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THE WORLD  作者: SEASONS
4月19日
1102/1212

ウィッチクイーン

「三倉さんっ!?」



倒れた三倉さんに慌てて駆け寄ろうとしたけれど。


その程度の行動さえも見逃してくれるつもりはないみたい。



「せっかくだ…。お前にも死んでもらおうか」



一方的に告げる男性が、

新たな魔術を展開し始めたのよ。



瞬間的に発動する魔術。



一体、幾つの圧縮魔術を保管してるのかは知らないけれど。


男性の手に現れた光を見た瞬間に、

死の恐怖を感じてしまったわ。



「これは…ホーリー?」



呟いた私の言葉が聞こえたのか、

男性は笑みを浮かべてた。



「正解だ」



圧縮魔術を発動させようとする男性の手から光が放たれる。



そしてホーリーの白い雷が私に届こうとしたその直前に。



…事態が急変したのよ。



「はいはい、そこまでよっ!それ以上の暴挙は認めないわ!!」



誰かが私の傍に駆けつけてくれたの。



そしてあっさりとホーリーを防いでくれたのよ。



「…すごい。」



何をどうしたのか分からないけれど。


放たれたホーリーが一瞬で無効化されたのよ。



だけど。


助けてくれたのが誰なのかが、

私には分からなかったわ。



全く見覚えのない女性だから戸惑ってしまったのよ。



でもね?



そんな私の心境なんて関係なく、

話は勝手に進んでいくみたい。



「悪いけど、『この娘』にだけは手出しをさせないわよ!」



…え?


…私だけ?



よくわからない宣言をしている女性に戸惑い続けていると、

さらに一人の少女が駆け寄ってきたの。



「お姉ちゃん!」



私を助けてくれた女性に抱き着いた少女に、

女性は笑顔を向けていたわ。



「雪。悪いけど、この子を守ってあげて。」


「うんっ!」



女性の指示を受けた少女が私に振り返る。



「あの…。お怪我はありませんか?」


「…あ~、うん。まあ?」



いまいち話の流れが理解できないけれど。


とりあえずは敵じゃないみたいだから返事くらいはちゃんとするべきかも?



「今のところ怪我はしてないわ。」



戸惑いながらも答えてみたことで、

少女は私の手を引きながら女性から離れ始めたのよ。



「お姉ちゃん。気をつけてね。」



心配して声をかける少女だけど。



「心配はいらないわよ。」



女性は笑顔を崩さなかったわ。



「この程度の雑魚に負けるほど弱くはないわ。」



…雑魚?



「油断はしないほうが…」


「大丈夫よ。」



圧縮魔術の使い手としてはそれなりに優秀だと思って伝えようとしたんだけど。


どうもそういう問題じゃないみたい。



「相手が魔術師なら、私の敵じゃないわ。」


「…んだと?」



堂々と答える女性の発言が聞こえたのか、

男性が初めて表情を変えたのよ。



「…言ってくれるじゃねえか。女だからって手加減してやるつもりはねえぜ?」



不機嫌そうな表情の男性だけど。



「ふふっ」



女性は余裕の笑みを浮かべながら反論していたわ。



「しばらく見ない間に『牙』の連中も質が低下したわね。」



…牙?


…なにそれ?



よくわからないけれど。


男性にとっては重要な発言だったみたい。



女性が指摘した瞬間に、

男性の表情が一変したように見えたからよ。



「てめえ!何者だっ!!」



動揺して叫ぶ男性に、

女性は微笑みを浮かべたまま答えてる。



「私は『ウィッチクイーン』よ。まさか、知らないとは言わないわよね?」


「…なっ!?」



ウィッチクイーンと告げただけで恐怖を感じたみたい?



さっきまで余裕を見せていた男性は、

何故か顔を引き攣らせてしまっていたわ。



「まさか…?お前が…っ!?」



激しく動揺する男性に向けて、

女性が魔術を展開していく。



「テラフレア!!」



生まれたのは極大の炎の塊よ。



それはもう太陽そのものと言ってもいいような灼熱の炎に思えるわ。



これほどの炎の塊を浴びてしまったら、

たぶん骨すら残らないでしょうね。



それほど危険な炎が男性の頭上へと放たれて、

地上に向かって一直線に落ちたの。



「地獄に堕ちなさい!」



死を宣告する女性の声が男性に届いたかどうかは分からないけれど。



「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



三倉さんを瞬殺するほどの実力を持っていた男性が、

極大の炎に身を焼かれてあっさりと死亡してしまったのよ。



「…ふう。こんな雑魚を使うなんて『牙』も人手不足なのかしら?それとも何か他に目的でも?」



私には理解できない発言を繰り返しながら悩み始める女性だけど。


そもそも私としても何をどうすればいいのか悩む状況なのよ。



…さっきから何なの?



牙という表現も謎だけど。


朱鷺田知事も三倉さんも倒せなかった襲撃者を雑魚扱いなんて。



…一体、何者なの?



何がどうなっているのかも分からないけれど。


とりあえずはお礼を言えばいいのかな?



それくらいしか思い浮かばなかったことで、

女性に歩み寄って話し掛けてみることにしたわ。



「あ、あの…助かりました。ありがとうございます。」



素直に頭を下げてみたんだけどね。



「あ~、いいの、いいの。」



特にお礼は必要ないみたい。



「こっちはこっちの都合で手を貸しただけだから。あまり気にしないでね〜。」



気さくに微笑んでくれる対応は好感が持てるわね。



優しいお姉さん…っていう感じ?



そう思えたことで、改めて頭を下げてみたのよ。



「ありがとうございました!」



様子見とかじゃなくてね。


素直に感謝したの。



そんなふうに話し合っていると、

先程まで一緒に避難していた少女が落ち込んだ様子で戻ってきたわ。



「ごめんね、お姉ちゃん。あの人も間に合わなかったみたい…。」



ため息混じりに謝罪する少女の視線の先には今も燃え続ける一軒の家屋がある。



そこに激突した三倉さんもすでに手のほどこしようがない状況だったっていうことよね?



「まあ、仕方がないわね〜。」



少女の報告を受けた女性は、

何故か私に視線を向けてくる。



「最終的に『この子』が生きてさえいれば私達としては問題ないわけだし、その他の犠牲はどうでもいいわ。」



…えぇ〜〜〜〜!?



よくないと思うんだけど?



…だけど。



助けてもらった私が口出しできる立場じゃないのよね?



「…とは言っても、やっぱりマールグリナが落ちるのは都合が悪いわね。」



…あ~、うん。



一応、ちゃんとした考えはあるみたい。


だけど、私さえ生きていればいいっていう考えはよく分からないわね。



私が覚えてないだけで、

もしかしたら知り合いなのかな?



その辺りのことを一度聞いてみたいんだけど。



「雪。悪いけど、みんなに連絡をとってくれない?」



私が質問する前に何かを判断した様子の女性は、

少女に指示を出していたわ。



「マールグリナに潜入した『牙』の連中を一掃してほしいんだけど…。お願い出来る?」


「うん!大丈夫だよ♪みんなに連絡をとるね。」



気楽に引き受けた少女は、

どこかへと走り去ってしまったのよ。



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