S Q 14:連休後の仕事開始は、しばらく頭が回りません
「はい、今回もやっぱり特別編です。僕たちが何故か昔懐かしいレトロRPGの世界で戦います。今はイルミネーションで照らされた道を歩いている、召喚士に召喚された精霊〝セイク〟のユーキです」
「ドランケンサモナーのミーナです。うわぁ。綺麗ですねぇ。夜なのにとっても明るいです」
ユ「イルミネーション?」
ミ「完璧に思いつきです」
ユ「ファンタジーの世界なのに、電灯きちゃった?」
ミ「いいえ。あくまでも魔法の光です。それが木に飾り付けられたり、トンネル状になっていたり……」
ユ「この世界でも、他人の娯楽のために酷使されている魔法使いがいるんですね……親近感が湧きます」
ミ「…………なんだか悲しいんでやめましょうか」
ユ「そうですね……」
【野生のスート・レッスーが現れた!!】
ユ「空気を変えようと、レッスーが現れてくれましたよ。2匹の黒い塊が、道の真ん中に飛び出てきました……シカ??」
ミ「今はまだ黒いシルエットなんで、よく分かりませんねー」
ユ「この前野生のシカに出会った感動を書きなぐりたかったのに、レッスーの状態だとよく分からなくって盛り上がりませんねー」
ミ「多分、野生のシカの話を真剣にしたとしても、盛り上がりませんよ」
ユ「えぇ!? 野生だよ? 写真撮ったから見る?」
【スート・レッスー。種類『連休後の仕事開始は、しばらく頭が回りません』】
ミ「あー、まさに最近ですねー」
ユ「このごろ、休みを挟むと仕事の内容が頭からスコーンと抜けるんですよね。休み明けはそれを思い出すのに一苦労するんで、午前中は使い物になりません」
ミ「それが連休だと尚更ですよねー。じゃあそろそろ『じゅもん』で……メイバ!!」
ユ「make a bar appear = MABAです。テンプレのこのセリフを消して違うものにするのが面倒だったので、そのままにしました。いつもの丸テーブルに、4つのグラスが現れましたよ」
ミ「今回は2種類の〝命の雫〟ですねー」
ユ「2話考えるのが面倒になったそうです」
ミ「何なんですか!? さっきから面倒、面倒って!? やる気無さすぎでしょ?」
ユ「この前、魔王との邂逅という山場をやったんで、何をどうしたってしばらく落ち着いた展開しかこないよ! という開き直りからくるものです……」
ミ「けど、新しいお酒は飲んじゃうっていうジレンマですか……ユーキさん、とりあえず飲みましょう! かんぱーい!」
ユ「そうだね! かんぱーい」
【ドランケンサモナーのミーナが、新しい呪文を複数覚えた!!】
ミ「美味しい!! 絶対に外さない、安定感のあるこの酒蔵のお酒! 私の大好きなお酒の1つもこの酒蔵なんです」
ユ「かっちりしてて、それでいてほのかな華やかさ。実直なお酒ですねー」
ミ「2杯目もよく飲む酒蔵のお酒ですよ。わぁ! 甘くていい香り! そして後からくる柔らかな酸味。さすがです!」
ユ「うん。ここのお酒、僕も大好きなんだよねー。この日本酒に出会って、ワイングラスで飲む楽しさを知ったんだよね」
ミ「じゃあそこの『連休後の仕事開始は、しばらく頭が回りません』のスート・レッスーに使いますね」
ユ「今回も全然コールド系じゃありません。けれど、もう条件反射でレッスーの前に立ちます」
ミ『Ευχαριστώ πολύ όλους όσους κάνουν sake…………』
ユ「呪文の詠唱です。もう覚えちゃいそうですね……嘘です、全く覚える気ないです。ギリシャ語難しい」
ミ『源氏物語!!』
ユ「え? これどうなるの? 僕のまとっている光が頭上に集まって……」
ミ「巻物があらわれましたね。シュルシュルと勝手に紐が解かれ、巻き開いていきますね」
ユ「あ、レッスーに巻きつきました。2匹とも絡め取られてしまいましたよ」
ミ「強い光を発すると……レッスーが消えましたね」
ユ「……巻物の中に閉じ込められたようです。花札のような風流な絵になっています」
ミ「やっぱりシカだったんですね」
ユ「あ、巻物が光と共に消えました。あれ? シカも消えちゃった? 浄化じゃなく??」
【チャラララ〜ン♪】
【ドランケンサモナー、ミーナの勝利!! 『源氏物語』 『brewer』を覚えた! ミーナはレベルが25に上がった!!】
ミ「『brewer』を使ってないんですが……どうします?」
ユ「せっかくだから使ってみたら?」
ミ「じゃあ……詠唱をすっとばして……」
ユ「え? そんなこと出来るんだ?」
ミ『brewer!!』
ユ「…………」
ミ「…………」
ユ「見知らぬ男性が現れました」
ミ「brewerだから、醸造家? あ、酒蔵によってデザインが違う前掛けをしていますね」
醸造家「やぁ、初めまして。この魔法は基本ステータスをアップさせることが出来ます。1度発動したら、拒否は不可能です」
ユーキ&ミーナ「「え??」」
ユ「何するんですか?」
醸造家「ひたすら日本酒の醸造について熱く語るので、覚えて下さいね」
ミ「……どのぐらい?」
醸造家「ざっと5時間ですかね……では早速いいですか? まず日本酒作りには欠かせないお米についてーーーー」
ユ「…………」
ミ「…………」
醸造家「ペラペラペラペラ」
ユ「…………」
ミ「…………」
【ドランケンサモナーのミーナと、彼女のセイム、ユーキの冒険は、まだまだ続く!!】




