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ヲタッキーズ185 萌えるAV女優魂

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第185話「萌える女優魂」。さて、今回は秋葉原セレブが顧客になっているセレブ婚専門の仲人が殺されます。


捜査線上には、仲人の元カレ、助手、探偵、美人局専門の美人などが続々登場、さらに主人公のSF作品の映画化が決定しますが主演はAV女優で…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 ニセのギャバ子


赤いバラがフロアに落ちる。


「トマト怪人トマトン、ゲームオーバー。貴女の負けょ。音波銃を置いて」

「そっちこそ音波銃を置きなさいょ宇宙女刑事ギャバ子!」

「ソレは出来ないわ」


人質イケメンの首に音波銃を当てるトマト怪人。対するギャバ子はミニの青いメタルスーツに生脚だw


「なにょギャバ子!私をバカにしてんの?」

「バカになんかしてない。貴女が必死なのはわかる。でも、考えて。貴女を愛する人はどうなるの?」


決め台詞だ。


「音波銃を置いて。その人達のためにも!」


ココで画面は静止。染めたばかりの金髪ギャバ子は口が半開きで静止し…果てしなくバカ面に見えるw


「あぁ!とても耐えられない。ギャバ子は、物凄く深みのあるキャラで、優秀な宇宙女刑事なんだ。だのに、この女優は"バイヴ2"でエロいノーブラ女子大生を演じた女優じゃナイか!」

「少なくとも、実はヒロピンAVの"バイヴ2"をスマッシュヒットに推し上げたのは、この子でしょ?しかも、テリィ様のSFは…決してシェイクスピアではアリマセンし」

「ミユリさん!ソレに、このAV女優は"オッパイスクリーム"では全裸でチェーンソーを振り回す売春婦役だったんだぞ!」


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて常連が滞留して困ってルンだが…


今宵は口を尖らす常連のスピアが居座るw


「アレは良いAVじゃん…見てないけど」

「テリィ様。コレはオーデ(ィション)の映像でしょう?AVとは逝え、女優にはチャンスを上げなくては」

「雑誌に描いてあったけど、彼女は以前"ホーンテッド地下室"の役作りのために1週間も地下で過ごしたそーょ?」


僕の大好き女子のツープラトン攻撃?こりゃ早目のギブアップが得策だ。ミユリさんの手堅いまとめw


「とにかく役作りに熱心なコトは評価すべきです」

「でもさ。あの脚本だょw貴女を愛する人はどうなるの?だと?そんなんじゃ犯人を止められないぜ。少なくとも脚本家は地下に閉じ込めるべきだ!」

「テリィ様、もうその位で…」


スマホが鳴る。


「テリィ様。多分ラギィかと」

「彼女も、このキャスティングには大反対してくれるハズさ」

「テリィたん、良いから出たら?スーパーヒロイン殺しが3時のヲヤツより大好きナンでしょ?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


昼下がりの"秋葉原マンハッタン"。摩天楼の谷間の殺人現場は制服警官とパトカーとでゴッタ返す。


「や。元気?」


制服組の肩を叩き規制テープを潜ると…


「ごめん、テリィたん。ちょっと…調子は?」

「な、なんだよマリレ」

「コレ…」


ポケットから婚約指輪を取り出すマリレ。因みに彼女はメイド服だ。だって、ココはアキバだからね。


「マリレ…こんなの困っちゃうよ。気持ちは嬉しいけどさ。僕には、ミユリさん…」

「ヤメて。良いから。どう?」

「ジェニはきっと喜ぶさ。プロポーズは飛行船か?気候変動兵器でも使うか」


マリレはシカメ面。


「あら。普通に行っちゃダメかしら?」

「あり得ない。プロポーズは、派手に宣言しないとダメだ。最低ドローンは使わないと」

「女子は堅苦しくナイのを望んでる」


突然割り込むラギィ。僕は天を仰ぐ。


「普通に言われても味気ナイでしょ…結婚スル?」


マリレの指輪を見せラギィに言ってみる。すると…何やら微妙な空気が漂って、ラギィは勝手に赤面←


マリレが慌てて指輪の箱のフタを閉めるw


「とにかく…ドローンなら全然堅苦しくないょ」

「パイロットに盗み聞きされても良いのね?」

「ドローンが絶対良い。ドローンにしとけ」


ラギィに続き、黄色い規制線を潜ると、花壇の鉄柵に串刺しになり絶命しているパーティドレスの女。


鑑識がアチコチの方向から写真を撮っている。 


「被害者の名前はステイ・コリズ。45才。"bloodtype BLUE"。第2.5種サイコメトリー。職業は、金持ち専門のプロの仲人」

「絶滅危惧種だ!昔、そーゆー番組あったょね!」

「誰かに襲われてるわ」


素早く遺留品をチェックするラギィ。


「財布は盗まれてナイけど、鍵がなくなってる。自宅かオフィスが侵入されてる可能性が高いわ」

「ラギィ。昨夜は、彼女のお陰で結婚出来たカップル達が開いた謝恩パーティだったみたい」

「会場は?」

「東秋葉原85丁目の店」


有名レストランの名前が出る。


「ココから近いね」

「彼女は10時前に帰ったそうょ」

「OK。死亡時刻は22〜23時」


僕は首を傾げる。


「犯人はパーティにいた人かな?」

「せっかく結婚出来たのに、仲人を殺すなんて」

「はい?」


全員シラケる。慌てて足早に去るマリレ。その時、路地に乗りつけたヤタラ高級な車のドアが開く。


特別区長(アキバD.A.区長)が遊びに来たかな?」

「もっと良い人ょ」

「ロックンロールスターとか?」


ブーツだ。降車したのは金髪の大柄美人。婦警が僕達の方を指差す。金髪が風にそよぐ。純白コート。


「マジかょ?ナタリ・ローズだ!」


周囲がザワメキ立つ。唖然とスル僕達。濃いスチームの中を颯爽と歩いて来るAV女優ナタリ・ローズ。


「彼女が"宇宙女刑事ギャバ子"を演じルンですってね?」

「そりゃマジすげぇじゃん!」

「でも…なぜ現場に?」


すると、ラギィがドヤ顔だ。


「役作りのため、しばらく捜査に同行するコトになったの。ギャバ子をリアルに演じたいんですって。ほら、私がギャバ子のインスピレーションだから。忘れた?」

「…君は許可したのか?」

「ええ」←


高身長AVで映えそうな女優さんだ。周囲を睥睨。


「ラギィ警部!驚いたわ。"宇宙女刑事ギャバ子"のイメージ通りなのね!」

「ナタリ。コチラはテリィたんとヲタッキーズのマリレょ」

「あ、らぁ」


照れ笑いするメイド。


「私は役作りにうるさいの。貴女になり切れるように観察させて。よろしくね」

「OK。観察されるのには慣れてるから」

「えっと。さっきは聞こえなかったかな?僕がテリィだけど」


割り込むが塩反応w


「あ、そう」

「"宇宙女刑事ギャバ子"を描いた人ナンだけど」

「ソレで聞き覚えがあったのね」


何だって?エアリが駆け込む。


「今、連絡があったけど…」


絶句。ナタリを見上げるエアリw


「Hi」

「ナタリ。ヲタッキーズのエアリ。彼女は、地球が冷え固まった頃から生きてるのょ」

「あら。あらら」


握手する。照れ笑いするエアリ。


「エアリ、ソレで?」

「彼女のオフィスが荒らされてた。彼女の鍵が盗まれた理由がわかったわ」

「じゃヲタッキーズは、オフィスへ。私達は、パーティの参加者に話を聞くわ」


照れ笑いしてナタリに手を振るマリレ。


「ナタリ。行くわょ」

「OK!…あら、ROGだっけ?」

「あのさ。君の役を描いたのは僕ナンだけど」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。

専用エレベーターのドアが開く。


「仲人を殺して得する人なんているの?」

「ソレを今から探すのょ。事件発生から48時間以内が鍵。ソレ以降は証拠が消えたり、証人の記憶が曖昧になったりスル…あら?ごめんなさい。みんなが見てるわ。有名人が本部に来るナンて、そうそうナイから」

