2018/03
4月から居場所を変え、新生活に向けドタバタしていた。それと並行して自動車免許を取得するために勉強をし、無事自動車免許を取得することができた。新米ドライバーが為、車に乗りたくなる頃合いだった。
母親の提案で、家族でほんの少し遠出をして外食に行くことになった。もちろん私の運転で。教習車と違いサポートブレーキがない為緊張感が走る。まして家族を乗せていると思えば冷や汗が止まらない。ハンドルを滑らせながら走行するにあたって気づいたことは、教習所内と違って交通の流れというものが存在すること。当たり前じゃないかと言われればそうなのだが。言いたいのは相手ドライバーとのコミュニケーション。新米ドライバーが右往左往すれば渋滞を起こし大迷惑なのだ。家に戻ってきた時父親が小声で言った「下手くそ」にはとても傷付いた。本人は聞こえていないとでも思っているのだろうが、聞こえてしまったのだ。それからというもの、運転する気力なんで湧くわけがなかった。運転免許証は身分証へと早変わりしてしまった。
ようやく雪が溶け、自転車に乗れる時期になったので久々に漕いでみた。少し体力は使うけど自動車より安全じゃないか、と思ってしまった。また、友達とぶらぶら歩いていた時は自動車よりよっぽど安全だと思っていた。自動車運転する必要性がない。
同じ時期に自動車免許を取得した友達(女)が車を買ったと連絡をくれた。その人は4月から県を離れて仕事することになるため、親の車を借りるには無理になったからだ。
乗ってみたいと言ったら快く引き受けてくれた。
待ち合わせ場所にはピカピカな車があった。「新車?」「まさか」「でもすごい綺麗じゃん」「その分性能は少ない」「なるほど」
そんな会話からドライブがスタートした。お互い夜まで何も要はないのでいろんなところ回ることにした。
夜になり、そろそろお開きにしようと私が言ってドライブが終了した。
久々に人と喋ったなとホクホクしながら布団に入った瞬間メールが届いた。
片思い相手の親からだった。服のチェーン店で働いていて組み合わせの仕方など教えてもらうため連絡先を交換していた。
本文「○○(←子の名前)ふさぎこんでるし泣いてる」
Re「どうしたんですか?」
ReRe「彼女できた?」
ReReRe「いませんよ。どうしてそう思ったんですか?」
ReReReRe「(その日ドライブ連れてってくれた人)と2人で遊んでるのをみた」
頭を抱えた。
高校を卒業し、大人への第一歩を踏み出そうとするその気持ちの浮かれが引き起こしたのだと反省した。
全ての事情を話し、念のため片思い相手にも全ての事情を話した。彼女は「気にしてない」の一点張りだったが、その返答の裏には「敗者の遠吠え」だと思ってるに違いないと思った私は涙を流した。
いやそもそも、高校卒業まで脈なしだった相手が、私と女性とが遊んだことが彼女を泣かせた理由にはならないはずだ。そう思って開き直った。
高校に入ってから恋人を意識するようにはなったのだが、相手の考えていることを考えることは不慣れだった。一人が楽。でも人肌が恋しい。めんどくさい人間。私。
相手のことを考えるよりも相手の考えの裏を突くことに長けていた。スポーツは相手の裏を突く人が有利になりやすい。そのため癖がついてしまった。
別日。
買い物先で彼女とあった。
とっさに出た言葉は「ごめん」だった。
「いや気にしてないよ本当に!」
やっぱり、一度失った信頼を戻すのは難しい。
5分ほど喋って私と彼女はその場を後にした。
私に信頼を失ったのはこれで2人目になるのだろうか。
そればかりが私の胸を傷つける。
人と喋ってこれほど凹んだのは久々だ。
そんなこんなで故郷を離れる日がもう明日まで来ていた。
やり残したことはないか、と家族に言われ、やり残してないことの方が少ないと告げた。
新生活の準備も整い、明日から故郷を離れる。
新生活先でも元気でいられるように願おう。
携帯の着信がなった。
彼女からの電話だった。
「もしもし」
『もしもし、ごめんね遅くに』
「大丈夫だよ。どうしたの?」
『あの…話したいことがあって』