誰かのために
《サイド:深海優奈》
「私に出来る事なら、最後まで精一杯頑張ります!」
総魔さんに向けて精一杯の笑顔で微笑みました。
例え結末が『死』であったとしても、
悔いはないと思えるように…です。
「私と総魔さんが頑張れば…共和国は助かるんですよね?」
「ああ、そうだ。」
だったら良いんです。
総魔さんの言葉を聞いて、私も覚悟を決めました。
「だったら頑張れます!ジェノスが守れるのなら。お父さんとお母さんが死ななくて済むのなら。そのためになら私は頑張れます。悠理ちゃんの家族や翔子先輩達の家族も助かるのなら…後悔はしません。」
まだ大切な人達が守れるのなら。
後悔なんてありません。
「私の力で誰かが助かるのなら、そして誰かが救えるのなら、私は私の命を捧げます。」
「…そうだな。」
そんな私の想いを受けて、
総魔さんも最期の時を受け入れた様子でした。
「ここへ至るまでに多くの大切な仲間を失ってしまった。その犠牲は決して無駄には出来ない。託された想いと…遺された意志を無駄には出来ない。兵器による破壊を阻止して共和国を守り抜く。それが残された俺達の役目だ。」
…はい。
…そうですね。
「共和国を守りたいです。」
「…ああ。そのために手を尽くそう。」
頷く私を引き連れて、
総魔さんは兵器の一つへと歩み寄りました。
「もう後には引けない。ここで諦めれば共和国は滅びる。」
「大丈夫です。私はもう逃げません。最後まで…最期まで戦います。」
ここまできて逃げるなんて出来ません。
これ以上、大切な人を失うのは嫌です。
だから私は…兵器に手を伸ばしました。
「始めます。」
兵器に流れる力に意識を向けてみます。
大地に流れる生命力。
その力は膨大で強大のようです。
人の限界を遥かに越えた先に在る力。
それはもう神様に等しい力なのかもしれません。
その力の全てを吸収するなんて不可能だと思います。
この星の力を私一人の体に留めることなんて出来るはずがありません。
まともに触れれば、
一瞬で存在ごと消滅しかねない流れに思えました。
…ですが。
それでも私は、
莫大な大地の力に…この手で触れました。
「ぁ…ぅ…っ…ぅぁぁ…っ!!!!」
一瞬で体中を駆け巡る激痛。
吸収の速度を上回る激流によって、
私は兵器から手を離して崩れ落ちてしまいました。
「優奈!?」
慌てて抱き起こしてくれる総魔さんの優しさは凄く嬉しいです。
出来ればもう少しこのままで…なんて思ったりもするのですが、
今はそんなことを考えてる場合ではないですよね。
総魔さんの腕の中で、精一杯微笑んでみました。
「大…丈夫…です。」
今の一瞬で分かることもあったんです。
痛みと引き換えに、
どうすればいいのかがわかった気がするんです。
「まだ…大丈夫…です。」
再び立ち上がった私は、
もう一度兵器に手を伸ばしました。
そしてもう一度、
兵器に干渉してみることにしたんです。
…大丈夫です。
先程の経験から、
おおよその距離感は掴んでいるつもりです。
「この、程度…なら…」
一瞬で失われそうになった意識を気力だけで維持しながら大地の力に干渉し始めました。
…その次の瞬間に。
『バチバチバチバチッ!!!!!』と、
激しい炸裂音が私の手と兵器の間から鳴り響きました。
幾度と無く繰り返される炸裂音。
その音と衝撃に堪えながら吸収を始めます。
それは理論ではなくて感覚です。
異なる力を魔力に変換するのは、
理論ではなくて直感です。
意識的に行われる変換ではなくて、
無意識に反応する感覚なんです。
自分でも不思議に思うこの力を使って、
私は大地の力を体の中に取り込み始めました。
『バチバチバチバチッ!!!!!』
『バチバチバチバチッ!!!!!』
激しく鳴り響く炸裂音。
その流れ行く力の変換過程を、
総魔さんはじっと観察している様子でした。




