二度目の別れ
《サイド:深海優奈》
『…にゃ…にゃ~…』
ミルクの鳴き声に込められた想い。
それが何を意味するのかは私にも分かりません。
聞こえていなかったわけではないと思うのですが、
はっきりとは覚えていないからです。
ですがその鳴き声こそが、
別れを告げるミルクの最期の想いだったのかもしれません。
本来の体は一度死んで。
私の力によって精霊として生まれ代わり。
そしてまた力尽きてしまったミルクとの二度目の別れでした。
「ここで何があったのか?それは俺にも分からない。だがおそらく、ミルクは優奈を守って力尽きたのだろう。精霊としての消失。その消失によってミルクは魂の行き場を失った。それが今の精霊に意思がない理由なのだろう。」
…ミルクの魂。
総魔さんの説明を聞いてから、
私は抱きしめていたミルクに視線を戻しました。
「ねえ…ミルク…。ミルクは本当に…ミルクだったの…?」
涙を流しながら問い掛けてみました。
…ですが。
精霊は何も答えません。
魂を失ってしまったことで、
今はもう何も答えられないんです。
「ごめん…っ。ごめんね、ミルク…。私のせいで…っ。私のせいで…何度も辛い想いをさせて…っ。ごめんね…っ。」
鳴くことが出来なくなった精霊に必死に謝りました。
…だけど。
その想いさえももう…ミルクには届きません。
それでも…それでも私は謝りました。
「…ごめんなさい…っ。」
何度も何度も謝り続けました。
「ミルク…。ごめんね…。ずっと一緒にいたのに…っ。何も、気付いてあげられなくて…ごめんね…。私が…私がもっとしっかりしていれば…ミルクに辛い想いをさせずに済んだのに…っ。私が逃げ出さなかったら…ミルクは死なずに済んだのに…っ。」
再び私の心に広がっていく後悔と絶望。
現実から目を背けて逃げ出した結果として、
私は栗原さんとミルクの両方を失ってしまったのです。
「私のせいで…っ!栗原さんも…っ!ミルクも…っ!」
自分を責めることしか出来ません。
私は…私自身に失望していました。
「…私がいなければ…っ!私さえいなかったら…!栗原さんは死なずに済んだのに…っ!!私がもっとしっかりしていたら…ミルクは死なずに済んだのに…っ!」
栗原徹さんの死。
そして精霊ミルクの消滅。
二つの犠牲に自己嫌悪を感じていたんです。
「私のせいで…っ!」
「優奈…。」
何度も何度も自分を責めてしまう。
そんな不甲斐ない私の肩に。
総魔さんがそっと手を置いてくれました。




