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人助けをしたら美少女に惚れられて偉い人に褒められるんですけど!  作者: マノイ
第二章

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12. 美少女とデートをしていたらナンパされたんですけど



「美月さんに手を出したら許さない!」

「きゃー!私も言われてみたーい!」

「私も私も―!」

「(誰かタスケテ!)」


 助けなど来ない。


 奏の雄姿は全国のお茶の間に流れてしまったのだ。

 ワイドショーで何度も繰り返しそのシーンが流れているのだ。

 ネットでは切り抜き動画がバズっているのだ。


 学校で弄られるどころか、通学中に近所の人から声をかけられ、通学路が被っている他校の生徒からも注目され、保育園の傍を通ると『勇者のお兄ちゃん!』と叫ばれる。


 全国デビューした奏は有名税を払わなければならないのだ。


「美月ちゃんいいないいなー」

「羨ましいです」

「ふふん」

「むー!真夜ちゃんは羨ましがる権利無いよー」

「ひゃい!?」


 周囲がパニックにならなかったのは彼女達と一緒に登校していたからだ。

 奏に迷惑をかけるなオーラを真夜が発し、人の壁が出来ても芹那が強引にかき分け、美月は幸せそうな表情で奏と腕を組んでいる。

 強引に奏にアプローチする隙など与えなかった。


 しかしそれも学校に到着するまでの事。

 クラスに着いた奏は盛大にクラスメイトから弄られていた。


「佐野ー、お前すげーな」

「マジすげぇよ、良く本物の東雲さんが分かったよな」

「俺、動画何度も見直したけど全然区別つかないわ」

「わっ、わっ、乱暴にしないでー!」


 男子達が奏に群がり、頭を乱暴に撫でてくるため髪の毛のセットが乱れると奏は抗議の声をあげる。


「はは、わりぃわりぃ」

「だったら手を止めてよー!」


 男子達にとっての奏の雄姿は、好きな女を守る男という構図ではあるものの、どうしても可愛がっている妹弟いもおとうとが背伸びして頑張っているようにしか見えなかった。それゆえ、お嬢様との関係による嫉妬よりも、微笑ましさの方が遥かに大きくなってしまい、我慢できずに撫でまくっていたのだ。


「羨ましい!」

「私達も佐野くんを褒めたーい!」

「東雲さん、ダメ?」

『ダメ!』


 そしてその感覚は男子以上に女子の方が強かった。可愛らしい男の子の頑張りを全力で褒めて甘やかしてあげたい。だがそれはお嬢様達が許すはずがない。


「うわーん!佐野くんに近づけないよー!」

「この愛でたい気持ちを一体どうすれば!」

『ダメ!』


 最初の頃は遠巻きに見る事しか出来なかった女子達が、奏の恋模様を通じて既に普通にお嬢様達とコミュニケーションを取れるようになっていた。


「奏は俺達のもんだからなー」

「男の友情は固い!」

「男は男同士で遊ぶんだよ!」

「そうそう、男は男どう……し?」

「何でそこで疑問になるの!?」


 そして変化はそれだけではなかった。


「違うもん。みんなの奏ちゃんだもん」

「悔しい!よし、京極さんGO!」

「わーい!」

『どうぞどうぞ』

「男の友情は何処いったのー!?」

『あははははは』


 男子との交流も始まり、お嬢様はクラスの一員として楽しい日々を過ごし始めていたのだった。


――――――――


 三連続デート、最後のお相手は芹那だ。

 芹那とのデートは日曜日。真夜や美月とは違って一日かけてデートをする。


 朝の十時、奏は恒例の駅前噴水広場で芹那が来るのを待っていた。

 今回は長丁場であるため、可愛らしい系だけれども長時間活動しても疲れにくいという観点でコーデを決めた。


「(今回こそは絶対に勝つ!)」


 相手の服装を先に褒めるのに、過去二敗しているのだ。今回こそは負けるわけには行かない。

 見た目では最強格の美月とのデートを乗り越えたが、前回の反省を生かして奏は決して油断しなかった。芹那は可愛い特化であるためアイドルのような雰囲気を纏って照れさせてくる可能性が非常に高い。

