第三十五話 「шторм контратаки(逆襲の疾風[かぜ])」
「ツベフォフショチョウ、まづぁ
来ないネ・・・」
「おっ そうだ」
「?」
"ガサッ"
「それハ....」
「・・・分かるか、林さん?」
「"ゴーグル"ネ?」
「・・・・」
"ニッ"
落ち葉の清掃作業を終え、しばらくの間、
この広いザクーティエ・ミーと呼ばれる場所の
どこかへと姿を消した
ツベフォフの帰りを待っていると、
いつ帰って来るかも分からない
ツベフォフの所在に安堵したのか、隆和は
自分の作業袋の中からゲーム用の
"ゴーグル"
を取り出す....
「な、ナにヨ? ソレ?」
「・・・・」
"ピッ ピッ"
「(待ってたぜ・・・っ)」
"チャッ"
「(・・・・!)」
♪ トゥー トゥールトゥートゥー トゥー
「え、エモイつぁん?」
「(・・・麻衣っ)」
【------本日は、誠に
ご来店ありがとうございますっ!!】
「(いきなりか・・・っ!)」
「な、ナニしてるヨ? エモイつぁん?」
【聖三姉妹! 遥! 麻衣! 連音!
--------本日営業中っッ!】
「(制服・・・っ)」
♬ トゥー トゥトゥトゥー トゥー トゥー
「げ、ゲームか何かネ?」
「(中根・・・っ)」
"ビイイイイイイイイイイイイ--------
「嗎ッ!?」
どこかへと消えて行ったツベフォフが
この場所に帰って来るまで、
ただ時間を潰していただけの二人だったが、
作業袋の中からまるで体の一部の様に
肌身離さず持っていたゴーグルを
隆和が顔に装着すると
「(・・・・!)」
それと同時に周りの景色に似つかわしく無い様な
気の抜けた三和音の音楽が、
閉ざされた世界の中に響き渡る
【トゥルーレジェンズ3っ!!
逆襲の疾風っ!!
-------始まるよ~っ!!?】
「(タイトルロゴ....)」
♬トゥー トゥトゥトゥートゥー トゥートゥー
「な、何ヨ、ソレ?」
「(・・・・・)」
"トゥルーレジェンズ3~逆襲の疾風"。
「(そう来るか・・・!)」
"トゥルーレジェンズ2~聖三姉妹の闇~"
の発売から三年ほど経って発売された
スピンオフでも、リメイクでも無い
完全純正の正統派後継作品で、
今回この聖三姉妹の舞台は
家庭用コンシューマーゲーム機から
"VR"へと舞台を移し、遥、麻衣、連音の三人は
立体映像として、隆和の前に登場する事となった...
「(イストリアス・アブルヴェーダ...)」
「ちょ、え、エモイつぁん...
こナところ、ゲームしてル、
ソレ、ヨクないオッ」
【麻衣、お前は、記憶喪失だ・・・!】
【え・・・?】
「・・・・」
「エ、エモイつぁん?」
「・・・大丈夫、大丈夫だ、林さん」
「・・・・」
【聞こえなかったのか? 麻衣、
お前は、"記憶喪失"なんだ・・・っ】
「(これが、トゥルレジェ!・FUNBOOKに
書いてあった魔界の死獣将軍、
ゴドルフレイザーか・・・!)」
"ボォォォオオオオオオオ--------
【記憶喪失・・・?】
何か、明かりの無い自分の記憶の
残片をさ迷っている様な、
古い造りの家の中で目を覚ました麻衣は、
ベットから体を起こすと
スープの乗ったプレートを持ちながら
自分を見下ろす様に立っている
黒髪の長髪、そして
耳が鋭く尖った男に目を向ける....
【そうだ------ お前は、前回での天界での
ゴボルザークとの最終決戦....】
【ゴ、ゴボルザーク?】
自分を見下ろしている見た事も無い男を、麻衣は
まるで女子高生の様な瞳で見上げる
【そう...お前はあの"最終決戦"に勝利した物の、
最後の瞬間、
終焉大滅闘連刻
(しゅうえんだいめつとうれんごく)
の際にゴボルザークが放った魔界超秘術
"霊波の残想"
(インダストリアル=イビルアーク)
の影響を受け、お前たちは
最終決戦が行われていた天界から
記憶を無くした状態で、この
ゴボルザークが支配する世界
"イストリアス・アブルヴェーダ"へと
フェードインして来たのだ・・・】
【フェ、フェードイン?】
制服姿の麻衣が、愕然とした表情で
目の前に立っている男を
女子高生の制服を着たまま見上げる
「(麻衣・・・っ!)」
「え、エモイつぁん・・・」
"ガッ!
「-------いいから。」
"スッ"
「・・・・!」
後ろにいる林が、勤務中にゲームをしている事を
注意しようと思ったのか肩を掴んでくるが、
肩から林の手を外すと、隆和はそのまま
目の前に広がる
"イストリアス・アブルヴェーダ"
の壮大な世界観の光景に息を呑む....
【あの最終決戦から、辛くも
7777年もの月日が経ち、
お前達聖三姉妹は遥、連音....そして麻衣、
お前を除いて全員が散り散りとなり、
この闇と漆黒が支配する超破魔大陸空間、
イストリアス・アブルヴェーダへと
堕ち込んでしまったのだ・・・!】
【7777年・・・】
「(しっかりした世界観だ・・・)」
♬トゥー トゥートゥー トゥトゥトゥー
「(・・・・)」
まるで、今自分がどこにいるのかを忘れた様に
目の前に広がる仮想空間へと
フェードインする隆和。
「つ、ツベフォフショチョウ・・・」
"ザッ!"
「・・・・」
【お前の目的は、この、魔大陸空間において
遥、連音を探し出し、そして天界の神
ゼアスに字名す
"ゴボルザーク"を討つ事だ・・・】
【あ、あなたは・・・?】
「ちょ、エモイつぁん」
「(・・・・)」
"ザシャッ!"
「(この男は・・・)」
「唖、唖唖唖唖~」
「(・・・・・)」
「(よし、冒険だ!)」
「つ、ツベフォフショチョウ...!」
「・・・・」
しかし、隆和は逆襲の風と言う一陣の風に吹かれ
「Эймои.
(・・・エイモイ...)」
「(まずは、連音を探す感じか・・・)」
自分のすぐ側に、この施設の所長である
"ツベフォフ"と言う別の逆風が
吹いている事を知る由もなかった....
「(・・・麻衣っ!)」




