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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1126/1212

生徒会長

…はあ。



一旦、部屋に戻ろうかな?



落ち込んでいる間に周囲の騒ぎも徐々に収まって、

各地が静かになりつつあるみたい。



特にすることもなくて学園の校庭で後片付けを手伝っていたんだけど。


魔術によって行える治療はすでに一通り終わったから現状で出来ることは何もないし。



気が付けば町中で発生していた火事も今ではほぼ全て鎮火したみたいね。


今はどの方角を見渡しても黒煙は上がっていないわ。



火事は収まって、

怪我人の治療も終わって、

平和を取り戻しつつあるマールグリナの町。



戦闘の傷跡は残るものの。


町は安息を取り戻しつつあるようね。



…そんな状況の中で。



一台の馬車が学園の校庭へと駆け込んで来たのよ。



『ガタガタッ!!!』と、

音を立てながら回る車輪。



校門を通り過ぎた馬車は、

校庭に入ってからすぐに動きを止めたわ。



そして一人の人物が馬車を下りてきたの。



「…ふう。最悪としか言いようがない状況ですね。」



ぼやきながら馬車を下りてきたのは学園長だったわ。



町の各所に派遣していた生徒から戦闘終了の報告を受けた学園長は数時間ほど学園を離れていたのよ。



一応、出発前に話は聞いていたから、

どこに行ってたかなんて今更確認する必要はないんだけどね。



捕虜として捕らえた襲撃者達から情報を得るために、

治安維持部隊の本部へ出掛けていたらしいわ。



だけどね。



学園に戻ってきた学園長の表情は暗くて、

何度もため息を吐いているように見える。



そんな重苦しい雰囲気の学園長は、

馬車で送ってくれた治安維持部隊の隊員に頭を下げて感謝していたわ。



「わざわざ送って頂いて、ありがとうございます。」


「いえいえ、これが職務ですから。」



男性は不満なんて感じさせずに、

馬車を走らせて治安維持部隊の本部へと戻っていく。


帰りは通常の速度で走りつもりのようね。



控えめに『ガタゴト』と音を立てながら走って行ったのよ。



そうして再び静けさを取り戻した学園の校庭で、

一人になった学園長に声をかけることにしてみたの。



「お疲れ様です。学園長」


「ああ、いえ。栗原さんもご苦労様です。」



笑顔で声をかけたのが良かったのかな。


学園長も微笑みを返してくれたのよ。



「それよりもどうですか?そちらも大変でしたでしょう。」



…ええ、かなり、ね。



「出来る限りのことはしましたけど、全ての人を救うことは出来ませんでした。」



…そのことがね。



ずっと気になってしまっているのよ。



深くため息を吐いてしまう私の様子を眺めていた学園長も辛そうな表情を浮かべてる。



「残念ですが、戦いとはそういうものです。運よく生き残れたとしても、命を奪い合う戦いでは五体満足である保証はどこにもありません。治安維持部隊の方々の中にも体の一部を失っているかたはおられます。もちろん死者も0ではありません。」



今回の戦闘での治安維持部隊の被害は負傷者多数。


そして死者は26名らしいわ。



マールグリナの平和を守る為に、

26名の尊い命が犠牲となっていたということよ。



…だけどね?



それはあくまでも治安維持部隊だけの数でしかないの。



町の全ての人々を含んで考慮した場合の死者の数は計り知れないわ。



学園まで運び込まれて死亡した人の数は千人を超えるけれど。


各所で起きた火事によって炎に焼かれて焼死した人の数は未知数のままだし。


鎮火した現場で捜索作業が行われるのはようやくこれからというところなのよ。



どういう結果になるのかはまだ誰にも分からない。


だからこそ学園長が私に問い掛けてきたの。



「怪我をした方々の治療は、どの程度まで進んでいますか?」



それなら把握しているわ。



「生存者の中では9割近い人々が無事に助かりましたが、一部の人達は手のほどこしようがなくて体の一部を失ったままです。そして確認済みの死者は1036名。現在、学園での治療は終了していますが、町での救助活動は続いていると思います。」



報告を受けている範囲で答えてみると、

学園長は小さく頷いてくれたのよ。



「まだ全てが終わったわけではありませんが、学園としても出来る限りのことはしましょう。」


「はい」



歩き出す学園長を追って校舎に向かう。


何をするにしても、

まずは方針を決めなければいけないからよ。



「まずは生徒会を召集しましょう。今後の方針に関して話し合う必要がありますから。」


「分かりました。」



マールグリナ医術学園の生徒会長として、

学園長と一緒に行動することにしたのよ。




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