第二十七話 「хорошие оценки(好成績)」
"ガチャ"
「こ、河野支局長!」
「・・・ん?」
藻須区輪亜部新聞、第四編集局。
「こ、これ見て下さいよ!」
「・・・どうしたんだ?」
現在、この藻須区輪亜部新聞において、
支局長兼、編集長である河野が
Earth nEwsの本社がある
ドイツのベルリンから帰社し、
第四編集局の扉を開けると
まるでそれを待ち構えていたかの様に
女性社員である、田中 ゆかりが
河野の前に声を弾ませながらやってくる
「・・・何かあったのか?」
「い、いや、河野編集長...っ!」
「・・・?」
「いや、見て下さいよ-------」
「太田・・・」
三日程社を空けて
この藻須区輪亜部新聞に帰って来た河野が、
周りの様子に何か戸惑いながら
真顔で自分の部下達を見ていると、
何か浮足立った様子の田中の後ろから、
この第四編集局のデスクである
太田 敦が、田中を押しのける様に
ノートパソコンを抱えながら進み出て来る
「いや...見て下さいよ!」
「・・・何かあったのか?」
「これ...」
"ピッ ピッ"
「Рейтинг новостных
сайтов в Интернете"
(インターネットニュースサイトランキング)
....これがどうかしたのか?」
「いや~ まったく~ とぼけちゃって~」
「・・・?」
何か、勘に触る様な慣れ々れしい態度に
訝しく思いながら、
河野が太田のノートパソコンに目を向けると、
そこにはモスクワ市内にある
インターネットニュースサイトの
UUやPV数が表示された、ロシア語の
ニュースランキングサイトの
ページが表示されている
「いや、これ...」
「上から.... 五番目か?」
「------そうっスよ」
ランキングサイト内に表示された
"アロ!・コムソモーレツ"の名前を見ると、
そのアロ!・コムソモーレツの名前が
以前は上から八番目程であった
このランキングサイト内で
四番目の位置に表示されているのが見える....
「いや、PV数、それに、UU(訪問者数)も
すげー上がってますよ!」
「ああ...そうなのか?」
「いや、もっと喜んでいいんじゃないスか?」
「・・・・」
まるで表情一つ変えない河野に、
パソコンを持った太田がまくし立てる
「以前のランキングとかから考えると、
ウチ(アロ!・コムソモーレツ)は
八番目とか、そんなモンだった
じゃないスか!」
「・・・みたいだな」
「それに、この閲覧数や、訪問者数も
倍以上....飛躍的に伸びてますよ!
・・・これ、スゴくないっスか!?」
「・・・・」
「・・・支局長...?」
「-------下らない事言ってないで
仕事だ、仕事。」
"パンッ"
「------あいてっ!」
まるでアロ!の購読者数の上昇に興味が無いのか、
河野は満面の笑みを浮かべている太田の頭を
横の机の上に置かれた書類ではたく
「い、いや... 河野支局長、
何かやったんじゃないスか?」
「・・・そんな事より、仕事だ、仕事。
四番目程度で満足してる場合じゃない。
・・・このアロ!コムソモーレツの紙面は
もっと部数を伸ばせる筈だ」
「------! そ、そうっスね!」
「・・・・」
"タッ タッ タッ タッ--------!"
小走りで自分の席へと戻っていく
太田の後姿を見ながら
「河野支局長、やりましたね------!」
「ん」
河野は、淡々とした表情で
自分の席へと引き返していく




