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ラジオでおはよう

作者: ナベノヂ
掲載日:2025/12/09

ラジオの話。

「ううん」

鳴っているスマホを止める。

「朝、か」

中学生の少年は呟く。

そして、ベッドから出る。


いつもの朝。

スマホで起きる時間を設定して、自分で卵焼きみたいなものを簡単に作って、それを1人で食べて。

歯磨きは誰にも邪魔されないで。


「いってきます」

そう言って、彼は1人で家を出る。

今の言葉、部屋のお姉ちゃんに聞こえたらいいな、そんなことを思いながら。




原因はわからない。

『中学生になったら、すぐに不登校になった』

わからない。

本人にも、その弟にも。

もしかしたら、入りたかった部活に入れなかったのかもしれない。もしかしたら、勉強についていけなくなってしまったのかもしれない。


お姉ちゃん、どんな感じで僕と話していたんだっけ。

彼は、よく考える。

当たり前だと思っていた日常。

今はなき、日常。


学校には、お姉ちゃんの幼なじみがたくさんいる。

「お姉ちゃんの調子どう?」て、いつも聞かれる。

僕はまた、いつものように、笑顔で「元気だよ」て言わないといけない。


嘘なのに。

生きているかどうかも、わからない。




「ただいま」

そう言って、階段をのぼる。


そして、自分の部屋に入り、椅子に座り、スマホを取り出し、


『radikko』


2人で、よく聞いていたラジオ。

「さて、生存確認」

彼は、微笑んで呟く。

姉の投稿が読まれることを期待して。


もう、あの日常は戻らない。

だから、せめて、この日常を楽しんで生きたい。

ありがとうございました。

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