「みなさん、こんにちわ」


本部の全員がナタリを見てる!椅子から立ち上がったり電話をしながら、ナタリを見てヒソヒソ話だ。


手を振る"軽い"男もいる(僕だw)。


「みんな、聞いて。私に同行するナタリ・ローズさんょ。サインが欲しい人は今の内にお願いして。早く仕事に戻りましょ」

「ツーショを撮りたい人はコチラへどうぞ」

「うわ!」


ナタリからコートを渡される僕。ナタリは、胸の谷間チラ見せドレス。モデル歩きでファン?の中へ。


片端からサイン。写メにも応じる


「同行するなら、なぜ僕に聞かない?」

「何で?決めるの私だし」

「マジかょ?ナタリのファンなのか?」


マジ驚く僕。


「確かに好きだけど…」

「ええっ。"地獄の住所録"を見て感動したとか?それとも"デビルキャプテン"かな」

「確かに日本刀でゾンビと闘うシーンはかなりイケてたわ」


あんなの見てんのか。僕も見てるけど笑


「まぁそうだけど…彼女は、ギャバ子とは、ちょっち違うンだょな。ギャバ子は、もっと複雑で一流メンズが愛する刑事キャラだから」


ナタリはメンズ署員達と一緒に写メを撮っている。


「でも、どう演じるかは、まだ未定でしょ?」

「でも、わかるさ。僕は原作者だぜ?ソレに邪魔だろ?民間人ナンか同行したら。何をスルかワカラナイぜ?」

「ソレ、最凶のジョーク?」


制服警官の先導で、パーティに参加した華やかな一団が入って来る。ラギィが、コートを僕に預けるw


「コチラへどうぞ」

「ナタリ。事情聴取に付き合う?」

「直ぐ行くわ!」


とか逝いつつ、メンズとツーショに収まるナタリ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


被害者ステイのオフィス。額縁の絵が落ちデスクやチェアが散乱。奥に古いジュークボックスが鎮座。


「犯人は何を探してたのかしら」

「マゴマゴしてナタリに気持ち悪がられたわ」

「カモね」


マジで悩むマリレ。


「彼女は寝てみたいAV女優ベスト5に入ってるの。ジェニだってナタリとなら浮気を許可スルって言ってくれたのょ」

「許可されても無理でしょ」

「何コレ…何があったの?」


黄色いテープを張られた向こうで騒ぐ女。


「貴女は?」

「ジュリ・テイラ。ステイの助手です」

「残念なお知らせがあります…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。万世橋(アキバポリス)の捜査本部では、如何にも金持ち然とした夫婦が出て逝く。すごいコートの金髪夫婦w


「良い情報提供が出来たかな?」


唇の端2mmで笑って見送るラギィ。嘆くナタリ。


「みんな使えない情報ばかり」

「いつものコトょ。数を撃たなきゃ当たらないわ」

「今のセリフ、本編で使わせてもらう!」


スマホにピコピコ打ち込むナタリ。


「まるで"金の採掘"さ。犯人って金鉱を探し当てるには、先ず小石をどける必要がアル」

「イマイチ!数を撃てば何かに当たると…」

「あのさ…」


一心不乱にピコピコとスマホ打ち込むナタリ。眉間にシワを寄せる僕。ソレを見てラギィはクスクスw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


引き続き、荒らされたステイのオフィス。


「他に貴重なモノは?現金とか」

「ナイわ。最近は売り上げも悪かったし…依頼が来てもステイが断ってたから」

「なぜ?」


一緒に首を傾げるテイラ。


「理由はわからないけど、2ヶ月前から。お陰で、事務所はギリギリの状態だった。もう廃業寸前w」

「パーティの参加者の中に、ステイに恨みを持つ者はいましたか?」

「まさか。いないわ。みんなステイに感謝してた。参加した60組は、みんな彼女のおかげで結婚出来たのょ。アレは彼女を称えるためのパーティだった」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。万世橋の捜査本部。パーティ参加者からの事情聴取は続く。また夫婦揃って金髪だ。流行り?


「でも、可哀想なのょ。ステイ自身には良い相手がいなかったみたい」

「今でも信じられない。私達を引き合わせた人が死ぬなんて」

「パーティに不審な人はいませんでしたか?」


パーティに不審な人は…スマホにピコピコ打ち込むナタリ。羽振りの良さそうな夫は鷹揚にうなずく。


「いなかったと思うわ」

「じゃパーティの後は彼女が帰るのを見た?」

「確か迎えの車が来てたね?」


夫婦で思い出すw


「誰が迎えに来てたの?」

「スモークガラスで顔が見えなかったわ」

「車種は?」


僕の発言では、ナタリは打ち込まない。気にし出すと何かイライラして来る僕。


「スポーツカーのボクスター。色はシルバー」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ステイのオフィス。


「このオフィスで、彼女に怪我を加えるような敵はいませんでしたか?」

「もしかして、ブラド・リアム?昨日まで付き合ってたけど」

「昨日まで?」


随分細かいな。秒刻み?


「今朝、喧嘩してたの」

「内容は?」

「わからない。2人とも興奮してて、ブラドが大声を出し、ステイに追い出された。確か彼は何かを返せと怒鳴ってたわ」


助手のまとめ。首を傾げるみんな。


「何のコトかしら?」

「さぁ」

「あ。失礼スルね」


エアリのスマホが鳴る。マリレが引き継ぐ。


「ブラドはパーティのコトは知ってたの?」

「招待してたけど、私から伝えたわ。パーティには来ないでと」

「ステイの周囲にボクスターに乗ってる人は?」


スマホを終え帰って来たエスポが聞く。


「いるわ。ブラドょ」


顔を見合わせるメイド2人w


第2章 取調室


取調室。被害者の元カレ、ブラドの事情聴取。ブラドは革ジャン青シャツ。ラギィは…肘をついてるw


「俺はステイを愛してた。ソンな俺が何でステイを殺さなきゃいけないンだ?」

「そんなに愛してるなら、昨日なぜ彼女に怒鳴っていたの?」

「喧嘩だからだ。俺は情熱家だからな」


うそぶくブラッド。


「情熱家だから、彼女にフラレて激昂の余り殺してしまったのね?」

「違う!」

「喧嘩の時、何を返せと迫ったの?」


名回答が飛び出す。


「"尊厳"だ」

「…ステイのオフィスが散らかってたのは、貴方が"尊厳"を探したからね?」

「そんなコトしてない。ステイは…ステイは、俺をフッたんだ」


何と涙ぐむ。溜め息をつくラギィ。


「悪いけど、疑いは深まるばかりだわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取り調べの様子を、隣室でマジックミラー越しに見ていたナタリは、ラギィに心の底から感心してるw


