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雲居藩妖怪抄  作者: 川端柳
第一幕――○○(????)
1/262

1-(1)

初めて投稿させていただきます。


宜しくお願いいたします。


「つまらんな」


 花菱伊織(はなびしいおり)は夕食に箸をつけながらそう呟いた。目の前の膳には一汁一菜にご飯と質素なものだが、別段悪い訳ではない。勿論伊織も食事に文句をつけたつもりはない。だが、彼の目の前に座る下男の佐吉にはそう聞こえたようで、眉間にしわを寄せる。


「文句がおありでしたら、食べていただかなくて結構です」


 まだ米の入っている(ひつ)を片付けようとする佐吉(さきち)に、伊織はそうではないと言って宥める。


「近頃、事件らしい事件がなくてな。退屈しているのだ。見廻りの合間に面白いことを探してはいるのだがな」


「そんなこと探している暇があったら、女中の一人でも探してきてくださいよ。前の人に出ていかれてからもう四日は経つのですよ」


 佐吉の説教などどこ吹く風と言うように、伊織は汁物をすする。彼は機会があれば女中の話を持ち出してくる。そろそろ伊織の耳にタコができそうな位だ。


「新たな女中のことはお前に任せる」


「次は、どのような女中がよろしいので」


 伊織は空になった汁椀を箱膳に置くと、眉間にしわを寄せ腕を組む。考えているのか、そのまま動かない彼を佐吉は見つめる。暫くすると思い付いたのか、そうだなぁと言葉を続ける。


「普通な女中はつまらんからな。他所の国の者などが良いかもしれんな。俺はこの雲居しか知らんからな」


「承知いたしました」


 佐吉は頭を下げた。伊織の膳はすでに空になり、茶碗にお茶を注ぎ全て飲み干す。ごちそうさまと言うと箱膳の中に食器をしまった。


 この花菱家、女中が長続きしないのである。持って半年が良いところで、早ければ一月で出ていってしまう。原因はこの家の当主である花菱伊織である。彼が女中に手を付けたなどと言う理由ではない。

理由は単純に、彼が何でもしてしまうからだ。


 男でありながら自分が暇なときに女中の仕事に手も口も出してしまうからである。料理の腕前は一度女中を泣かせたことがある程だ。

 女中仕事を女中以上の腕前てこなしてしまう雇い主。それ故に、困り果てた女中は仕事をやめていくのが常となっている。


 次は何日持つのかと、佐吉は憂いずにはいられなかった。


女中はもう少ししたら出てきます。




章のタイトルの「○」は漢字、「?」は平仮名が入ります。


この章に関わる妖怪の名前がタイトルですので、賞金などは出ませんが考えてみるのも一興かと。

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