第五十五話 「Лев Хамовник(リオン・ハモヴニク)」
「Этот тоже
(こっちも....)」
"ザッ ザッ ザッ...."
「(Я не думаю что это не
видел но я не видел)
(あまり、"見掛けない"じゃなくて
"見た事が無い"様な気がする-------)」
冷却棟。
「(кроме того,)
(それに....)」
デッキブラシを冷却棟の入り口の前の床に
あてながら、レベデワはその入り口から
反対の場所にある、巨大な
ガラス張りの空間に目を向ける....
「(Закрытый мир,)
(閉ざされた世界....)」
「--------------
「----------
「--------
「------------
「----------....
「....--------------...
「(・・・・)」
音の無い、日が差さない、
地の底へと繋がっている様な
静寂だけが聞こえる
この地下の場所で、自分の視線の先にある
小さな、"シベリア"の意味について
レベデワは考える....
「(Цвефов,,)
(ツベフォフ....)」
"ザッ ザッ ザッ ザッ---------
「(Тот человек,,)
(あの男....)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【Лебедева,,
(レベデワ....!)】
"ガシャッ"
【да
(ダー)】
ロシア、政府ビルから程近い場所にある、
リオン・ハモヴニク美術館。
【(Этот парень,,)
(あの男....)】
【・・・・】
幾度も繰り返される、ロシアの政治闘争や
変革の波に晒され、すでに
開館する事自体を放棄したのか、
開館する事も無くなって久しく時が経つ
この古く朽ちた美術館の一室で、
生活感を感じさせない様なボロボロの
広い机につきながら自分に背を向けている
一人の男を見て、レベデワはその場に立ち尽くす
【Видимо он не гражданин
(どうやら、彼は、"国民では無い"様だ...)】
【.....】
仕事の特性上、直接物事の言及を
避ける癖がついているのか、
この目の前にいる男の言葉に
レベデワ、はこの男の指す
"彼"と言う言葉の意味が
この所このN/S本部に情報が寄せられている
ロシアでも数々の勲章を受章した
アルフォンソ・ツベフォフの事だと悟る
【он,тот парень
(....彼....あの男...)】
【・・・!】
直接"何に対して"喋っているかは分からない、
いや、あえて伝わりづらい様にしているのかは
分からないが、男の発する低い声にレベデワは、
そのツベフォフが
"調査対象"
になっている事を悟る....
"ガチャ"
「31(б) Пешка.
(31[тридцать один]
ペーシュカ.....)」
男は、回転式の椅子を傾けると
この組織でのレベデワのコードネームである
素数の一つ、"31"の数字を口にする....
「... да
(・・・ダー)」
「・・・・」
"ザッ ザッ ザッ ザッ--------"
「....Да Да....
(....うん、うん....)」
そのまま、何も言わずに自分の部屋から出て行く
レベデワの後姿を見ながら、
静かに机に両肘をつき手を組むと、男は
部屋から出て行くレベデワの後姿を瞬きせず
じっと見つめる--------
「.... ....」