「ラギィってスゴい。相手から絶対に目をそらさないの。さすがは"宇宙女刑事ギャバ子"のインスピレーションだわ」

「そっか。で、ギャバ子は気に入った?」

「もちろん、気に入ったわ。パイク・ロゼパの脚本は大好きなの。"恐怖の地下室"の脚本も彼が書いたのょ」


何でドヤ顔?イラっとスル僕。


「いや。脚本じゃなくて、ギャバ子の原作だょ」

「読んでナイわ」←

「え。原作を読んでナイのに、ギャバ子役を引き受けたのか?」


当然という顔のナタリ。


「脚本と小説は別モノ。頭の中が混乱スルから原作は読まない。女優にとっては脚本が原作。ソレはAVでも同じ」

「違うって…どこが違うの?」


混乱スル僕w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


再び取り調べ。


「…彼女は、2ヶ月前から俺を避け始めた。変な時間に知らない男から電話が来たり、認めたくないが、浮気されてたのは明らかナンだ!」

「ソンなの、電話だけじゃ判断出来ないわ」

「そ、そーかな?!おまわりさん、アンタは優しいな…でも、実は先週、尾行したんだ」


ダメじゃん。ストーカーで有罪決定w


「そしたらゴロツキみたいな男といたんだ!問い詰めたら、否定したのでヲレにウソをつくな!と怒鳴ったら…まさか死ぬなんて」


泣き上戸?ヤバい。大泣きして理性が崩壊する前に聞けるコトは全部聞か出さなきゃ!焦るラギィ。


「でさ、死ぬ直前どけど、彼女は貴方の車に乗ってたんでしょ?」

「家探しスル時間が欲しくて、家まで送るコトにしたんだ」

「ソレで何処まで行ったの?」

「キス」


いや、ソッチじゃなくて!


「何処にも行ってない。また、男から電話があって、ヲレが怒鳴ったら…彼女は降りた」

「その後、貴方はどうしたの?」

「別に。近くにあったピタゴラスダイナーに入って0時過ぎまでいたさ、うわーん!」


涙腺崩壊w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。ラギィのデスクで話し込んでるラギィとナタリ。エアリが駆け込んで来て報告。


「ピタゴラスダイナーに確認したわ。10時過ぎから0時までバクラバを食べまくってたそうょ。あそこのバクラバは蜂蜜タップリでジワッとしみてて…」

「エアリ、そこまで!今、重要なのは、被害者の元カレ、ブラド・ブラムにはアリバイがアルってコトだ」

「わかった。とにかく!ステイの浮気相手を探しましょう。全部ソレからょ」


うなずきヲタッキーズは現場へ。ラギィのスマホが鳴ると同時に自分のスマホをピコピコするナタリ。


メールのようだ。


「ステイのオフィスの天井に、謎の鍵が隠されていたらしいわ。金庫はないし、何の鍵か、今、確認中よ」

「犯人は、その鍵を探していたのね?」

「ソレこそが事件を解く鍵かもしれない」


唇の端2mmでラギィは微笑。ナタリは完璧無視←


「ラギィ警部。次はどんなコトをスルべき?」

「次は…アイスコーヒーが飲みたいわ」

「私も!私達、気が合うわ」


女子2人はJKのように腕を組み颯爽と出て逝く。僕も後から続くが、突然マリレから呼び止められる。


「ねぇテリィたん。私、ヘリを予約したょ。ジェリと私が出会ったレズビアンバーの上も飛ぶ。明日は内緒で彼女の両親と会って、結婚の許可を取ってくる。彼女には、エアリとダーツをスルって言ってあるからのよろしくね」

「ソレは良かった。完璧だね」

「かな?」


答えズ肩を叩いてラギィ達を追おうとするとメイド服に止められる。


「ねぇヘリポートの近くに何かロマンチックな店はアルかな?」

「え。後で調べとく」

「今、教えてょ」

 

僕は諦める。


「和食は?"イッツア相撲ワールド"って逝うチャンコ鍋の店が…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ギャレー。ラギィとナタリは2人でコーヒーカップを持ちながら、文字通り談笑している。


「マジ貴女ってスゴいわ。でも、貴女の秘密に何個か気づいちゃった」

「え。例えば何?」

「例えば…ソレ」


何気に髪の毛をいじったラギィを指差すナタリ。


「今、髪を耳にかけた。相手の気をそらし、その間に言うことを考えているのね」

「えぇそうね。無意識にやってたわ」

「ソレとバカみたいに高いヒールを履いてる。ソレじゃ走れないでしょ?」


今さらヒールに目を落とすラギィ。


「男だらけの環境で、魅力的な女性が働くのは大変ょ。ヒールで男達よりも目線を上にするコトで、優位に立とうとしてるのね?」

「うーん確かにソレもあるカモだけど、単にファッション的に高いヒールが好きなだけ」

「違うわ。女の仕草には全て意味がアル」


コーヒーテーブルを挟んで、カップで乾杯するラギィとナタリ。エスポが駆け込んで来る。


「ラギィ、進展があったわ!」


スッと立ち上がるラギィとナタリ。まさに双璧。エアリは圧倒されて回れ右してギャレーを出て逝く。


双璧は、顔を見合わせる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。エアリが手配写真を片手にレク。


「被害者ステイが死ぬ直前にスマホしていた相手はデュク・ジョズ。浮気相手ょ。不法侵入、恐喝、暴行…ちょっとした犯罪は2回りくらい繰り返してる」

「プロの仲人が、何でそんな奴と付き合ってるの?」

「事情は不明だけど複雑。ステイは、2ヶ月前からソイツに毎週50万円を払ってる」


僕の気づき。


「さっきから2ヶ月がキーワードだな」

「何の支払いなの?」

「さぁ。誰も知らないそうょ」


立ち上がるラギィ。


「じゃ本人に聞かなきゃ。お出かけスルけど、準備は良い?」

「もちろんOKょ。変装しなきゃ。顔がバレたら大騒ぎになっちゃう。迷惑がかからないようにね」

「ソレじゃバレちゃうだろ」


キャップを被ったナタリに絡む。サングラス装着。


アキバのヲタク相手ならコレで平気。貴方は、変装しないの?」

「やっぱり、した方が良いかな?」

「大丈夫。テリィたんは騒がれないから」


颯爽と出撃スル女子達。傷つく僕w

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田相生町の古い雑居ビル。西陽に灼かれる部屋で退屈そうに、生脚を組みながらスマホしてる女子。


ラギィ、ナタリ、僕の順で続々到着w


「はい。ご用件は?」

「デュク・ジョズは?」

「デュクはヲレだょ」

 

