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第46話 妖精王〔有栖川晴樹側〕

お久しぶりでございます。

覚えていらっしゃいますか?

有栖川晴樹君側をキリのいいとこまでいっときます。


 僕はある国で王だった。


 人間たちが攻めてくるまでは……。



 僕の名前はエルニィド・ファーラーン。


 妖精郷ファーラーンの王だった。


 妖精郷は約2万人の妖精たちが源泉の宝玉を守るために作られた国だ。


 僕はその第7代目妖精王だったんだ。



 花の蜜を集めたり、世界の調整をしたり、エルフたちに力を貸したりと色々なことをやってきた。


 でも、ある一人のエルフの所為でこの妖精郷は人間に特定され、妖精狩りという名の乱獲が始まった。


 僕ら妖精たちは生まれたとき既に羽は生えているんだ。


 生まれてから死ぬまで生え変わることもなければ、鳥のように抜け落ちることもない。


 羽の先に至るまで僕らの意思で動かすことができる。


 そんな体の一部でもある僕らの羽は人間同士には高額取引されるらしい。


 度し難いことだけどね。



 だからあの日人間たちは平均で500歳は生きる僕らの羽を奪いに来たんだ。


 あのエルフの所為で。



 あの日は妖精郷では珍しい雨の降る日だった。


 農作物などは妖術でできるから雨というものはあんまり必要としていないんだ。


 どこからともなく聞こえる声と金属のこすれる音。


 国民たちの苦しむ声。


 火の手の上がる城。


 僕らの結界は人間には絶対に反応するようになってる。


 なのにあの日はうんともすんとも言わなかった。


 後にわかったが一人のエルフが手引きしたらしい。


 エルフとは同盟国だと思ってた。


 まさか人間を引き連れているなんて思わなかったから、同盟国でも商取引相手でもあるエルフには結界は反応しなかった。


 そこからは人間たちの蹂躙の始まりだよ。


 僕らは羽を奪われると飛べなくなるのは勿論のこと、妖術の操作バランスは全部羽で行っているために妖術が使えなくなる。


 僕らにとって羽は第二の心臓みたいなものなんだ。


 妖精の中でも子供である100歳前後は毟り取られた痛みで死んでしまう方が多い。


 僕らもできる限り対抗はした。


 でも、母上と父上は殺され妹は羽を取られて外に捨てられるところを見てしまった。


 エルフの所為で妖術を制限する結界を張られた僕に復讐するだけの力は残ってなかった。


 その上羽を毟り取られた痛みとショックで気を失ってしまった。




 次に目を覚ました時はどこかの部屋。


 背中の痛みで起き上がることはままならないが、周りを確認すると父上も母上も捨てられたはずの妹も僕と同じような毛布に寝かされていた。


 息は三人ともしてるみたいだ。


 安心した。



 それに僕らだけじゃなく羽を取られた妖精たちが寝かされている。


 ここはどこなんだろう?


 誰がこんなことしてくれたんだろうか?



 調度品は全て僕らサイズ。


 僕らのために態々作ったとは思えない。


 妖精郷に生き残りがいたのだろうか?


 それなら礼を言わないといけない……。



 背中の痛みに我慢して毛布から立ち上がる。


 自分の足で歩いたのなんて何年ぶりだろう?


 寝かされている妖精の数は約200人ほど。


 国民2万人と比べると少ないが、よくこれだけの人数を集めたものだ。


 もう助からないと思ってたのに……。




「目が覚めたんだ?」


「!?」


「そんなに驚かなくていいよ。僕は…僕の名前どうしよう……。うーんと『アリス』だよ。よろしくね!」


「あ、アリス、様…」


「様付けなんてよしてよ。慣れてないし」


「い、いえアリス様がぼ、私たちをここまで運んでくださったのですか?」


「そうだよ?」


「あ、ああ、あああ」


「?」




 なんということだ。


 この方が僕たちをここまで運んでくださった上に人数分の毛布まで…!!


 それに『アリス』様だって!?


 初代妖精王と同じ名前ではないか!?


 流石に同一人物ではないだろうが、僕たちはこの方に会うために生まれてきたのではないだろうか!?




「ありがとうございます!この命は一生アリス様に尽くします」


「重いよ…」


「し、しかし、ぼ、私たちはアリス様が居なければすでに死んでいたでしょう」


「もう『僕』でいいよ…。わかった、わかったから……。じゃあこれからよろしくね」


「はい!」




 やった!


 アリス様に恩返しをしなければ!



 ハッ!!


 そうだった!母上と父上と妹を起こさないと!



 これが僕とアリス様の出会い。


 そして運命的であり必然的な出会いだった。



誤字脱字等あれば誤字報告に。

作者はどこにあるか知りませんが。

知っている方はそこに、知らない方は感想欄に。

感想欄が誤字報告できる場所なのかもしれないけど……。

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