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THE WORLD  作者: SEASONS
4月2日
11/185

検定試験会場

翌朝。



目が覚めると時刻は6時10分だった。



どこに行くにしてもまだ早い時間帯だ。



この時間でも訓練くらいは出来るかもしれないが、

早朝から稼働しているのは校舎内にある食堂だけだろう。


今日の予定としては昨日下見に行った検定会場に向かうくらいしかない。


とはいえ。


会場が開かれるのは8時からだからな。



今から行っても意味はない。



まずは会場が開くまでの間に朝食を済ませておくべきだろうか。



軽食程度であれば寮内の売店でも購入できるようだが、

時間があるのなら食堂まで向かったほうが安くて美味しいものが食べられるらしい。



他に予定があるわけでもないからな。


時間のある間に食堂に行ってみることにしよう。



ベッドから降り、服を着替えて、顔を洗う。



一通りの準備を整えてから学生寮を出る。



今日はどこにも寄り道せずに、

寮から真っ直ぐ校舎の一階にある食堂に向かった。


そうして朝食を食べ終えてから一息つく頃には、

すでに8時になろうとしていた。



そろそろ時間か。


食堂を離れて、今度は検定会場に向かう。



寮からの移動距離を思えばそれほど遠くなかったものの。


それでも10分近くかかっただろうか。



たどり着いた検定会場付近には、

すでに数多くの生徒達が集まっている姿が見える。



…なかなかの賑わいだな。



ざっと数えて100人はいるだろう。


会場の入口が開かれてすぐに、

新入生や上級生達が続々と検定試験会場に入っていく。


その様子を眺める間にも各地から生徒が集まり続けているのだが、

それとは別に一つだけ気になることがあった。



…予想通り、どこかに居るようだな。



周辺を見渡してみると昨日もこの会場で見かけた生徒達の姿が確認できるのだが、問題はそこではない。



今日も誰かに見られているということだ。


密かに俺の監視を行う人物が今日も会場のどこかにいる。



注意深く観察してみても、

どこに潜んでいるのかは分らない。


それでも誰かに見られているという嫌な感覚だけははっきりと感じられる。



…この状況は昨日と同じだな。



おそらく同一人物だろう。


仕事熱心なのは良いが、考えようによっては朝から暇だとも思ってしまう。



相手の目的がわからないからこそ思うのだが、

毎日あとをつけ回すことにどれ程の意味があるのだろうか?



理解できないからこそ、

他にやることがないのか?と思ってしまうのだが。



…まあいい。



直接こちらに関わるつもりがないのなら気にするだけ時間の無駄だ。


見られているだけなら問題はない。


相手が飽きるまで放っておけば良い。



この場所で監視を行う以上、

試合を見に来たと考えるのが最も可能性が高いからな。


それ以外の目的があるとは思えない。



おそらく試合内容を見ることで

相手側の行動方針も決まるのだろう。


監視の必要性がないと判断される可能性もあれば、

引き続き監視を行う必要があると判断される可能性もある。



そのあたりを踏まえたうえで最良の手段を考えるのなら、

自分がいかに無能な人間かを示して相手を油断させるのが一番手っ取り早い。



…そうは思うが。



そんな無駄なやり取りに時間を費やすつもりはない。


相手の目的がわからない状況で下手な裏工作を考えても余計に事態を悪化させるだけだからな。



もしもなんらかの事情で力を隠して行動していることがバレた場合に今よりも監視の目が強化されかねない。



そんな危険を冒すくらいであればこちらの手の内を見せる代わりに、

こちらも相手の動きを確認するほうが安全だろう。



そもそも知られて困ることは何もない。


相手が監視を続けるつもりなら堂々と手の内を見せればいい。


そうして下された評価をもとにして相手の目的を探ればいいだけだ。



しばらくは放置でいい。


監視の目は無視して行動する。


人混みをすり抜け。


会場の入り口に歩み寄る。



その間もさりげなく周囲の生徒達の様子を覗いながら、

会場の入り口付近にいる案内役の係員に話しかけてみることにした。



「これから試験を受けたいんだが、挑戦するにはどうすればいい?」


「初挑戦ですね。それでは説明させていただきます。」



ろくに挨拶もせずに何の前置きもなく話しかけたのだが、

それでも係員は不満そうな表情を見せずに丁寧な対応してくれた。



「この検定会場に集まっているのは生徒番号が1万台の生徒ばかりです。ですので、もっと上の成績を狙うつもりがあるのなら隣の会場に向かったほうがいいですよ。ここはまあ、言い方は悪いかもしれませんが、初心者が集まる最下層の検定会場ですから」



…なるほど。



最下層か。


確かにそうだろうな。


昨日の試合を観戦していたからすでに分かってはいたが、やはりここは初心者用の会場らしい。


上を目指すのなら別の会場に向かう必要があるということだ。



「もしもこの会場でよければ、中に入って正面にある受付で試合の手続きを行ってください」



ここは初心者用だと強調しながら説明してくれた係員が会場の入り口を指差す。


その方角は入り口の奥。


ここからでも見える位置にある場所だ。



…あれが受付か。



指示された方角に視線を向けてみると、

数多くの生徒が集まっている姿が確認できる。



「あそこで参加者名簿を見せてもらって、一覧表から対戦相手を選んでください。逆に自分が選ばれる可能性もありますので、あまり無理はしないほうがいいですよ。」


「ああ、分かった。」



忠告を聞いて素直に頷いてみせると、

係員は何かを思い出したかの様子で説明を続けてくれた。



「そうそう、それとこの会場に限り、観戦目的での自由な入場が認められていますが、他の会場では単なる観戦であっても受付で手続きをしなければ会場内に入れませんので気をつけてください。」



…ほう。



それは知らなかったな。


どうやら会場には入場制限があるらしい。


昨日は気にしていなかったが、

会場内に入る時は必ず受付で手続きをしなければいけないようだ。



ここは初心者用という理由で強制ではないらしいが、

他の会場では試合をするしないに関わらず入場の手続きが必要になると教えてくれた。



…そう言えば昨日は問題なく入れたな。



受付を無視して会場内を見て回っていたのだが、

それはこの会場だから許される行為であって、

他の会場では受付での手続きをとらなければ観戦すらできないということだ。



「良くも悪くも、ここは初心者用の会場ですからね。」



曖昧な笑みを浮かべながら説明を終えた係員は、

他の新入生への説明の為に離れていった。


その結果として再び一人になってしまったのだが、

そんなことはどうでもいい。



重要なのは試験会場に関しての情報を得ることだったからな。


すでに目的は達成している。



先程教えてもらった情報によると、

ここは新入生向けの初心者用の会場らしい。



…行ってみるか。



離れていく係員の後ろ姿を見送ってから会場に入ってみると、

受付には外よりも多くの生徒達が集まっている様子が見えた。



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