S Q 10:先回りしてして余計な作業をしてくれて、笑顔で報告されました
「はい。今回も、もちろん特別編です。そろそろラジオの仕事がしたい僕たちが、何故か昔懐かしいレトロRPGの世界で戦います。今はよく分からない庭園を歩いてる、召喚士に召喚された精霊〝セイク〟のユーキです」
「ドランケンサモナーのミーナです。すごく綺麗な植物園みたいな所ですねー」
ユ「……実は放送作家さんが、舞台を考えるのも面倒臭くなってきたみたいだよ」
ミ「この10話まではバリエーション頑張ったんで、次は1話からのローテーションの舞台にしようかなとか考えてるみたいですよ」
ユ「えー……手抜きすぎじゃない? 他の小説はそんなことないのに……」
ミ「このスカイハイクエストは、もっと気楽に……他のことをしながらの、ながら執筆でも仕上がるような物にしたいそうです」
ユ「…………」
ミ「最終目標は、人と喋りながら執筆したいそうですよ……」
ユ「逆にそんな過酷な状況で、なんで執筆したいんだろう?」
ミ「ねー。喋っている相手が、スマホをすごい勢いでタップしていたら怖いですよねー」
【野生のスート・レッスーが現れた!!】
ユ「あれ? レッスーはどこだろう? ……あの綺麗な白い花を咲かせている木の上の鳥かなぁ?」
ミ「……本当ですね。黒いシルエットの小鳥がいます。何の鳥でしょうか?」
【スート・レッスー。種類『先回りしてして余計な作業をしてくれて、笑顔で報告されました』】
ミ「何だか文章に悪意を感じますね」
ユ「……遠隔操作をしていたPCの調子が悪かったから、上司にこのまま直らなかったら再起動していいかの確認をチャットでとったんだよね……」
ミ「後輩との話かと思ったら、まさかの上司ですか……」
ユ「うん。しばらく経つと何とか動いたんで作業していたら……上司から『再起動しといたよ(サムズアップ)』ってきて、データを保存してないのに再起動の画面に……」
ミ「…………」
ユ「『こちらで再起動しても問題ないですか?』って聞いたのにー」
ミ「『ありがとうございます』って返すしかないですよね」
ユ「あぁぁぁ! 僕の3時間の作業がー!!」
ミ「こんな時は涙を飲んで、お酒も飲みましょー! 『じゅもん』で……メイバ!!」
ユ「…………ミーナさんが自然にオヤジギャグを言うようになってしまった。そしていつものようにスタイリッシュな背の高い丸テーブルと、2つのグラスが現れましたよ」
ミ「上手いこと言っただけです! じゃあ……かんぱーい!!」
ユ「かんぱーい」
【ドランケンサモナーのミーナが、新しい呪文を覚えた!!】
ミ「うん……まぁ、美味しいですよね」
ユ「…………以前に買った同じ酒蔵の生酒が美味しかったんで、ハードルをあげ過ぎましたね……」
ミ「じゃあそこの『先回りしてして余計な作業をしてくれて、笑顔で報告されました』のスート・レッスーに使います……ね……」
ユ「心なしかテンションの低いミーナさんです。僕はレッスーに向かって立ったので準備万端です」
ミ『Ευχαριστώ πολύ όλους όσους κάνουν sake…………』
ユ「日本酒を作ってくださる皆さん、本当にありがとうございます! 僕の体が光のオーラをまとい出しました」
ミ『ノーブルチェリーブロッサム』
ユ「いつものように、僕の頭上に光が集まって……薄いピンク色の桜の花びらが、風に舞いながら現れました。そしてレッスーを目掛けて飛んでいきます」
ミ「レッスーは桜の花びらに包まれて……真っ白な小鳥になりましたね。ユーキさんは突っ立ってるだけなんで、桜の木のようですね」
ユ「お酒に不服なミーナがなんか辛辣……」
ミ「…………前飲んで感動した時みたいに、もう少しとんがっといて欲しかった!!」
【チャラララ〜ン♪】
【ドランケンサモナー、ミーナの勝利!! 『ノーブルチェリーブロッサム』を覚えた! ミーナはレベルが22に上がった!!】
ユ「実は今回〝レッスーを桜にかこつけてウグイスにしよう! あ、やっぱり色が綺麗なメジロで〟ってネタを膨らませていたそうです。でもレッスーは浄化されたら真っ白になるんで無駄だったと後で気付いたそうですよ」
ミ「それを言うなら、桜の種類も八重桜にして〜あの人の癖になるセリフをねじ込もう! とか展開を練っていたけれど、お酒の本当の商品名的に八重桜じゃないなと考え直したそうですよ」
ユ「なんか、グダグダですねー」
ミ「見事な中だるみです」
ユ「まぁでもそれでも突き通すのが……」
ユーキ&ミーナ「「スカイハイクエスト」」
ユ「…………」
ミ「…………」
【ドランケンサモナーのミーナと、彼女のセイム、ユーキの冒険は、まだまだ続く!!】




