個人的な都合
《サイド:美袋翔子》
「理事長。報告は以上ですが、私から一つだけお話があります。」
「ん?どうしたの?」
…まあ、お話と言うか、お願いなんだけどね。
私が本当に伝えたかったのは総魔に関する報告なんかじゃないわ。
あくまでもこれまでの立場的な理由で情報を提供したけれど。
ここにきた目的は別にあるの。
本当は総魔の報告じゃなくて、
自分の意志として伝えないといけないことがあるから。
今がその時だと感じて、
理事長と向き合うことにしたのよ。
「個人的な都合で申し訳ありませんが、天城総魔に関して今後一切の調査をお断りさせていただきます。」
「…えっ?」
私の接近に若干戸惑っていたけれど。
はっきりと自分の意志を伝えたわ。
「「………。」」
私の発言によって驚く理事長だけど。
傍にいた真哉と沙織も驚いてるみたい。
二人とも、戸惑っているように見えたのよ。
だけどね。
こうなることは予測してたし、
仕方がないと思ってる。
だから退かないわ。
これだけは絶対に譲れないのよ。
「今日この時点で、天城総魔の内偵から手を引かせていただきます。」
「…本気で言っているの?」
「もちろんです。私が接した限り、天城総魔は純粋に力を求める一人の生徒であり、少なくとも学園が危惧するような存在ではないと判断します。だから…」
「…だから、もう嫌だと、そういう事かしら?」
「はい。そうです。」
理事長の問いかけに迷うことなく、
はっきりと断言したわ。




