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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1110/1242

花言葉

少し色々とありましたけど。


深海さんのご両親のお店に来てから30分くらい過ぎたでしょうか?



色、形、香り等々(などなど)。


今まで経験出来なかったことが沢山学べたような気がします。



曖昧な知識によって判断していた色の識別も

それなりに出来るようになってきたのではないでしょうか?



お母さんから学ぶ様々な色彩。



赤、青、黄、白、黒、紫、緑、茶、等々。


水色、紺色、黄緑、桃色、肌色、灰色、等々。



色にも様々な違いがあって、

同じお花でも微妙に色彩が異なっているようです。



同じ赤色でも薄い色や濃い色があって、

他の色が入り混じった赤も存在しています。



その不思議な彩りは、

一言では言い表せない鮮やかさがありました。



その違いを学んでいくなかで、

店内に溢れるお花の香りも私の心を癒してくれます。



数え切れないくらい多くのお花に囲まれているだけで、

幸せな気分になっていたのかもしれません。



…もしかしたら?



生まれて初めて触れ合ったお花が気に入ったのかもしれません。



自分でもどうしてここまで心が惹かれたのかはわかりませんけど。


お母さんと二人で仲良く店中のお花を見て周りました。



…そうこうしている間に。



手の空いた時に説明してくれる深海さんのご両親の話も聞きながら、

お花の名前や栽培方法や原産地なども学びました。



もちろん聞いたお話の全てを覚えられるわけではないんですけど。


それでも楽しい時間を過ごせたと思います。



「はうぅ~。沢山の種類がありすぎて覚えられないよ~?」



徐々に混乱してしまう私を見て微笑んでいるお母さん達。



そんな中でもやっぱり私は店先にあるカトレアが気になって仕方がありませんでした。



ここにある沢山のお花の中で、

一番綺麗だと思える存在感があります。



だからでしょうか?



私の一番のお気に入りはやっぱり『カトレア』でした。



「ははっ。カトレアが随分と気に入ったようですね。」



私の隣に並んだ深海さんのお父さんが、

カトレアの説明を始めてくれました。



「カトレアは分類するとラン科の花になります。別名『花の女王』とも呼ばれていて、多くの人々を魅了する美しさを持っています。花言葉は幾つかあるのですが、『美しい女性』か…あるいは『魔力』と呼ばれていますね。」



『美しい女性』と『魔力』?



全然違う意味の言葉に思えるんですけど。


何故かその花言葉を聞いた瞬間に、

深海優奈さんに相応しいお花だと思ってしまいました。



もちろんお姉ちゃんや翔子さんにも似合うとは思うんですけど。


一番最初に思い浮かんだのは深海優奈さんの名前です。



「素敵な言葉ですね。」



初めて覚えた花言葉をしっかりと記憶してからカトレアと向き合いました。



「やっぱり、カトレアが一番好きです♪」



私にはどちらの花言葉も不釣り合いなのですが。


それでも一心にカトレアを見つめ続ける私の姿が気になったのか、

深海さんのお父さんは色とりどりのカトレアを選り集めてからお店の中へと入って行きました。



そして、数分後にカトレアを綺麗に包んだ花束を差し出してくれたんです。



「よろしければ、どうぞ。」


「え?貰っても良いんですか?」


「ええ、娘の友達なのですから。お代は結構ですよ。」



深海さんのお父さんはお金はいらないと言って微笑んでくれました。



「…本当に良いんですか?」


「もちろんです。娘の友人からお代は頂けません」



差し出された花束を受け取りながら遠慮ぎみに尋ねると、

深海さんのお友達だからと言ってくれたんです。



すでに誤解は解けているはずなのですが、

それでも深海さんのお父さんは私を深海さんの友達だと思ってくれているようでした。



「それじゃあ…」



両手で花束を抱えて大切に抱きしめながら、

幸せ一杯の笑顔で深海さんのお父さんに感謝しました。



「ありがとうございます♪」


「いえいえ、どういたしまして。」


「えへへ~。やった~♪」



嬉しくなってカトレアを見つめていると。



「良い子だな」


「ええ、優奈と同じくらい可愛いわね。」



深海さんのご両親も楽しそうに微笑んでくれたんです。



そんな二人の視線を受ける私は単純に幸せだったのですが、

お母さんだけは複雑な心境の様子でした。



お店にお邪魔しただけではなくて、

無料で花束まで貰ってしまったことで、

申し訳ない気持ちを感じていたのかもしれません。



「あの…。無料というのは心苦しいので、せめてお代を…」


「いえいえ」



言葉に迷いながらも深海さんのご両親に話し掛けるお母さんでしたが、

それでもお金は受け取ってもらえないようでした。



「また今度、機会があれば娘と仲良くして下さい。それだけで私達は満足ですから。」



お金よりも深海さんの幸せを願う気持ちのほうが大事なようです。



だからでしょうか?



「ご迷惑をおかけしてすみません。ありがとうございます。」



お母さんはお金の話を諦めて深々と頭を下げていました。



…う~ん。



このままじゃダメだよね?



「ありがとうございますっ♪」



私ももう一度しっかりとお礼の言葉を伝えてみると。


ただそれだけのことで満足してもらえたのでしょうか?


深海さんのご両親は笑顔で私達を見送ってくれたんです。



「また来てください。いつでも歓迎しますので」


「はい!ありがとうございます。」



深海さんのお父さんに感謝しつつ。


お店を出ることにしました。



「また来るね~♪」



笑顔で手を振ってみると、

深海さんのご両親も手を振り返してくれました。



その間にお母さんは何度も会釈していましたけど。


ひとまず私達は深海花店を離れることにしました。



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