 堂々と『似合っている』と先に告げるのだと奏は気合を入れる。


「おまた……せ」


 元気系の芹那にしてはやや控えめな挨拶が奏の背に投げかけられた。

 奏は手をギュッと強く握り振り返る。


「何でええええ!?」


 芹那のコーデは彼女の可愛らしい雰囲気に似合った素敵なものであった。化粧にも力が入っているし、髪留めなどのアクセも彼女の可愛らしさを格段に強調してくれている。

 美月とは正反対の雰囲気だが、誰がすれ違っても振り返りたくなるのも同様だ。


 だが、芹那のコーデは真夜や美月とは大きく異なる部分があったのだ。


「奏様、どうかしたの?」

「どうかしたのじゃないよ!」

「もしかして、似合ってない……!?」

「似合ってるよ。滅茶苦茶似合ってるよ!」

「えへへ、ありがとう」


 おめでとう、奏はついに先手を取って褒めることが出来た。

 だがこんなおざなりな褒め方をするつもりは無かったし、そもそも褒めるとか褒めないとかいう心境では無かったため、勝利を喜ぶことは出来なかった。


 フリルがついた可愛らしいスカートは丈があまりにも短く、トップスはノースリーブで生地が薄く、角度次第では上から豊満な胸がコンニチワする。

 芹那の服はあまりにも肌の露出が多すぎたのだ。


 そのため奏は照れて動揺して声を上げてしまった、のではない。


 この日はゴールデンウイーク序盤の日曜日、五月の冒頭だ。

 五月といえば極端に暑くなる日もあれば極端に寒くなる日もある季節の変わり目。そしてこの日は極端に寒い日だったのだ。

 いくら女性がファッションのために肌を見せることを厭わないとはいえ、どう見ても真夏の服装にしか見えない芹那の異常さに奏は驚いてしまったのだ。


「芹那さん、絶対寒いよね!」

「さ、ささ、さむ、さむくく、ナイヨ。なーんてね」


 大げさに震える振りをして奏の心配は杞憂であると笑い飛ばす芹那であったが、奏はそんな演技で騙されるような男では無い。必死に隠しているが風が吹くたびに体が僅かに震えていることに気付いていたのだ。


「もう、風邪ひいちゃうよ」

「え、奏様!?」


 奏は来ていたパーカーを脱いで、芹那の肩に羽織った。


「ほら、これ着て」

「で、でで、でもでもでも」

「でもじゃないよ。芹那さんが風邪ひいたら悲しいから」

「わわわわ!」


 好きな男性に上着を貸してもらうという乙女にとっては最高のシチュエーション。傍から見るとあざとく狙ったように見えるが、芹那がガチ照れしている様子からそれは無いのだろう。


「芹那さん、行きましょう」

「うん!」


 早く温かいところへと移動しなければと、奏は芹那に手を差し出す。

 芹那は羽織って貰ったパーカーに急いで袖を通し、即答でその手を握る。


 そして腕を絡ませ、体もぎゅっと奏にくっつけた。


「(ぴえ!?)」


 柔らかい感触が奏の腕に伝わった。

 チラリと横を見ると芹那のあの部分がしっかりと凹んでいる。

 芹那が気付いていないのかと思い、腕を少し動かして離れようとするが、いつの間にか恋人繋ぎになっておりがっちりとホールドされている。むしろその行動によりあの部分に刺激が与えられてしまう。


