表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/69

第七話 「желание(欲求)」

挿絵(By みてみん)


「それじゃ、今日の午前は


 作業はもう終わりって事か?」


「そうみたいだケド...?」


「-------??」


歯切れの悪い林の言葉を聞いて、隆和は


思わず顔を見上げる


「ただ、サギョウは午前でオワリみたいだケド、


 今日も、ヤハリ....」


「"спокойствие духаの事か?」

(スポコスティェ・ドゥハ=心和)"


「・・・そうネ」


「・・・・」


"ガタッ


「・・・エモイつぁん...?」


「(心和[スポコスティェ・ドゥハ]....)」


「ドウしたノ? エモイつぁん?」


「・・・・」


考え込んだ表情で自室の机の上に


両肘(りょうひじ)を乗せ、


机を一点で見つめている隆和を


林はただ、見る


「(講習....)」


心和(スポコスティェ・ドゥハ)


今現在、隆和が作業をしているこの


Абсолютная-Øでは、


通常の土木工事の様な肉体労働の作業の他に、


主にこの施設内の最高責任者である


アルフォンソ・ツベフォフが主催する、


構内の人員を集めての講習会の様な物が


(もよお)されており、隆和もすでにその


講習会に何度か顔を出しているが、


正直な所一応参加するには参加しているが、


その講習会の意味自体があまり良く分からない


【お前がその施設で、作業をし続け


 ツベフォフにいい印象を与えれば、


 それはEarth nEwsにも


 いい影響を与える筈だ・・・・】


「(正直、この構内での作業自体、


  かなり体にキツいし、


  できたら部屋で寝たいと思ってる)」


「・・・エモイつぁん?」


林が机の一点を見つめている隆和に、


不安そうな表情を見せる


「(だが、河野総局長の話、


  更にこのАбсолютная-Øの責任者である


  ツベフォフとEarth nEwsとの


  関係を考えれば、おいそれと


  自室で寝てるよりは


  その心和(スポコスティエ・ドゥハ)


  参加するべきなんだろうな...)」


"ガチャ"


「Что это."Амои"


 Ты был в комнате?

(何だ...."エイモイ"....


 部屋にいたの?)」


「Лебедева.

(レベデワ・・・・)」


"タッ タッ タッ タッ...."


「Как всегда, похоже,


 что вы читаете


 глупый журнал.

(相変わらず、下らない雑誌を


 見てるみたいね)」


「Забудь об этом.

(放っとけ・・・)」


"ガサッ"


隆和が机の上で、部屋で寝るか、


それともツベフォフの講習会に


参加するかを考え込んでいると、


自室のドアが開き、そのドアから


先程ポジショナー変電設備試験場で


共に作業をしていた


"ダリア・レベデワ"


が部屋の中を進み、自分の座っている


机の脇に置かれたベッドの方に向かって歩いて来る


「Holy Three Sisters....


 Strategy Roadmap....

(聖三姉妹....


 攻略ロードマップ....)」


「(英語が読めるのか....)」


「Что это?

(-----何なの。 これは。)」


"バサッ


「・・・・!」


レベデワ、は、隆和のベッドに腰を下ろし


そのベッドの隅に置かれていた


トゥルレジェ!・オルタネイティブ


FUNBOOK!を手に取り


一瞥(いちべつ)すると、


まるで粗大ゴミ置き場に置かれた


インペリアル・ポールセン(ロシア風陶器)を


見る様な目つきを浮かべ、手にしていた


トゥルレジェ!・オルタネイティブ


FUNBOOK! を床に無造作に放り投げる


「Привет!

(おい・・・・!)」


「タカカズ・・・」


「Какая?

(な、なんだ?)」


自分の大切な本をレベデワが粗雑に扱った事に


隆和が思わず椅子から立ち上がるが、


レベデワはその様子をまるで気にせず、


部屋の床に目をやる....


「Спокойствие Духа


 сегодня днем...

(今日の午後の、スポコスティエ・ドゥハ...)」


「・・・・!」


顔立ちの整った、おそらくロシアでも


美人と言える部類に入るであろうレベデワが、


自分の目を見つめながら語りかけて来るが


今、自分の大事なトゥルレジェの本を


放り投げられた事の方が気になるのか、隆和は


奥歯を噛みしめながら、トゥルレジェ!


オルタネイティブ・FUNBOOK!


を拾い上げる


「Сегодня вроде бы


 Спокойная Духа в


 тренировочном зале.

(今日も、トレーニングルームで


 スポコスティェ・ドゥハが


 あるみたいだけど...)」


「...кажется так

(・・・そうみたいだな)」


「Мы только что


 говорили об этом.

(今、私達、その話してたところよ)」


「・・・・」


レベデワがベッドから立ち上がる


「Такакадзу, кажется,


 вас не интересует эта


 «Спокость Духа», но


 этот курс очень важен


 для жизни и работы в


 этой Абсолютной-Ø

(タカカズ、あなたは、その


 スポコスティェ・ドゥハに


 興味がないみたいだけど、あの講習には


 このАбсолютная-Øで


 生活、作業をして行くのに


 とても意味がある事だと思うわ)」


「····Да неужели?

(・・・・そうなのか?)」


「Так что я думаю, вам


 тоже стоит


 присоединиться к


 Спокостиедуха.

(だから、あなたもスポコスティェドゥハに


 参加するべきだと思う...)」


「(・・・・参加...)」


レベデワはそう言うが、隆和は生来だらしない男で


今日の午後は寝たいと思っていたので、


隆和はレベデワの一言に何か考え込んだ様な


表情をしている振りを見せる


「--------Участие в


 «спокойствие духа» 


 ваше намерение, но…

(------別に、"心和"に参加するのは


 あなたの意思だけど...)」


「・・・・!」


"タッ タッ タッ タッ...."


「・・・・」


「Интересно, стоит ли


 показывать людям, над


 чем вы работаете в


 этой Абсолютной-Ø...

(少しは、あなたもこの


 Абсолютная-Øで、


 作業をしている所を周りに


 見せて置いた方がいいんじゃないかしら...)」


「・・・・」


"タッ タッ タッ タッ--------


「エモイつぁん...」


「ああ-------」


"ガチャ"


何か、思わせ振りな態度を取っている


レベデワの後姿を見ながら


「(1倍速を1/4倍すると、1.25で、


  1/4倍マイナスすると、0.75か...)」


隆和は


トゥルレジェ!・オルタネイティブFUNBOOK


の埃を払い、倍数の事について考えていた.....

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