第6話 一人目
少なかったので、もう一話出しました。
照明に照らされて何かがうごめいている。
結構でかい。
それに何やらクッチャクッチャと音がする。
幸い俺は水型スライムなので、ほぼ水たまり状態でいけばバレないと思う。
てなことでレッツゴー!
何かがいると思われる部屋はどうやら厨房のようだ。
で、肝心の何かはというと…。
あの鵺だ。
冷蔵庫と思わしきでかい箱に顔を突っ込んでいる。
普通の冷蔵庫でいう冷凍庫に当たる引き出し式のところに、頭を突っ込んで出られなくなっているようだ。
足がプラプラしてるし、食材に突っ込んで食べたはいいけど出れないそんな感じだ。
時折「ぬっ!」とか「ぐうぅ!」とか聞こえるから、頑張ってはいるんだろう。
助けたいが声が出せないことには無理だし……。
しゃーないから引っ張ってみるか!
俺は一部を触手にして凝固させる。
凝固できたのはカプセルに入っている時の石を溶かしたあたりからだ。
で、鵺の足をつかむ。
尻尾も冷蔵庫に入っているので、つかむところが足ぐらいしかない。
うりゃっ!
「ぬおっ!?」
「なっなんじゃあ!?」
ふいー抜けた抜けた。
鵺の顔は目を見開き、開いた口が塞がらないといったところだ。
「なんじゃお主は?」
スライムです。
「ワシらと似たようなもんかのう…」
そうです。
ってちょっと待って、ワシらって言ったよな?
他にもいるのか?
「ふむ。助けてくれたことには感謝しよう。かたじけない」
なんか武士みたいだな。
「武士のことを知っておるのか!?」
へっ?聞こえてんの?俺の声。
「うむ。脳に直接語り掛けられた様なもので、じゃが」
そりゃよかった!
で?俺たち以外もいるのか?
「ああ、あと二体おるぞ?会ってみるか?」
いいのか?
「よいよい。ワシを助けてもらったのじゃからこれぐらいはな」
そうか!ありがとう!
「ふぉっふぉ!そう云えば先ほど【武士】という言葉を知っていると聞いたが…?」
ああ!知ってるぞ!会ったことはないけど…。
「そうか!なればもしやお主は東の都の出身者か?」
クニ?
「そうじゃ!侍がおってな…忍びというものも暗躍している」
そのクニの名前って、日本か?
「二ホン?それは知らぬのう。ワシが知っておるのはヤマトという都じゃ!」
ヤマト?大和か!
「知っておるのか?そこがワシの故郷じゃよ」
へぇ…。
いつか行けるなら行ってみたいな…。
「連れて行ってやるぞ?ここを出たらの話じゃが」
本当か!
「ああ、約束しよう」
ありがとうな!
「よいよい。さて、着いたぞ?」
え?
「ワシらの仲間に会いたいんじゃろう?」
そうだった!
会いたいから、その場所までの案内をしてもらってたんだった!
「ほれ、こ奴らがワシらと同じ者じゃよ」
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