「やん」


 真横にいる奏に聞こえるかどうかというくらいの小声で芹那が何かを口にした。奏の腕が大事なところに当たっていることに気が付いたのだろう。

 もちろん奏は難聴系では無いので聞こえている。

 だが、顔を真っ赤にしている芹那は体を離すどころか、さらに力強く奏の腕を抱いて来る。


「(今日の芹那さん積極的すぎるよおおお!)」


 芹那の露出が少ないコーデを見ても彼女の体調を気遣う気持ちが大きかったが、ここに来て奏は男の子の本能を強烈に刺激されて内心のた打ち回ることになるのであった。


――――――――


「何処が純愛なの!」

「あはは、あれじゃあハーレムだよね」

「しかもずっと戦ってたし!」

「でも戦ってるとこ面白かったよね」

「悔しいけど分かる!滅茶苦茶派手で格好良かった!」

「僕、最後ちょっと泣いちゃったよ」

「私もだけど、そういう涙は求めてなかったよ……」


 芹那とのデートのテーマは『普通』だ。

 高校生のデートとして何が普通なのかは千差万別だろうが、奏はその中で映画と繁華街デートを選んだ。

 午前中は映画を見る予定であり、芹那が好みそうなアクション大作が公開されていたのでそれを見るつもりだったが、念のため芹那に見たい映画があるかを確認した。


「こ、これが見たい、かな」


 すると芹那は真っ赤になりながら恋愛映画のポスターを指さすではないか。

 恋愛映画となれば大人向けのシーンもあるだろう。ドキドキしながらそのシーンを見ていると芹那が奏の手を……


「(ぴえぇ、考えるな僕!)」


 真夜よりも遥かに健全な妄想を振り払いながらも、芹那の希望ならばとその恋愛映画を選択。


 その映画は、告白が成功して付き合い出した直後に彼女が余命一年を宣告されるというストーリー。

 泣ける、生まれ変わってもあなたの傍に居たい、これぞ純愛、だのとありふれた宣伝文句がポスターに書かれている。

 どこからどう見ても真っ当な恋愛映画にしか見えなかったが、それは大きな罠だった。


 なんと物語序盤で彼女は即死亡。

 悲しむ男性も街中をフラフラと歩いているところにトラックが突っ込み即死亡。


 そして異世界に転生したのだ。


『は?』


 映画上映中にも関わらず、何人もの人が声をハモらせた。敢えて情報を一切仕入れずにこの場に臨んだ被害者達だ。


 映画は男性が異世界でヒロインたちに迫られながらも、同じく転生していて魔王に攫われた恋人を助け出すために命を懸けて戦うという話が繰り広げられた。

 紛れもないクソ映画であるが戦闘シーンに滅茶苦茶力を入れており、同時期に上映されていて元々奏が見ようとしていたアクション大作よりも戦闘シーンが評価されている、という摩訶不思議な映画だったのである。


 奏と芹那はショッピングモール内のカフェで昼食を食べながらそのクソ映画の感想を言い合い盛り上がっていたのだ。


「うう、こんなはずじゃなかったのに」

「芹那さん?」

「もっと奏様と甘々でラブラブな雰囲気になると思ってたのにー!」

「あはは、でも僕は芹那さんと一緒に見られて楽しかったよ」

「わわわわ、奏様ずるい」


 そんなことを言われたら満足していない等と言えないではないか。

 実際、こうやって感想を伝え合っている今がとても楽しいのだから。


 午後は繁華街デート。

 しかし芹那が超薄着だったので予定を変更して駅前の大型ショッピングモールをぶらつくことにした。ショッピングモールにも専門店や食べるところが沢山あるので、十分楽しめるだろう。ついでに芹那の上着も購入予定だ。


 だがそのショッピングモールデートの最中、ちょっとしたトラブルが起こった。


「ねぇねぇ、そこのめっちゃ可愛いお二人さん」

「俺らと遊ばない?」


 ナンパである。


「興味無いからー」


 ナンパとは元々警戒されやすいもの。

 それゆえナンパ師は様々なテクニックを使って警戒心を薄れさせてお持ち帰りするものだ。しかも相手が芹那というレベルが高い相手ならば成功率を上げるために尚更知恵を使わなければならないはずだ。


