第四十四話 「Отступление(余談)」
"サアアアアアアアアアァァァ--------
「・・・・」
「(相変わらず、何も喋らんな....)」
「・・・・」
Абсолютная-Ø、閉ざされた世界。
「・・・・」
「・・・・」
目の前に流れる寄る辺の無い小さな小川を
ツベフォフは、ぼう、と川縁の側の
窪突ができた場所に乗り、
何も喋らず、ただ小川から流れて来る
水音に耳を澄ます------....
「(また今日も、この場所の
掃除か何からしいが....)」
"ククッ"
「・・・・?」
座っている自分から少し離れた場所に立っている
ツベフォフが、突然何か思い出した様に
含み笑いの様な笑い声を上げる
「Директор Цвефов?
(....ツベフォフ所長?)」
「...! Эймой,
(・・・・! エイモイ....っ)」
「Что-то интересное?
(何か、面白い事でも....?)」
「Интересно Интересно да
(面白い? ....面白い、か-------)」
"ザシャッ"
「・・・・!」
川縁から振り返ると、ツベフォフは
隆和の側へと向かって歩み寄って来る....
「За это время Кокорова,
(この間の、"心和"-------)」
「Ах ах Эта
Метавселенная.
(・・・あ、ああ。 あのメタヴァースの。)」
「・・・・」
"ブッ"
「・・・・」
前回の心和の講習の時間に隆和が見せた
"トゥルレジェの仮想プレイ"
の事が頭にあるのか、ツベフォフが再び
噴き出した様な笑い声を上げる
「Эта пьеса
(あのプレイ------)」
「Я сделал это не потому
что мне это тоже
нравилось,
(私も、好きであんな事を
やった訳じゃ無いんだが....)」
"フル フル"
首を横に、ツベフォフが軽く二回ほど振る
「Нет, Имой--------
Демонстрация которую
вы устроили в это
расслабляющее время
удивила нас
работников
Абсолютной-Ш!
(・・・いや、エイモイ------、
お前が、あの心和の時間に見せた
あの"実演"は私達
Абсолютная-Øで働いている
作業員達もかなり驚かされた....!)」
「・・・・」
喜んでいいのかどうか分からない言葉に、
隆和はそのままやや薄気味悪い、
はにかんだ表情を浮かべると
笑っているツベフォフを見上げる
「По-видимому вы
кажетесь очень
отличным человеческим
ресурсом!
(・・・どうやら、君はかなり
"優秀"、な人材の様だな....!)」
「Нет!
(い、いや....!)」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
"パチ パチ....."
「(こんな場所でも、日が落ちるんだな....)」
「・・・・」
"パチ... パチ...."
どうなっているのかは分からないが
人工の照明でも照らしていたのか、
辺りからは日の光が消え、すでに暗くなった
川沿いの森の中で、隆和は目の前の炎に向かって
木切れを投げ込んでいるツベフォフに目を向ける
"ホー ホー"
「(・・・・・)」
"パチ...."
「ゴォォォオオオオオ」
「(・・・・)」
今日の仕事である清掃の業務が終わり、
ちょうど時間も夕食の時間になったせいか、
ツベフォフは、この場所で食事を取る事を提案し
それに従い、隆和は目の前の川の中に泳いでいた魚を
焚火の火にかざしながら手に取る
「Аймой
(エイモイ------)」
「О, да
(ああ、ハイ)」
焚火の火によって焦げ目のついた、
マスに似た様な魚をツベフォフが差し出す
「Этот закрытый мир
(この、閉ざされた世界--------)」
「・・・・」
"ブルルル...."
辺りを見渡すと、どこからか
かなり大きい動物の影が覗き
その動物の影が自分達の少し先の
暗がりを横切って行く
「Этот закрытый мир —
место в современном
мире где люди свободны
от человеческих мыслей
и действий,
(この、閉ざされた世界は今の世界における
人間的な思想や行いから放たれた、
人間本来の、"自由"がある場所だ....)」
「свобода?
(自由・・・?)」