水を流す音と共に声がして、奥のトイレからチャックを閉めながら出て来る男。バッチを示すラギィ。


「万世橋警察署のラギィ…あ。その手で私のバッチに触らないで!」

「クエロ、ちょっと外してくれ」

「…ステシ・コリズが亡くなったわ」


驚くデュク。


「ステシが死んだ?」

「殺された。貴方と彼女との関係は?」

「ヲレは探偵でねぇ。ステシの顧客の調査をしていたんだ」


ため息をつくデユク。


「週50万円でしょ?廃業寸前の彼女が、何でそんなに払うかな?」

「ヲレの(フォース)が必要だったんだな」

「まぁどんな(フォース)かしら?ジェダイさん」


ドヤ顔の私立探偵。


「危険を顧みズ、人の本性を掴む力さ」

「彼女はなぜ、そのフォースが必要になったのかしら?デススター爆破のため?」

「顧客の信用審査さ。実は、以前トンでもナイ駄目男を紹介しちまってなw」


質問殺到w


「誰のコト?」

「エラい目ってどんな目?」

「知らねぇ」


優位に立ったと誤解するデュク。


「貴方は、ステイが死ぬ20分前に、何でスマホをかけたの?」

「ステイにリクエストされてた顧客の審査が終わったからさ」

「じゃ聞くけど、昨夜の10時から11時の間、貴方は何をしてたの?」


明瞭な回答が返って来る。


「セックスだ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。サングラスを外しながらナタリ。


「あのダメ男が事件に関わってるの?」

「ソンなのワカラナイょ」

「事件前にステイとモメてたのなら怪しいわ。だから、調べないと。失礼」


目の前でスマホw


「エアリ?ステイの顧客を調べて」

「彼女、頭の回転が早過ぎるわ。ソレでセクシーで威厳があって…あの全部の要素が私にはナイわ」

「ソレを習得スルために、ココにいるンだろ?」


フッと真剣な顔になるナタリ。ドキドキする←


「まぁ頑張ってるわ…でもね。ギャバ子は複雑で凄く深みのあるキャラだから、ちゃんと演じたいの。わかる?」

「そっか…"ホーンテッド地下室"の役作りのために1週間地下室で暮らしたんだって?」

「そんなのウソょ…実は1ヵ月。変な奴と思われるから、1週間ってウソついてる」


率直に感動w


「了解。ありがとう」


遠くでラギィはそう言ってスマホを切る。


「ねぇステイのオフィスの天井に隠されてあった鍵の正体がワカッタわ」

「お気に入りスニーカーを入れた靴箱だ」

「ブ、ブー」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ステイのオフィス。ジュークボックスを動かし鍵で裏蓋を開ける。中にボストンバックが入っている。


チャックを開けたら…


「ヤダ。スゴい大金!しかも古札ばかり」

「ざっと2000万円はありそうだ。珍しい金庫だな」

「犯人は、コレを探してたンだわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の捜査本部。


「助手のテイラによると、仲人業は廃業寸前で2500万円も隠しておけるような状態じゃなかった。しかも、エクロフのバックは、ステイが好むブランドじゃない」

「そのバックの持ち主を探せば良いんじゃない?」

「ソレが難しいわ。この素材じゃ指紋は出ないし」


ラギィは頬杖して黙り込む。するとソレを尻目に、ナタリから思いもかけないアドバイスが飛び出す。


「バックの番号を調べてみたら?」

「バックの番号って?」

「コレは60万円もするドイツ製のバックょ。全てハンドメイドなの。だからバックの1つ1つに番号が振ってあって持ち主がワカルようになってる。盗まれた時のためょ」


陽気に笑い飛ばすラギィ。


「そんなバックに60万払うなんて何処のバカょ?」

「私。フルセット持ってる」

「お見それしました」


笑顔が消えるベケット。ニヤニヤするキャッスル。大物の風格漂わせ一気に"主導権"を握るナタリw


「で、そのバック。番号はついてない?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。ホワイトボードの前で腕組みするラギィにメモが回って来る。


「ドレスデンに電話したら、登録番号からバックの持ち主がわかった。バックの所有者は秋葉原セレブのトニャ・ウラン。旦那は財界の大立者ょ」

「ナタリ。貴女のお陰で解決に大きく近づいたわ」

「ホント?」


余裕で微笑むナタリ。僕は必死に先輩ヅラする←


「クセになるだろ?謎を解いた時の快感って」

「確かに脚本だけじゃわからなかったわ」

「そう思ったら原作の小説を読むんだ」


答えは意外だ。


「読むわ」


彼女と会って、初めて笑いかける。


「トニャと夫のビールは、ステイのパーティに招待されてたわ」

「ん?パーティ参加者とは全員話したのに覚えてないな」

「欠席したんだ」


「上等ね。じゃ私の尋問パーティに招待したら来るかしら?」


立ち上がるラギィ…腕組みして、全く同じ仕草で立ち上がるナタリ。完全相似形だ。完コピしてるw


「そっくりだ」

「こわっ」

「セクシーだ」←


振り返って、初めて自分を完コピ中のナタリに気づいたラギィは、上から下まで見て全力で当惑スル。


「ソレって…もしかして、私の真似?」

「貴女、容疑者が出ると、立ち姿勢まで変わるのね?気づいてる?」

「マジ?」


余裕で微笑むナタリ。


「今は貴女の真似。でも、も少ししたら私は、貴女より貴女らしくなるわ」


指を鳴らしスタスタ歩き去るナタリ。呆気に取られるラギィ。フト我に返ってイライラと叫ぶ。


「トニャを連行して。早く!」


直ちにヲタッキーズ出撃。1人になったラギィはデスクに座ったり立ったりし立ち姿勢を確認してるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋の取調室。たった1人のセレブ夫人を半円形に囲むようにして、合計5人の弁護士がついてるw


「トニャさん。貴女はステイの顧客で、現在の結婚の仲介をしてもらっていますね?」


左側に座っている首席?弁護士がうなずく。


「ええ。確かに夫を紹介してもらいました」

「昨夜のパーティを欠席したのはナゼですか?」

「ソレは…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


例によって、取調室の隣の部屋では、僕達が息を殺してマジックミラー越しに一部始終を見守ってる。


「昨夜のパーティを欠席したのはナゼですか?」

「ナタリの完コピ、そっくりだょ!素晴らしいな」

「怖い位に上手いわ。でも、貴女は少しも怖くないけど。さすがは(AV)女優ね!」


おだてられて素顔で笑うナタリ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


事情聴取は続く。


「トニャさん。貴女の所有するバックがステイのオフィスに隠されてあった。中に2500万円が入った状態でした。ご説明いただけますか?」

「依頼人は、その質問にはお答え出来ません」

「ステイにお金を渡した?何のためのお金?他に誰が知ってるの?」


口をつぐんだママ弁護士を振り向く。


「警部さん。依頼人は、黙秘権を行使します」

「トニャさん。コレが殺人事件の捜査だとわかってます?貴女のバックが重要な証拠なの」

「警部に警告スル。依頼人は任意で来ている。ソレに彼女の夫は財界の大物だぞ」


髪を耳にかけるベケット。


「トニャさん。2ヶ月前、何があったの?」


首席?弁護士をチラ見するトニャさん。


「話は以上だ、ラギィ警部」


トニャ、首席?弁護士、他の4人の弁護士が順番に立ち上がる。席を立つのにも序列があるようだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。僕は御屋敷のモニターでナタリのオーディション画像を見てる。


"銃を置いて…置かないと撃つ…ソレは出来ないわ…馬鹿にしてんの…貴女の愛する人はどーなるの?… "


ホットミルク片手に絡んで来る常連のスピア。


「どーしたの?新しい拷問中?」

「考え直してたんだ、ナタリのコト。意外とこの子ならイケるカモ」

「でしょ?私はピッタリだと思う。"バイブ3D"でも、かなーり良い演技をしてたしね。って演技の話ょベッドパフォーマンスじゃなくて」


スピアの話は、時々当たルンだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌朝の捜査本部。僕がコーヒーのベンティサイズを2コ持参で出社スルと、何とナタリは既にホワイトボードをチェックしてる…してる演技なのカモ?


デスクワーク中のラギィはナタリをチラ見w


「気が利くぅ」


僕が持参したベンティサイズのコーヒーを1コ勝手にひったくて飲む。コレも演技の練習なのかな?