 だが彼らはそんなそぶりは全く見せずに、下心ありありの表情を隠しもせず二人に詰め寄った。

 それゆえ芹那に軽くあしらわれてしまったのだが、彼らは諦めない。


「そんなこと言わないでさ」

「そうそう、楽しいところに連れて行ってあげるからさー」


 二人の進路を塞いでじわじわと詰め寄って来る。

 たまらず奏が芹那の前に出て守ろうとする。


「興味無いって言ってるじゃないですか」


 これ以上何かをしてくるのならば、芹那の手を掴んで走って逃げる。それにショッピングモールだから店員に声をかければ助けてくれるだろう。

 休日の昼下がりで人はそれなりに多く、すでに奏達のトラブルを察した周囲の人が彼らを気にしてくれている。


「あれ、あの絡まれてる子って怪盗と戦ってた子じゃね?」

「うわー実物もめっちゃ可愛い」

「今日は別の女の子と一緒だね」

「可愛すぎるんだけど、アイドルなのかな?」

「どっちの話?」

「どっちも」


 奏は幸運にもナンパ男に注意が向いていて周囲の言葉が聞こえていなかった。

 そんな奏に対してナンパ男は奏にとって・・・・・予想外の反応をした。


「お、まずは君が相手してくれるのか?」

「は?」


 これではまるで奏ナンパされているようではないか。


「あの、僕、男ですよ」


 一応自分が可愛いと思われている自覚がある奏である。

 だが、胸も無いし男声であり、すぐに本当の性別を理解して貰えるのがいつものことだ。


「あっはっは、そんなわけないでしょー」

「そんなに可愛いのに男だなんて、ないない」

「時々いるんだよね。男だからって誤魔化す女の子」

「頑張って声まで変えてるけど喉痛めるから止めた方が良いよ」

「俺らは君が可愛い女の子だってちゃーんと分かってるからね」

「ぴえ!」


 しかしそのナンパ男達は奏が男の振りをしているのだと断言し、信じて貰えない。


「さぁさぁ、行こうよ」

「お友達と一緒で良いからさ」

「ぴええええええ!」


 ナンパ師の手が奏にのびる。

 このままでは芹那だけではなく奏もお持ち帰りされてしまう危機だ。


「ちょっと何やってるんですか!」

「やべ」

「逃げろ」


 ショッピングモールの警備員がやってきたことで、奏は危機から脱した。

 いや、まだ完全に脱したとは言えない。


 何故ならばまだ一人、おかんむりの人物がいるからだ。


「どうしてこうなっちゃうのおおおお!」

「芹那さん!?」


 ここは格好良く奏が芹那を守るシーンだったはず。

 それなのに何故か奏がメインで狙われる展開になり、胸を高鳴らせる展開にならなかったことにお怒りだったのだ。




「芹那さん、機嫌治してよ」

「ふーんだ」


 ナンパ騒ぎの後、二人はフードコートに移動して休憩中。

 芹那はメロンソーダに刺さっているストローを人差し指でつつきながら絶賛いじけ中である。


 機嫌を治すために奏はこのタイミングで芹那にプレゼントをあげることにした。


「そうだ、これ芹那さんにプレゼントです」

「…………ありがと」


 微妙な反応だった。

 嬉しくはあるのだが、芹那は真夜や美月からプレゼントをもらったシチュエーションについて聞いてある。彼女達は多段攻撃で喜ばせて貰えたのに、自分はご機嫌取りのような形で貰うことになってしまったのが不満だったのだ。

