プロローグ
高校生になった私、宮野葵は学校の夏の制服を着て気付く。
「……時間が経つなんて、気にしなかった」
誰もいない空間で、独り言で呟いた葵に自分の部屋にある窓のカーテンを開ける。眩しい日差しが目に反射して目を閉じてしまう。私は、カーテンを開けてドアを開けないまま自室を出た。朝食は、昨日買ったメロンパンを食べてから歯を磨いた。それから、髪を整えてから学校に持っていく鞄を手にして家を出てから家の鍵を閉める。私が通う俳良高等学校は、家から約三十分後に着く。
「おはよう、葵ちゃん」
歩いている途中で、幼馴染みである彼は藍川悟と出会った。彼は私の大切な幼馴染みであり、幼稚園から一緒で行動することが多い。
「悟君、おはよう」
お互いに挨拶した後、目的の学校へと登校した。俳良高等学校の校門には、生徒会のメンバーとその顧問の教師と校長先生がいた。次々と生徒たちが「おはようございます!」と挨拶して学内に入って行く。私と悟君も続けて、生徒会のメンバーと先生方に向けて挨拶した。
「……葵さん、悟君。少し良いかしら?」
私達に声をかけたのは、生徒会の会長である春宮要である。要先輩は、一つ上の先輩で一年の時から生徒会の会長を務めている。そして、オカルト研究部に勤めている。私と悟君にとっては、とても頼りになる面倒見の良い先輩である。生徒会の仕事の時に声をかけて来ることは個人的にない要先輩だったので、私と悟君は大事な用件なのかと思っていると……。
「今日、オカルト研究部の活動があるみたいよ。放課後、集まるようにって……」
「……またですか?」
「ええ、今日もよ。部活動については、生徒会は文句は言わないわ……。だけどね……」
ムスッとしている要先輩は、何とも言えなさそうにしているが何だかそわそわしているように見えた。
「今はそれだけよ。放課後に会いましょう……。葵さん、悟君」
要先輩は、元通りに生徒会長として登校してくる生徒に挨拶をした。私達はそのまま、教室へと向かって行く。私と悟君は一年生で、私達の一年のクラスは三組あり、一組で二十人にいる。今年で初めて、一年生の人数は少ないと言われている。私と悟君は同じクラスであり、席の位置は離れているが常に一緒のクラスでもあった。自分の席についた後、私は鞄に入っていた小説を取り出して担任の先生が来るのを待った。