「あ、それは…どういたしまして」


最低の受け応え。ラギィは目が三角になるw


「で、状況は?」

「ヲタッキーズがトニャを調べてる」

「じゃデュクのアリバイは?」


ココでラギィがたまらズ"介入"を試みるw


「実は…」

「近所の人が開け放しの窓の外まで"お熱い物音"を聞いてた。つまり、彼は犯行時刻に間違いなくセックスしてた」

「そ、そーゆーコト」


スッカリお株を奪われたラギィが僕の腕を掴む。


「テリィたん。ちょっと話せる?」

「あぁモチロン」

「え。私も行って良い?」


もちろんダメだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)のギャレー。


「私のコーヒー、ナタリに取られた!」

「たかがコーヒーだ。また買って来るから」

「次は魂を取られるわ。やるコト成すコト真似されて、もう私の頭の中に彼女が住み着いてるみたい。彼女が出てるAV映画のヒロインの脳味噌を食べる寄生虫と同じょ!」


おやおや。いつもと立場が逆?マリレが割り込む。


「熱心な(AV)女優だから、ちゃんとした演技をしてるだけさ…マリレ、何かわかったか?2500万円は何だった?」

「ソレについては未だワカラナイ。でも、進展があったわ。デュクが言ってたダメ男が誰だかわかったわ。トニャの旦那のビール・ウランょ。結婚は3度目の猛者だけど、婚前契約の関係で元妻達には¥1も渡ってナイ。しかも、今の妻のトニャとも2ヶ月前から離婚協議中ょ」

「だから、トニャにも¥1も渡らないよう、顧客の審査を始めたのね?で、今回もトニャには¥1も渡らないワケ?」


ところが、驚愕の事実w


「そうはならなかった。今回はビールの方が婚前契約に違反したの。浮気ょ。トニャには1億ドルが支払われる。今回は証拠画像もバッチリなの」

「証拠写真?」

「おいおい。そんな写真、どこにあったの?」


ドヤ顔のマリレはファイルから濡れ場画像を出す。


「ちょっち見て良いかな?」

「テリィたん。証拠品はポルノ写真じゃないのょ」

「…いや。その両方カモね。見覚えは?」


驚きの画像をラギィに見せる。


「デュクのトコロにいたクエロじゃない?!クエロはプロの"寝かせ屋"だったのね?」

「YES。夫をハメるためにステシは2500万円でトニャの手助けをしたのか」

「その結果、証拠画像を握ったのはデュクょ」


"妄想ハレーション"が起きそうな予感w


「デュクはクエロを餌に使い、この写真を撮った」

「そして、ビルに浮気をさせた。引っかかったビールは契約違反で1億ドル支払うコトになった?」

「そりゃ僕がビルなら復讐したくもなるな!」


ナタリを従え、飛び出して逝くラギィ。


「ビールを連行して来る!」

「…マリレ。クエロのエロい写真は?」

「コピーしといたわ、テリィたん」


ラギィを見送り、紙コップのコーヒーで乾杯w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


引き続きマジックミラー越しの取調室の隣室。


「人を串刺しにしそうな顔だわ。凶暴な犬ね」

「ステイは、トニャにあんな男を紹介したコトを悔いてた。だから、美人局に協力して復讐を果たしたワケね」

「美人局か。つまり、法的にはステイがしたコトも立派な犯罪よね」


マジックミラーの向こうでは、いよいよ取調べが本格化スル。 


「まぁな。でも、ベケットは優秀だから、徹底して被害者の味方をするさ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室。狂犬?ビールは、銀髪、青ジャケに黒シャツ。青いネクタイ。花壇の柵に串刺しになってるステイの画像を見ながら顔色1つ変えない。


「私が犯人だと?動機は?」

「不毛な結婚」

「あの結婚を決めたのは私自身だ」


何?手っ取り早くクエロのアヘ画像を出す。


「だとしたら、なぜ彼女と浮気したの?」

「私の私生活がステイの殺人とどういう関係があるんだ?」

「あら?貴方は質問に答えるだけで良いの。クエロの出会いは?」


余裕で追い込むラギィ。


「悪の巣窟ホテル“レコル・アクシヲム”のメインバーだ。彼女が私の時計ロレックスを褒めてきた。あの美しい瞳でな…それで、プレジデンシャル・スイートに部屋を取ったンだが…その浮気で人生を台無しにされるとはな。昔は隠し撮りされる心配なんてなかったモノを」

「高くついたわね。婚前契約の違反で1億円を支払うんでしょ?貴方の婚前契約違反をステイが全部仕組んだと知って、激怒したんじゃない?」

「なんだと?!」


怒髪天をつく。え。知らなかったの?焦るラギィ。


「ウランさん、落ち着いて」

「おい!まさか、あの女は、ステイと妻に雇われてたのか?全部あいつらが仕組んだことなのか?」

「1億円じゃ立派な殺人の動機になりそうね」


何処か変だわと思いつつも、捜査方針に縛られ冤罪にブレるラギィ。


「いいか、よく聞け。私は犯人じゃない。なぜなら、私が犯人ならステイだけじゃなく、妻も殺してたからだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「事件の夜、ビルは香港にいた?」


捜査本部。ベケットのデスクを中心に失望の輪が広がる。スマホを切るラギィ。


「1週間滞在し昨日帰国したばかりだって」

「殺し屋を雇ったとか?口座を調べたらどうかしら」

「殺し屋代金は口座引き落としに馴染まないな」


ヲタッキーズのメイド2人が帰って来る。


「デュクが消えたわ。事務所はモヌケの殻。何も残ってない。ファイルもパソコンもクリップ1本残ってない。自宅にもいないわ」

「助手のクエロは?」


首を振るマリレ。


「そもそも、クエロ・グレスが存在しない。ステイの助手も、クエロなんて知らないと言ってる。まぁ彼女は、クエロはもちろん、デュクのコトも知らないと言ってルンだけど」

「デュクとクエロは完全に消えた。秋葉原での追跡は不可能だ」 


腕を組み唸るラギィ。


「ステイが殺されたから、2人も犯人に狙われると考えたのかしら」

「ソレとも、実は2人がステイを殺して、国外へ逃げたとか」

「え?」


いかにもラギィが考えそうなコトを口にするナタリ。少し驚く。


「ヲタッキーズは、ビールがシケ込んだ悪の巣窟ホテル"レコル・アクシヲム"で聞き込みして情報を集めて。私はデュクについて調べてみる」

「ROG!」

「いってらっしゃい」


それぞれ飛び出して逝く。珍しく見送るナタリ。入れ違いにキャップ帽の男が入ってくる。宅配便か?


「ナタリさんはコチラ?」

「はい、私」

「あ!ナタリ・ローズだ!スゲェ」


笑顔で立ち上がるナタリ。キャップ帽の男から渡されたクリップボードにサイン、ついでに作業着にもサイン。男は大喜びで帰って逝く。きっと家宝だw


「何を頼んだの?」

「え。リサーチに使うモノ」

「リサーチに?」


キャップ帽の男から渡された衣装箱をラギィのデスクに置き、バサッと髪を下ろすと、急に「気さくな街の美人」になってしまう。こっちの方が好きだw


「トイレどこ?」

「エレベーターの横だ」

「OK。ありがとう」


おぉ!トイレに逝くのもモンローウォークだw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


悪の巣窟ホテル"レコル・アクシヲム"でクエロのアヘ顔をベルキャプテンに見せるエアリ。


「知ってますよグレタです」

「グレタ?」

「ええ。グレタ・モガンです…ウチでは」


明瞭に応えるベルキャプテン。


「泊まってたのは3週間前?」

「YES。先週の月曜までいたかな」

「2週間ね?連れはコイツ?」


デュクの手配画像を見せるマリレ。


「ああ、コイツですね。ええ。ロビーで2人一緒にいるのを良く見ました。どーやら彼女は重罪を犯したみたいですね」

「あら。どーしてそう思うの?」

「この前は万世橋アキバポリスが同じ質問をしてきましたから」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


