表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホメオスタシスは、今日も眠ってる  作者: 紅月ヨルカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

こたつ会議

しばらくの静寂の後、黒猫が口を開いた。


「とりあえずさ、一旦ポテチ食べながら話さない? 聞きたいこともあるだろうし?」


そう言うと、ベッドからひらりと飛び降り、当然のように隣の部屋へ向かっていく。


海斗は腑に落ちないまま、マスコットに言われるがままベッドを出た。

なんとなくコタツへ向かい、腰を下ろす。


するとそいつは、待ってましたとばかりにテーブルの上へ――

煎餅、チョコ、ポテチをどっさりと広げ始めた。


「……いや、それ全部俺のストックなんだけど。勝手に出すな」


軽く睨む海斗に、黒猫は煎餅をボリボリ食べながら、まったく悪びれない。


「これうまいぞ。ほら、食うか? チョコもあるし、ポテチはうすしおだ。悪くない」


「いや食レポじゃなくて答えろ。

“お前は誰だ”って聞いてるんだよ。どっから来た?」


ポテチを咥えたまま、黒猫はようやく答える気になったらしい。


「それが君の願いなら、叶えてあげるのが世の情けってやつだね」


「何言っとるんじゃ。さっさと答えろ。

それと、どっから入った?」


今度はチョコを齧りながら、淡々と。


「僕は鏡から来た。

言ってしまえば、君自身みたいなものだよ。君のためを思って出てきた」


一瞬、間を置いてから、付け足す。


「……まあ、結果的に自分のためにもなるけどさ。

それとね、今の生活を続けてたら――良い死に方はしないと思うよ」


煎餅を噛む音が止まった。

海斗は思わず息を呑む。


「なんで黒猫が俺自身なんだよ。デタラメ言いやがって……。

それに、なんでお前なんかにそんなこと言われなきゃいけない?

ソースを出せ。バカバカしい!」


黒猫は一転して真顔になる。

ただし、言葉は相変わらず雑だった。


「そんな態度じゃダメだよ。普通に死んじゃう。

それかさ……いっその事、いっぺん死んでみる?」


「……いや、ふざけるなよ。

いっぺんでも死んだら終わりだろ? まだ二十五だぞ」


海斗はそう言い返しつつ、手元のポテチを口に放り込む。


「逆にお前を追い出してやろうか?」


「ひどいなあ」


黒猫は肩をすくめ、チョコをひとかじりした。


「自分の分身を放り出す気かい?

でもさ、このままいくと――好きなものも食べられなくなって、孤独死だよ」


少し考えるように間を置いてから、あっさり続ける。


「それか、一人で死ぬ。どっちがいい?」


「……結局同じじゃないか」


海斗は呆れたように息を吐いた。


「なんで同じこと二回言ったんだよ。

……まあいい。それで、どうすればいいんだ?」


黒猫はため息をつき、またポテチを頬張る。


「だからさ。作戦会議をしよう。今後どう生きるかを。

ほら、お菓子もまだまだある」


海斗は大きく息を吐いた。


「……それ全部俺のなんだけどな。

でも、生きてるなら……わかった。聞いてやる」


黒猫は満足そうに尻尾を揺らした。


「なんか偉そうだな? まあいいや。今日のところはね」


こうして――

納得はいっていないものの、海斗の“人生を変えるこたつ会議”が幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