 だがそれでもプレゼントを貰えることは純粋に嬉しいので、文句も言えず良く分からない反応になってしまった。


「ヘアピンとリストバンド?」

「うん、芹那さんに似合うかなって」


 芹那へのプレゼント選びは難航した。


 真夜は和服に似合う物。

 美月はトレードマークの眼鏡に関する物や共通の趣味に関する物。


 だが芹那にはこれと言ってピンとくる特徴的なものが思い浮かばなかったのだ。


 庶民の生活に興味がある元気で明るい女の子。

 真夜達ほど高級なもので身を固めていないため、人目につかない方が良いなどの制限も無い。

 愛用している何かがあるとも聞いていない。


 恐らくは何を選んでも喜んでもらえるだろう。

 だからこそ、何を選べば良いか迷ってしまったのだ。


 悩みに悩んだ結果、普通に似合うだろう物をプレゼントすることにした。

 ヘアピンは前髪を留めている時があるため使ってくれるだろうと思い、それだけだと物足りなく感じたのでアクティブに行動しても落としたり失くしにくいリストバンドも選んだ。


「ありがとう、奏様」


 芹那は貰ったプレゼントを心から嬉しそうに受け取った。

 真夜達に比べるとインパクトが薄いため、とろっとろに表情が崩れる程では無かったが、貰えるだけでも十分満足なのだ。


 それが単なるリストバンドであれば、だ。


「あれ、このリストバンド内側に何か書いて……」


 芹那は気付いてしまった。

 リストバンドの内側にメッセージが彫られていたのだ。


 I’m really glad I met you.

 あなたに出会えて本当によかった。


 愛を囁く言葉では無い。

 メッセ―ジ入りのプレゼントは重いかも知れない。


 だが芹那はこの言葉を貰えたことが、とてつもなく嬉しかった。


「私も嬉しい!」


 奏はどうにか芹那にも大きな幸せを贈ることが出来たのであった。




「こんなに早く終わらせて良いの?」

「うん、大丈夫」


 ショッピングモールでのデートは午後三時を回る頃には終了した。

 芹那のターンを少し前倒しにして欲しいとお願いされたからだ。


 奏はモールの出口に向かって芹那と歩きながら、不安を口にする。


「うう、芹那さんは何をするつもりなんだろう」


 真夜や美月が普通のデートでは考えられないことを選んだので、戦々恐々としているのだ。


「あはは、大丈夫だよ。奏様が怖がることじゃないから」

「本当?」

「うん、むしろ安心出来るんじゃないかな」

「……」

「あ~信じられないって顔してるー」

「だってこれまでのことがあるからさー」

「大丈夫だって、偉い人には会わないし、沢山の人に見られることもないから」


 確かにそれならば、これまでのように緊張したり辱められることは無さそうだ。

 ようやく本当のデートらしくなるのかと、奏は真っ当にドキドキしながら予定を聞いた。


「それじゃあ何をするの?」

「その答えはそろそろ奏様のスマホに来ると思うよ」

「?」


 偶然にもそのタイミングでスマホがぶるりと震えたので取り出した。

 タップすると母親からSNSでメッセージが来ていた。


『帰りに買い物してきてくれない?』

「いやいや、まだデート中だよ!?」


 デートは夜までかかると伝えてあるのに、何故か母親から買い物をしてこいと連絡が来た。お怒りのスタンプを投稿しようとする前に、母親から追撃のメッセージが届く。


『細かいことは京極さんに聞けば分かるから』

「え?」


 芹那に聞けば何が分かると言うのか。

 母親のメッセージの意味が全く分からない。


 疑問符を浮かべたまま、奏は画面から目を逸らして芹那を見る。


「それじゃあ奏様。一緒にお買い物しよ」

「?」


 ここでのお買い物とは、母親のメッセージに書いてあるお買い物と同じ意味なのだろうか。


 奏はこの不可解な状況の意味を理解しかけた。

 いや、理解したくなくて拒否しようとしていた。


「(そんな筈ない。そんな筈ない。そんな筈ない。そんな筈ない)」


 そんな筈があるのだ。


「えへへ、奏様のおうち楽しみ!」

「ぴええええええ!」


 芹那とのデート夜の部。

 その会場は佐野家であった。


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