夜の捜査本部。僕はラギィのデスクに腰掛け、手配写真と書類に目を通す。


「デュクのアシスタントの本名は、グレタか。AV上がりの元ストリッパーだ。客引きで逮捕、保護観察処分に…服役もしてるのか!猛者じゃないか」


「今度はターゲットをセレブに絞ったみたいね」

「もしかしたら、グレタは2500万円目当てでステイを殺したのかも」


やっぱりラギイとは波長が合うな。さすが元カノ…


「そーね。グレタは指名手配済み。神田リバー水上空港とグランド末広町ステーションを抑えたから国外へは出られない」


そこへ…ラギィと全く同じ服のセンスのラギィ?いや、同じ黒系の服に紫のブラウス、髪を下ろし、メイクも変えたナタリが捜査本部に乗り込んで来るw


「数を打たなきゃ当たらないわ!」


思わずシャープペンを取り落とす。呆然と立ち竦むラギィ(本物(モノホン))。2人並ぶと確かにソックリだ。

口を半開きにしたママのラギィを初めて見る。なかなか見ものだ。"新橋鮫"とか恐れられてたが…


「コレ、夢で見たな…あ、声に出ちゃったw」

「ラギィ警部!」

「ありがとう。ジンソ!」


婦警が当然のように、コスプレしたナタリに書類を渡す。答えてから、傍らのラギィに尋ねるナタリ。


「今のジンソよね?」

「ベケスよ!貴女はラギィじゃない。ラギィは私!」

「まあね」


荒々らしく書類をひったくるラギィ。不敵なドヤ顔のナタリ。彼女は、口をポカンと開けた僕の前に両手をつき、挑むように瞳の奥をのぞき込んで来る。


「そうね。でも、私は着実に近づいてる」

「た、確かに近づいてます」

「でしょ?よろしく」


にっこり微笑むナタリ。ラギィがハードランディングで割り込む。


「グレタとデュクの捜索は始まったし、クレジットカードは追跡してるわ」


僕が持ってるペーパーを見ようとして伸ばしたナタリの手をパシッと叩くラギィ。


「今日はこれで終わりよっ!」

「なんで?まだ早いわ」

「早いよ」


つい同調して、力一杯地雷を踏む僕。ヤバい。


「あのね!ストレスの多い仕事だから、私達は、休める時に休まなきゃダメなの」

「そ、そうだったね」←

「…わかった。荷物を持って来るわ」


ナタリを見送り、荒々しくドアを閉めるラギィ。


「彼女どう考えてもおかしいでしょう?」

「全くだ!でも、全部役作りだよ」

「何ですって?」


途端にブワッと涙目になり、泣き出しそうな顔になるラギィ。ヤバい。墓穴ばかり掘ってるよ。

ココは戦線を整理、縮小して立て直そう。予備兵力が必要だ。ナタリの後を追い、本部を脱出。


「光栄だと思うのも手だよ」

「ええ。そうね。そうだわ」

「だろ?」


僕が去った後のラギィの独り言。


「光栄に思えですって?冗談じゃナイわ。絶対ダメょ。ウカウカしてると、あの女に私の人生を乗っ取られでしまうわ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


一方、僕は衣装箱を抱えて本部を出るナタリに、あくまで紳士としての立場から声をかける。


「僕が持つょ(と逝い終わる前にもう持たされてるw)」

「あぁガッカリ。コスプレして今夜はリサーチって気分だったのに。どう?私って"宇宙女刑事ギャバ子"のインスパイアになれてる?」

「なれてるさ!」←


箱を小脇に抱えながらエレベーターに向かう。


「昨夜、原作を読んだわ。脚本よりずっと良かった。"地下鉄戦隊"も読んだの。従軍記者のルックは、テリィたんがモデルなのね?私、気づいちゃった」

「まぁね。僕とラギィを参考にして描いてる」

「セックスシーンも?」


斬り込んで来るw


「アレは、そのぉ…」

「妄想なの?今の私も妄想かしら?」

「読者の定期的な濡れ場期待に応えてるだけだょ」


エレベーターが来て僕達は乗る。エレベーターの中で、僕に異様に近づくナタリ。


「ねぇ?小説の中ではギャバ子とルックの情熱はとても大切ょね?私は、ソレを正しく演じたいの」


僕の胸に両手を当てて、ゆっくりとエレベーターの壁に僕を押し付ける。コレは…逆・壁ドン?笑


「実際に作品のパトスを感じなきゃ」

「ナタリ。あのさ…」

「私は、ナタリじゃない。ギャバ子ょ」


キス。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


閉まりかけたエレベータードアの隙間から"運命の瞬間"を見てしまうラギィ。

後日談だが…その瞬間、僕の手からはレンタル服の箱がポトリと落ちたというw


「あぁ神様…」


絶句するラギィ。その頬に伝う一条の涙w


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌朝、最高ランクのルンルン気分で、両手にベンティカップを持って、踊るような足取りで歩く僕←


行き交う全ての署員とハイタッチ!


「絶好調だな!昨夜は良いコトあった?」

「おはよう!…おはよう警部さん」

「あーら私が受け取っても良いのかしら」


渡しかけたベンティカップが宙で止まる。その瞬間僕は地雷原に迷い込んだコトを知る。睨むラギィ。


「ホントは"バーチャルなワタシ"用に買って来たんじゃないの?」

「ソレって、どーゆーコトかなぁ?」

「だって、私より…」


横を泣きながらメイドが駆け抜け、マリレが追う。


「ジェニ、待って!」


エアリもギャレーから首を出して見てる。


「ジェニ。頼むから、せめて話を聞いて!」

「嫌ょ離して…え。ウソでしょ?」

「あら、こんにちわ。メイド同士で痴話喧嘩?」


エレベーターからは、ラギィのコスプレをしたナタリが悠々と降りて来るトコロだ。

"高身長"ナタリを見上げるトランジスタグラマーのジェニ。瞬間息を飲むジェニ。


「ジェニ!」


エレベーターの中まで追って来たマリレを、力任せに両手で外へと突き飛ばすw


「マリレなんか大嫌い!」


エレベーターのドアが閉まる。黒の革ジャンに青いキャミソールのナタリは、ムダにポーズをキメるw


「わぉ!朝から激しいのね」

「…マリレ、どうしたの?」

「彼女が私にスマホを届けに来たの。そして、エアリに昨夜のダーツは?とか聞いちゃって」


みんなが一斉にギャレーのエアリを振り向く。視線の十字砲火の中で、ウメキ声を漏らすエアリ。


「ジェニの両親に会いに逝くからウソをついてたんだっけ?」

「ねぇ!その話、聞いてナイんだけど!」

「だから、ジェニーは怒ったのね」


事情が共有され、修羅場に漂う意味のない安心感w


「オマケに、ナタリがいるコトもバレてしまって」

「ソレがどーしたの?」

「ベストファイブなのょ」


ますます意味がわからなくなるナタリ。


「なんなのソレ?」

「"AV女優に転生したらヒロインを演じてみたいヒロピンAVベストファイブ"に貴女が主演した"地下鉄洗体"が見事にランクインしちゃってるワケょコレが。ソレで、昨日は貴女と、つまり、そーゆーとジェニが誤解して…」

