不意打ち
《サイド:天城総魔》
「優奈。お前の魔力が必要だ。俺に魔力をくれないか?」
再び魔力を求めたことで、
優奈はルーンを解除してから俺に右手を差し出した。
「良いですけど…どうするんですか?」
問い返す優奈に、一言だけ答えておく。
「一つ、やりたいことがある。」
それだけを答えて優奈の魔力の供給を待つと。
優奈は余計な詮索をせずに、
俺の体に触れてから魔力を送り込んでくれた。
優奈の右手が輝くと同時に流れ込む魔力。
底を尽く寸前まで魔力を分け与えた優奈は、
小さくため息を吐きながら俺から手を離した。
「今はこれが…精一杯です。」
「十分だ。」
優奈に微笑みを返してからルーンを生み出す。
「ソウルイーター!」
俺の呼び掛けと共に現れる剣は、
優奈のルーンと同じく相反する不思議な光を放っている。
暗くもあり。
明るくもあり。
冷たくもあり。
暖かくもある不思議な輝きだ。
俺のソウルイーターを初めて見る優奈は、
自分のルーンと同じ力を持つ俺のルーンを興味深そうに交互に眺めていた。
「それが総魔さんのソウルイーターですか?」
「ああ、そうだ。」
頷いて答えてから御堂へと振り返る。
「御堂。」
呼び掛けを受けた御堂も俺に振り返った。
「どうかしたのか?」
「ああ。」
問い掛ける御堂に…俺は行動で答える。
何も言わずに。
何も告げずに。
ソウルイーターで…御堂の体を貫いた。
「ぐぅっ!?が…ぁ…!?」
「そ、総魔さんっ!?」
苦しむ御堂を見た優奈が慌てて俺の腕につかみ掛かってくる。
「どうして…っ!?」
「さがれ…優奈。」
慌てる優奈を引き離してから、
御堂の体に深く…深く…刃を刺し込んでいく。
「ぐ…ぅぅっ…!!」
苦痛を感じて表情を歪める御堂だが、
体を貫く刃には御堂の血が付いていない。
体ではなく、魔力を斬っているからだ。
「…なっ、何故だ…っ。…総、魔…っ!?」
魔力を失ってうずくまる。
それでも気合で意識を保ち続ける御堂に、
別れを告げることにした。
「御堂…お前は生き残れ。お前まで死ぬ必要はない。」
「な、何を…っ!?総魔…一体、きみは…何を考えて…?」
何を…か。
簡単なことだ。
「兵器は止められない。だが、操作は不可能ではない。だとしたら…俺に出来ることは一つだけだ。」
意識を失う寸前の御堂に、
俺は俺の考えを告げることにした。
「俺の力で龍脈の流れを操作する。そして破壊の力をここに反転させる。上手くいくかどうかは分からないが、成功すれば共和国に被害が及ぶことはないだろう。」
「な…っ!?だ…ダメだ、総魔っ!それでは…それではきみが、犠牲になる…っ!!」
必死に俺を止めようとする御堂だが、
失われつつある意識では思うように動くことさえ出来ない。
…そのための魔力だ。
俺も御堂も限界近くまで魔力を消耗していた。
唯一、優奈だけは吸収の能力によって魔力を維持していたが、
その魔力が今は俺の中にある。
この状況で御堂が抵抗することはできない。
俺の吸収の能力は強制的に御堂の魔力を枯渇させる。
「御堂…。お前をここから退去させる。」
「や…やめるんだ総魔。僕は…僕はきみまで失ってしまったら…っ!全てを失ってしまうんだ…っ!」
涙を浮かべながら訴える御堂だが、
ここで手を抜くつもりは一切ない。
強制的に全ての魔力を奪い尽くす。
「く…っ。総……魔……ぁ……。」
魔力の喪失によって意識を失った御堂は倒れた。
…これで良い。
御堂を行動不能にしたことで、
魔力を得た俺のルーンが輝いた。




