてください。」
「あ、はい。分かりました。」
とりあえず馬車に乗り込んでみる。
その間に見覚えのある教師達が馬車の中へ荷物を積み込んでいたわ。
「思っていたよりも荷物が多いんですね」
「今から出発しても到着は明日になりますので、野営の準備もしているのですよ。食料もそうですが、色々と準備しておくべきかと思いますのでね。」
…色々?
…う~ん。
何となく気になる言い方よね?
「ジェノスに向かうのは私と学園長だけですか?」
「ええ、そうですよ。ですから『色々』と準備をしているのです。」
…うわぁ。
なんだかすごく嫌な予感がするんだけど。
これって気のせいじゃないわよね?
話をしてる間にもどんどんと積め込まれていく荷物。
それらを眺めながら念の為に聞いてみることにしたのよ。
「これって、何を積んでるんですか?」
「もちろん『武器』ですよ。町でさえ襲われる状況ですので、道中の危険を考慮して用意するのは当然かと思いまして。」
…ああ、やっぱり。
そういう話になるのよね。
学園長の説明を聞いて余計に不安を感じてしまったわ。
「国内にいても安全ではないんですね…。」
その事実に恐怖を感じてしまうのよ。
朱鷺田直道さんと三倉信造さんに続いて、
私自身も殺されそうになった時のことを思い出して震えてしまったわ。
『安全な場所なんてどこにもない』
そう思ってしまったことで、
どれだけ共和国が追い込まれているのかを実感してしまったのよ。
「戦争はまだ続いてるんですね。」
「だからこそ私達の努力が終戦へのきっかけになるのです。命懸けで『戦場』を駆けることと同じくらいに、国内の『安全』に努める必要があるのですよ。」
…確かに。
命を賭けて戦うだけが戦争じゃないと思う。
帰るべき場所を守り抜くことも残された人達の役目だと思うのよ。
「戦争の終結の為に出来る限りのことをしましょう。それが死んでいった仲間達の『想い』に応えるということです。」
全ての荷物が積み込まれたことを確認してから、
学園長が私に振り返る。
「行きましょう。この国を守る為に」
「…はい。」
異論なんてないわ。
共和国は守り抜いてみせる。
…絶対にね!