「光栄だわ!」


スゲェ!この状況を一言で総括スルとはw


「どうやら、黙った方が良さそうね。そんなワケで、ちょっとジェニに電話して来るわ。ごめん」


走り去るマリレ。フッと笑みがコボれるナタリ。


「テリィたん。貴方のベスト5で私は何位?」

「もう私は何にも驚かないわ」

「待ってょラギィ」


女子2人が歩き去る。慌てて後を追う。


「ラギィ。グレタの件で進展は?」

「さぁ?全署に聞いたけど"レコル・アクシヲム"でグレタのコトを尋ねた警官は見つからなかった」

「じゃ誰だったの?デュクは見つかった?」


(かしら)を振るラギィ。エアリが合流。


「ダメ。カードもスマホも調べてるけど、空振り」

「でも、デュークじゃなくてグレタのカードを調べたら、ここ1週間で他のホテルも色々予約してた」

「結局支払いは別のカードなんだけどね」


険しい顔のラギィ。その背中越しにホボ同じメイクのナタリ。ソックリ。気味悪そうに続けるエアリ。


「被害者ステイ・コリズのカードょ」

「先週か。ビールの浮気の証拠は、とっくに掴んだ後の話だね」

「別の男もハメてたンだわ!」


妄想エスカレーション開始。


「もし、その別の男がグレタにハメられてると気がついたら?」

「そして、グレタを尾行して、ステイの関与も知ったとしたら?」

「そして、ステシを問い詰め…殺した?」


何とナタリが割り込むw


「犯行後は、彼女のオフィスを荒らして、浮気の証拠も全部処分したりして」


僕は…思わズ2人を見比べる。


「ヲタッキーズは"レコル・アクシヲム"でグレタについて聞き込みょ」 

「ROG」

「お願い」


ヲタッキーズ出撃。僕も…


「マリレの様子を見てくる」

「どーぞ」

「…ねぇラギィ。ちょっと良いかしら?」


デスクに座ったママのラギィに尋ねる。ラギィはベンティカップのコーヒーを両手でグイと飲み干す。


「どうぞ(今さら何を言われても驚かないンだからね!)」

「キャッスルってゲイ?」

「ぷふっ!」


呆気なくコーヒーを噴き出し、大驚愕のラギィw


「待ってょ何ゴト?違うわ!あり得ナイ!」

「じゃ貴女達は誰にも内緒で付き合ってるとか?」

「付き合って"た"!元カノょ!」


言い張るラギィ。


「どうして、そんなコトを聞くの?」

「昨晩、テリィたんをベッドに誘ったの。そーしたら、普通の男なら絶対に言わないセリフを言った」

「あら、なんて?」


珍しく勿体をつけるナタリ。


「ソレはね…"NO"」

「NO?」

「おかしくない?別れてもお互い好きなのに、貴女は自分の気持ちを認めない。だから、テリィたんはSF小説を描いて妄想してる。執筆でマスターベーションしてるのょ。あぁ私のオカズランキングは何位かしら」


天を仰ぐナタリ。


「…私にどうしろって?」

「ねぇ。私がどーしてこんなダサダサな格好をしているかワカル?」

「ダサダサな格好?」


うーん黒の革ジャケに青キャミ。髪はセミロング。ぜーんぶラギィのトレードマークじゃナイdeathかw


「貴女はギャバ子でテリィたんはルックでしょ?私は役作り(リサーチ)のためにテリィたんと寝ないとダメなの。貴女から彼を説得してくれない?」

「な、なんて言って?」

「寝てもOK、とか言って上げて。やっちゃいな!なんちゃって」


やっちゃいな!が爽やかだ。


「私の一存では…ミユリ姉様にも断らなきゃ。ちょっと失礼。トイレょ」


カップ片手に、そそくさとデスクを立つラギィ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


昼下がりの"秋葉原マンハッタン"。その谷間の万世橋警察署の捜査本部。ホワイトボードに色々と描き込み(のフリw)をするナタリを遠巻きにスル僕達。


「ラギィ、大丈夫か?」

「ねぇテリィたん。私ってあんな感じなの?」

「あぁカワイイょ」


本心です。


「じゃ何で寝てくれないのょ?」


え。ドン引きスル僕。


「あ。バーチャルな私と、って意味ょ」

「おいおい。君をモデルに、僕が作った、ナタリが演じるキャラだぞ。常に目の前にいない誰かの顔がチラついて出来(立た)ナイょ」

「男ってダメね」


女は出来るのか…ソコに割り込むエアリ。


「あの仕草。全くどっちがモノホンか、私達でも見分けがつかないわ」

「向こうをやっつけるのが手っ取り早いと思うわ」

「もっと平和的に背番号制ね」


ソレは良いアイデアだ。


「ジェニはどう?」

「スマホに出ない」

「ソッチは、いつか仲直りが出来るさ。全部笑い話になる。羨ましいな」


3人が見つめる中、突然バッチを示すシーンを演じ出す(ラギィのコスプレをしたw)ナタリ。


「ステイの資料によると、先月3組が離婚をしてる。信じられるか?仲人の下、せっかく結婚したのに、その誓いを裏切って…」

「マリレ!」

「ごめん。脱線したわ」


ようやくナタリから目を離し、報告を続ける。


「2人の夫にはアリバイがあり、もう1人の離婚の原因は浮気じゃなかった」

「あら?何やってるの?署内かくれんぼ?」

「いいえ。私は隠れてないから」


エアリも割り込む。引き続き、ホワイトボードの前でバッチの出し方を熱心に練習をしているナタリ。


「で、グレタの件はどうなったの?」


エアリが慌てて報告。


「あぁ"レコル・アクシヲム"で、とても興味深い発見があったわ」

「どんな?」

「本人を見つけたわ。ホラ」


エアリが指差す先に、左右を制服警官に捕まれ後手に手錠をかけられて本部に連行されて来るグレタ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室。僕とラギィはグレタの正面。その後ろで、高いトコロから全体を俯瞰スルように?ナタリ。


「私は殺してない。アリバイを話したでしょ?」

「だとしても、美人局は売春、詐欺、強盗、恐喝、脅迫、強要…お望みの罪状から10年は蔵前橋(けいむしょ)で服役出来ちゃうの。このウチ、脅迫以外なら未遂でもOKょ。あ。でも、貴女はヤッちゃったか…でもね、捜査に協力すれば、執行猶予になるよう元カレの元カノが最高検察庁の次長検事だから、口を聞いて上げても良いと思ってるの。どーする?」

「…何が知りたいの?」


グレタ。罪深いほど、女は美しい←


「他にワナにハメた男は?」

「ステイは、顧客をダメ男から救出するコトが仲人の務めだと思ってた…」

「だから!何人、ハメたの?」


ソッポをむく…そして、一言。


「2人」

「名前は?」

「言えない」


突然!僕とラギィの間から飛び出し、机にバン!と両手をついて怒鳴るナタリw


「名前を早く言いなさい!」


驚き、目を丸くスル僕、ラギィ…そしてグレタw


「リッチ・ワイスとスコト・ドナー」


ドヤ顔のグレタ。僕とラギィは顔を見合わせる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部のホワイトボードに2人の顔写真が貼り出される。揃って銀髪。やり手の現役ビジネスマン。


「2人ともホテルで色々嗅ぎ回ってた男に似てる」

「このどっちかが犯人ってコト?」

「恐らくYES。でも、未だ証拠は何もナイわ」

「2人とも例の謝恩パーティからは直帰してるか?してなかった方が犯人だ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


