第三十二話 「Телефон(電話)」
"ボオオオオオオォォォ--------
「・・・!」
"フォンッ フォンッ フォンッ フォンッ!"
「・・・・!」
「Это сон! Я вижу сон!
("夢"だ------!
"夢"を見るんだ-------っ!)」
「...ааааа...
(....ぁぁああ...っ)」
「(何やってんだ、アイツらは・・・・)」
"ガタッ ガタッ ガタッ ガタッ"
「Если хочешь
недостающей
любознательности и
смелости, то мечтай.
(足りない探求心と勇気が欲しいなら、
"夢"を見るんだ...っ)」
「Ю, сон!
(ゆ、夢を・・・っ!)」
「(・・・・)」
Абсолютная-Ø、トレーニングルーム。
「(また、メタヴァースか何かなのか...)」
"ダンッ! ダンッ ダンッ ダンッ!"
隆和が、"心和"の講習時間に
いつもの様にトレーニングルームで
ランニングマシンを走らせながら
快調に走り続けていると、部屋の隅の方で
何度かこの心和の講習の時間に目にしている
アンドレイ、そしてもう一人の女が
顔にゴーグルの様な物を掛け、
真剣な表情で"心和"を行っているのが見える...
「Белла.посмотри
внимательно на эту
монету.
(ベラ....この、"硬貨"をよく見るんだ------)」
「Монета…
(硬貨を・・・)」
「(--------)」
"ダンッ! ダンッ ダンッ ダンッ!
施設が古いせいか、暗い室内の中では
二人の様子をはっきりと見る事はできないが
「(何やってんだ、ありゃあ...)」
"フォンッ フォンッ"
「Посмотрите внимательно
на эту монету 50 копеек.
Белла!
(この"50カペイカ"硬貨をよく見るんだ、
ベラ...!)」
「Ах, Андрей!Я вижу.
я тоже вижу мужество!
(ああ、アンドレイ------!
見える...私にも、
"勇気"、
が"見える"わ...!)」
「(あれも、"心和"なのか...)」
"フォンッ フォンッ"
ルームランナーの上から、部屋の隅にいる
テーブルに向かい合って座った
二人の男女を見ると、男の方、アンドレイは
テーブルの椅子から立ち上がり、
そのテーブルの反対側に座っている
ゴーグルを着けた女の前に、
何か短い紐の様な物がついた
ロシアの50カペイカ硬貨をゆらゆらと
まるで振り子の様にかざし続けている...
"タッ"
「(・・・・?)」
「Директор Цвефов.
Я выйду на улицу
ненадолго.
(ツベフォフ所長-------
少し、外に出るわ...)」
「пожалуйста
(-----どうぞ)」
「(レベデワ・・・)」
「Это может занять
немного больше
времени.
(少し、時間が長くなるかも知れないけど...)」
「・・・・」
「(・・・・)」
"タッ タッ タッ タッ タッ
「(・・・・)」
部屋の別側、何か教壇の様に
黒板や壇が置かれた場所に隆和が目を向けると、
自分と少し離れた場所で
ランニングマシンに乗っていたレベデワが、
教壇の椅子に座っていたツベフォフに
声を掛けそのまま外へと出て行くのが見える
「(・・・・)」
「Андрей,
Что внутри этой коробки.
может быть.?
(アンドレイ------、
この箱の中身は....もしかすると・・・?)」
「Нет. нет, нет, Белла.
Содержимое этой
коробки не мужество,
а "надежда.!
(違う------...違うんだ、ベラ...
その箱の中身は、"勇気"なんかじゃ無く、
"希望が"詰まってるんだ....!)」
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"ガチャッ"
「Сусаковский...
(スサケフスキ・・・)」
突然、心和の講習中に自分の携帯に
着信があったのを見て、レベデワは
トレーニングルームから外に出
夜の時間であまり人気の無い
サポート区画のゴミ捨て場、
いくつか並んだダクトの横側で
自分の携帯を手に取る
「Ой, не Лебедева ли?
(・・・おー レベデワじゃねえか)」
「Главный редактор
Сусаковский.
(スサケフスキ編集長...)」
「что это!?
О, ты не взяла трубку
когда я тебе звонил!
(・・・何だ 何だっ!?
オメエ、俺が電話したのに
出やがらねえじゃねかっ)」
「(・・・・)」
つい、三日程前に電話を掛けて来たと思った
この男が再び電話を掛けて来た事に、
少し妙な印象を感じながらレベデワは
部下としての役割を無難に行っている事を見せる為
電話越しのスサケフスキに向かって
明るい口調で答える
「Но ты тоже странная
женщина.
(・・・しかし、オメェも変わった女だなっ)」
「Интересно, что
происходит.
(・・・どういう事かしら------)」
何の前置きも無く、ただ思った事を
そのまま喋っている様な言葉に戸惑いながらも、
レベデワは聞き返す
「Когда я позвонил тебе
на днях, я сказал: 《
Я буду работать там в
течение трех месяцев в
ближайшее время, так
что я должен перейти
к другому парню?》 так
что я переключусь на
другого парня.
(・・・オメエこの間電話掛けた時は、
「そろそろそこでの仕事も三カ月になるから
別の奴と交代するか」とか言ったら
「構わない」とか言ってやがったじゃねえか)」
「Да, моя работа здесь -
одна из моих работ.
(・・・ええ、こちらでの仕事も
仕事の一つなので....)」
「Это так!
Вот так!
(------そうかっ!
それもそうだよなっ!)」
「・・・・」
「・・・・」
"ヒュウウウウウウウウウ...."
「・・・・」
「・・・・」
"ヒュオオオオオオォォォ------"
「・・・・」
「Так что насчет тебя?
(それで、そっちはどうだ?)」
「Интересно, что вы
подразумеваете под
"как"!
("どうだ"とは、どう言った
意味なのかしら...!)」
三日程前に電話が掛かって来たからなのか、
それともお互い話す事が特に無いのか
少しの間会話が止まると、すぐ側にある
ダクトの廃棄口から、冷たい風が吹きつけてくる
「Цвефов. как насчет
Цвефова!?
(ツベフォフ... ツベフォフはどうだっ!?)」
「Директор Цвефов?
(------ツベフォフ所長?...)」
「Это все? Смотри.
У меня дома Цувефов.
с того же сайта,
что и Коно
(あれだろう? ほらっ...
そっちでツベフォフが俺の所の...
河野と何か同じニュースサイトの------)」
「Вы говорите о
новостях Земли?
(・・・Earth nEwsの話?)」
「О да, да, да.
Эй, это Цувефов!
Прямо сейчас я делаю
новости Земли с Коно!
Это сейчас
удивительно.
Хм? Ты понимаешь, да?
(ああっ そうっ そうだっ...
その、ツベフォフがよーっ
今、河野とEarth nEwsを一緒にやっててよーっ
それが、今すげえんだっ...
なあ? 分かるだろっ?)」
「(・・・・)」
まるで場末の酔っ払いの様に途切れ途切れに
話をする様子に、レベデワは
あまり話を理解をする事ができなかったが、
どうやらこのスサケフスキは、以前
自分が考えた様にこの施設の所長である
ツベフォフ、と今藻須区輪亜部新聞社で
支局長を務めている日本人
"河野"との関係をかなり気にしている様だ
「...Это оно.
(・・・それでよーっ...)」
「Да, я слушаю...
(ええ、聞いてるわ------)」




