S Q 11:すみません。目が合っていたとしても実は見えていないんです
「はい、今回も特別編が始まりました。僕たちが何故か昔懐かしいレトロRPGの世界で戦います。今はよく分からない畑の横の道を歩いている、召喚士に召喚された精霊〝セイク〟のユーキです」
「ドランケンサモナーのミーナです。細長い葉っぱが空に向かって青々と茂っています。これは……パイナップル?」
ユ「前回、舞台の設定が面倒だと言った割には、僕たち変わった所を歩かされているね」
ミ「お酒に関連付けてしまえばいいんだ! ということを閃いたようです」
ユ「でも、RPGのフィールドが畑って……あまりしっくりこないね」
ミ「そうですねぇ。そしてお酒の話で気付けば11話。そのポテンシャルを真っ当なことに活かせばいいのに……」
ユ「まぁそうしたら、僕たちがこの前みたいに長い間放置されますからねー。スカイハイレディオのネタは10個ぐらい溜まっているけれど」
ミ「ネタも溜まっているし、プロットも溜まっているそうですねー」
ユ「そうなんですよ。それなのにある時には、主人公は同じだけど、話ごとに登場人物や舞台が変わるオムニバス形式の話を書きたいなと、思い立ったそうで」
ミ「ふむふむ」
ユ「雄大な自然をカレンダーにしたっぽいやつの月ごとの写真から膨らませて、無理矢理12話作ろうチャレンジに挑もうとしたんですよ」
ミ「……なぜ変なことに果敢に挑むんですかね」
ユ「…………けど、そうじゃないと僕たちは生まれなかった? みたいな?」
ミ「〝変なこと〟枠に見事にエントリーしてますね」
ユ「…………で、話が逸れましたが、そのカレンダーをペラペラめくってみたら……雄大な自然は表紙だけで、ある施設の詳細を12月分まるまる紹介しているだけの物でした……」
ミ「あー、あの図面とかも乗ってたやつですね?」
ユ「そうそれ。もう表紙詐欺だよね。さすがに図面とか、建物の写真を朝・夕で角度を変えたやつとかでオムニバスの小説は展開出来ません……」
ミ「…………」
【野生のスート・レッスーが現れた!!】
ユ「畑の間から、ピョンと軽やかに真っ黒い動物が出てきました! 猫? 優雅に毛繕いを始めています」
ミ「かわいいですね。黒いシルエットだけど、普通の黒猫にしか見えませんし」
【スート・レッスー。種類『すみません。目が合っていたとしても実は見えていないんです』】
ミ「あー、これはそのままですね。目が悪過ぎて、相手のことを見ていても、ぼんやりした全体像でしか捉えてないんですよね」
ユ「しかも、世の中ぼんやり見えるだけで大丈夫! とか何とか言って、メガネやコンタクトつけませんからね」
ミ「……これってストレス溜まってるんですか?」
ユ「…………多分溜まってないね。どちらかと言うと……相手が溜まってるんじゃ?」
ミ「またそっち系ですか?〝すみません〟と頭につけとけば良いと思ってますよね〜。……まぁそろそろ〝命の雫〟を飲みましょうか。『じゅもん』で、メイバ!!」
ユ「make a bar appear = MABAです。久しぶりにまた説明してみましたよ。背の高い丸テーブルと2つのグラスが現れました」
ミ「今回のお酒は面白いんですよ。日本酒なのに違う食べ物を彷彿とさせる甘さ。香りもそうなんです」
ユ「どれどれ……わっ! 本当だ。甘くてあの香りがする」
ミ「フフフッ。じゃあかんぱーい!」
ユ「かんぱーい」
【ドランケンサモナーのミーナが、新しい呪文を覚えた!!】
ミ「美味しい! 甘くて少し酸っぱい! お米なのに、この味が出せるのはすごいですよねー」
ユ「それでいて甘ったる過ぎず、飲みやすいお酒だね」
ミ「早速そこの『すみません。目が合っていたとしても実は見えていないんです』のスート・レッスーに使ってみましょうか?」
ユ「今日も絶対立ってるだけだけど、雰囲気重視でレッスーの前に陣取ります」
ミ『Ευχαριστώ πολύ όλους όσους κάνουν sake…………』
ユ「呪文の詠唱が始まりました。僕の体も何となく光のオーラをまとっています」
ミ『アナナス!!』
ユ「光が頭上で集まって……更に高い空の上へと舞い上がって行きましたね」
ミ「あれー? どうなるんだろう。……あ!」
レッスー『に゛ゃ!?』
ユ「うわっ!? でっかいパイナップルが空から降ってきてレッスーに落ちました」
ミ「そして光の粒子に変わって消えてしまいましたね。レッスーは驚いて固まっていますが、無事に浄化されて白猫になっています」
【チャラララ〜ン♪】
【ドランケンサモナー、ミーナの勝利!! 『アナナス』を覚えた! ミーナはレベルが23に上がった!!】
ユ「だいぶレベルが上がりましたねー」
ミ「そうですねぇ。レベルがどのくらいになるとルコール大魔王と戦えるんでしょうか?」
ユ「うーん……もう大丈夫かもしれないし、逆に50近くは必要だったり?」
ミ「ゲームによって違うんで、この世界ではどんな感じか分からないですよね。あと、ルコール大魔王はどこにいるんでしょうか?」
ユ「そりゃあ魔王城じゃない? ……あ!」
白猫『にゃ〜ん』
ミ「どうしたんですか? わわっ!?」
ユ「白猫が何か魔法陣を展開しました!」
ミ「私たちの体が光に包まれていますっ」
ユ「これは…………」
ミ「どこかにワープしてる!?」
ユ「まさかの連戦!? 帰りたいんですけど!」
ユーキ&ミーナ「「わぁぁぁぁ!!」」
………………
白猫『にゃ〜ん』
【ドランケンサモナーのミーナと、彼女のセイム、ユーキの冒険は、まだまだ続く!!】
何かインスピレーションを得られる良い出会いがあったら、オムニバス形式を書いてみたいと思う、今日この頃。