捜査本部。手分けしスマホするヲタッキーズを尻目にナタリとコーヒーを飲みながら本部の中を歩く。


後ろからついて来るラギィ←


「今、ヲタッキーズが電話してる容疑者の妻のどっちかは、昨夜は殺人者と寝たってコトだ。未だ新妻なのに」

「このシチュエーション、絶対に本編で使うべき。ヒネリもドラマも要らないわ」

「え。でも。いや、ヒネリもドラマも読者には必要ナンだょ」


全く納得しないナタリ。


「いいえ!ソレは作家のマスターベーション。読者が求めてるのはシンプルなリアリティなの。役者にとって1番難しいのは、黙って動かズ、何もしない演技なの」

「(あーらゼヒ見てみたいわ:ラギィ心の声)」

「聞けたよ!リッチは、謝恩パーティの後、直帰したそうょ」


同時にスマホを切るマリレ。


「あぁどうも…妻によるとスコテも直帰してた。でも、その後で従兄弟と1杯飲みに出掛けた。でも、従兄弟のベジミは飲んでないと証言した。つまり、スコテは早めにパーティを抜けた。彼女を殺す時間は十分にアルわ」

「どう、ナタリ?一緒に逮捕しに行く?」

「あたぼうょ!待ってな、このマカロニ野郎…ヤリ過ぎたかしら?」


面食らうラギィ…いや。実は僕も口をアングリw


「えっと、あの。行くわ、で良いんじゃないかしら。シンプルかつリアリティ追求なら」

「ほーら。やっぱりシンプルが1番なのょ」


誰に逝ってルンだょw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


夜のタワマン。窓の下遠く、電気街を見下ろすビジネス区画で自分のオフィスで1人残業中のスコテ。


「万世橋警察署のラギィ。ステシの事件で、お邪魔します」


バッチを示しながら入って逝く。豪華なデスクとチェアに座り、腕まくりでデスクワーク中のスコテ。


「おや?署で全てお話ししたが」

「ソレが、殺害時に貴方が何処にいたかは、未だ聞いてなくて」

「 確か…家にはいなかった?」


ダメ推しナタリ。


「従兄弟とも飲みに行ってない」

「ウソをついたわね?ホントは何処にいたの?」

「私は…」


早くもガクブルだ。わかりやすい犯人だw


「離婚で何1000万も失うコトになるのね?4千万?5千万?ステイから証拠の写真を奪おうとした。でも、断られたから殺したの?」

「違う!そうじゃナイ!」

「スコト・ドナー、ステイ・コリズ殺害容疑で逮捕…」


1歩近づくラギィ。一瞬早く引き出しを引くスコテ…


「違うンだ!」

「音波銃だ!」

「ヲレに近づくな!」


1瞬で音波銃を抜くラギィ。一方、スコテはラッパ型に開いた銃口を、ユックリと自分の首に当てる。


「近づくな!近づくんじゃない!」

「やめて!銃をコッチへ」

「嫌だ!殺すつもりはなかったンだ。写真を渡せと言ったら、彼女が抵抗した。下に花壇の柵がアルなんて知らなかった!」


そーだったのか。泣き出すスコテ。なだめるラギィ。


「良くわかった。事故だったのね?」

「もうどうでも良いさ。私は終わりだ」

「スコテ。音波銃を渡しなさい。裁判は公正に行うと約束します!」


鼻で笑うスコテ。


「ホンキにしてないな!私を馬鹿にしてるのか!」

「してるわ!」

「な、何だと?」


ココで1歩前に出るナタリ。勇気があるのか、単なる女優バカ?しかし、スコテの視線は釘付けだw


ナタリの真剣な…セリフ(の稽古w)←


「貴方が必死なのはワカル。でも、考えて。貴方が撃てば、貴方を愛する人はどーなるの?」

「あぁ、虎子(すげぇ名!奥さん?)」

「音波銃を置いて。その人のためにも!」


そのセリフを聞き瞳からブワッと涙が噴き出すスコテ…大声を挙げて泣き崩れ、音波銃を取り落とす!


「ラギィ!」


振り向くナタリ。しかし、その時には、もうラギィはスコテを後手にし手錠をハメてる…

ん?ナタリは仕草を完コピ、僕を実験台に仕草をマネる。もしかしてコレは稽古なのか?


萌える役者魂(AVだがw)に拍手w


「あの脚本も悪くないな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


夜の"秋葉原マンハッタン"。解散が決まり、後片付けが始まった捜査本部のホワイトボードの前で。


「まさに悲劇ょね。ダメ男から女性を助けようとしたステイが殺されるナンて」

「でも、ナタリ。貴女のお陰で、今回は犯人は生きてるわ」

「上手くいって何よりょラギィ。でも、最後のセリフは失敗したわ」


いや、キマッてたょ。リアル(いつも)よりw


「ううん。一瞬間を置いた方が良かったの。"音波銃を置いて!"じゃなくて"音波銃を…置いて"。ほらね。コッチの方が断然重みがアルわ」

「きゃーお見事」

「すげぇ」


またまた"萌えるAV女優魂"を見せつけるw


「素晴らしいょ」

「どっちにしても、私にソックリね」

「ありがとう。貴女を"正しく"演じてみせる」


ナタリとラギィ。2人は心のこもったハグをスル。


「さ、行くわ。もっとリサーチしたかったコトもあるけど仕方ないか。ね?テリィたん?」

「いや。過不足ナイだろ」←

撮影現場(セット)に遊びに来て」


衣装箱を小脇に金髪おろして去るナタリ。


「モチロンさ」

「絶対に行くわ」

「あ、ナタリ。帰っちゃうの?」


エレベーターが来て乗り込むナタリ。逆に本部に入って来たのは、青ワンピに金髪を下ろしたジェニ。


「Hi。万世橋(アキバポリス)のみなさん」

「来てくれたの?ジェニ。会えて良かったわ」

「マリレ」


ハグする。


「さっきは、あんなに騒いでゴメンナサイ。大人げなかった。謝りたいの」

「良いンだょ(全署員が心の中で唱和)」

「ダメょ。私は、貴方と居られて心から幸せ。貴方を信じてるわ。そして、愛してる」


2人を囲む僕達は、一斉にスマホを見たり、ファイルを見たりするフリ。僕は、傍らでホッと胸を撫で下ろしてるエアリを荒々しく物陰に引っ張り込むw


「私こそウソをついてごめんなさい。あるコトをスルためのウソだったの。今、ホントのコトを話すからちょっと待ってて」


慌ててロッカーから指輪を持って来る。


「昨夜はエアリとダーツはしてなかった。貴女の御両親に同性婚の許可をもらいに行ってたの」


ひざまずくメイドのマリレ。


「ジェニ。私と結婚して秋葉原1幸せになろう?」


指輪を差し出す。


「…まさか。ウソでしょ!えぇモチロンょ。YES!答えはYES!」


署内は拍手の渦になる。キス。


「あぁ最高に派手にやったな」

「しかも、全然堅苦しくなかったわ」

「おめでとう!」


僕もラギィも脱帽さ。


署員全員が歓声を挙げ拍手し、2人の背中をピシャリと叩く。みんなが輪になる。肩を組み歌い出す。



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"セレブ婚の仲人"をテーマに、映画化される主人公のSF作品の主演(AV)女優、セレブ婚の仲人、その助手、その元カレ、AV脚本家、探偵、美人局の美女、秋葉原でセレブ婚する人々、仲人殺しを追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。


さらに、ヲタッキーズの同性婚騒ぎなどもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、ヤタラ礼儀正しいインバウンドが増えて来た秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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