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第8話 激闘!?そして・・・的な話

某運営~


「チュートリアルを終えたプレイヤーが続々と降り立ち始めました。」


「うん。順調に進んでるな。さて、これからどんなこ「主任!大変です!」と・・・どうした!」


「今何人かのサポートAIから連絡が入ったのですが、一部のプレイヤーの戦闘訓練の魔物にあり得ないような奴が出てきたと!」


「あり得ない奴だと?」


「はい!主にβ時代の上位ランカー達にですが、”ゴブリンジェネラル”や”オークナイト”などが出てきたと!」


「!Lv1じゃとうてい勝てないような奴らじゃないか!」


「しかも、ランク1位だった”迅雷無双”の下には有翼種のユニーク〈フシュカ〉が、ランク2位の”笑う鍛冶師”にはオーガのユニーク〈ガンガディ〉が来たそうです・・・。」


「な!ユニークの中でも上位の奴らじゃないか!何故そんなことに・・・。」


「それが・・・〈姫〉達が許可を出したようで・・・。」


「・・・〈姫〉公認か・・・ならこちらは何も出来ないか・・・。あとでそれらのプレイヤーに謝罪のメールと何か送っておいてくれ。」


「判りました。」





『デハ、ユクゾ!』


ガンガディが右手に持つ棍棒を横凪に振り抜いてきた!

それを極端な前傾姿勢でかわしながら前に走り込み、瞬間延びた相手の腕の肘の辺りに抜き打ちを叩き込む。


ギンッ!


凡そ生身を刃で斬ったとは思えない音がした。目の前の相手は見た目から全身筋肉っ!と主張しているような外観をしているからそれなりに想定したことではある。


抜き打ちの勢いを殺さずに回転しながら相手の脹ら脛に一閃を叩き込む。


ギンッ!


やはり同じ音がした。相手のHPは1ミリも減っていない。双方のLv差やこちらのスキルの熟練度などを考えれば当然の結果だろう。


踏み込んだ足に力を込めて全力で後ろに飛び下がる。直後、今まで自分の頭のあったところを返しで振り抜かれた棍棒が通り過ぎた。あと1瞬でも遅ければ頭が吹っ飛んでいただろう。


(やっぱり、全く通らんなぁ。硬すぎて擦り傷にもなってへんわ。まぁこの時点で名持ちとまともに戦えるわけ有らへんから当然やろな。)


ガンガディが訝しげにこちらを視ている。


(次はいっちょこっちから行ったろか。)


刀を両手で持ち、左下段に構えながら走りよる。相手が其れを視て棍棒を振りあげたのを確認し、前傾姿勢をとり更に加速する。棍棒が振り降ろされた瞬間、左足に力を込めて右前方に進路を変え相手の左側を駆け抜ける。

その瞬間逆袈裟、袈裟切り、一閃を左膝に叩き込む!


ギッギッギンッ!


やはり同じ音が響いた。相手のHPは1ミリほど減っていた。


背後で棍棒が地面を穿つ音を聞きながらそのまま走り抜ける。4メートルほど離れた後振り返り、両手で青眼に構える。


~~~~~


それからしばらく攻防を続けていると


『ドウイウツモリダ。』


振り向きもせずガンガディが唸るような声を出した。


「なにがや?」


『貴様、ナゼ本気ヲダサナイ?我ヲ愚弄スルツモリカ?貴様ノタマシイハソンナモノデハナイハズダ!』


怒りを露わにしながらガンガディは振り向いた。眼力だけで殺せそうな威圧を放っている。


「悪いけど、これが今の俺の本気の全壊や。」


『ナニ?』


相手の顔に戸惑いが浮かぶ。自分の見込み違いか?と思ったのだろう。


「アンタみたいな強者に評価してもらえるんは嬉しいけどな、俺はまだこの世界に来たばっかりの、冒険も始めてないようなペーペーや。言い訳するわけやあらへんけど、力も弱いし体力もなにもかも低い。刀もナマクラ言うほど酷いわけや有らへんけどそれに近いようなモンや。そやからアンタの防御抜けんとかすり傷与えるんがやっとや。」


『ソウイウコトカ。』


「あぁ。アンタの期待に応えられんで悪いけどな。」


『イヤ。我ガサキバシリスギタノダロウ。ダガ、コレカラ強クナルノダロウ?』


「そのつもりや。どんだけ行くかは判らんけどな。」


『コノ世界ヲ旅スルナラバ、フタタビマミエルコトヲ楽シミニ待ッテイヨウ。』


「いつまでかかるか判らんで?もしかしたらアンタを失望させてまうかもな。」


『フ、オマエハ必ズ強クナル。ソノ魂ノ高ミマデ。』


そう言ってガンガディは愉しそうに笑った。


『フム・・・、サイハヨ、コレヲヤロウ。』


そう言って何かを投げ渡してきた。どうやら何か鉱石の様だ。


「なんや?鉱石みたいやけど、こんなモン貰うような理由あらへんけどな?」


『ナニ、迷惑ヲカケタ詫ビダ。我ニハ大シタ価値ハナイガ、オ前タチ人ノ子ニハ使イ道ガアロウ。必要ナケレバ売ルナリスレバイイ。』


「別に迷惑とは思てへんけど、そう言うことやったら貰とくわ。此で作った刀でアンタに再挑戦するんも一興やしな。」


『フフ、ソレハ愉シミダ。デハ、マタ逢オウ!サイハヨ。強キ魂ヲ持ツ人ノ子ヨ!』


光に包まれ消えてゆく。其れを見送った直後、


「ふぅ・・・しんど・・・」


体がふらつき、しゃがみ込んだ。


『サイハさま!』


トロワが慌てて飛んできた。


『大丈夫ですか!どこもお怪我されてませんか!?』


「俺は大丈夫や、喰らってたら怪我どころか1発昇天やろからな。」


『申し訳有りません、この様なことになって。サポートすら出来なくて・・・。』


トロワは視て判るほど落ち込んでいた。専属サポートとして、サイハをこれほどの危険にさらしてしまったのが堪えているようだ。


「ん?別にトロワが謝るようなことでもないやろ?お前さんが対戦相手決めたわけでもあるまいし。それに戦闘のサポートなんか許されてへんやろ?」


『それはそうなのですが・・・。』


「ならええやん。俺もこの通り無事やし。そやからこの件はこれで仕舞や。謝ることも要らんよ。そんな悲しそうにされたらこっちもかなわんわ。」


『サイハさま・・・。はい!判りました!反省はこれまでにします!コレカラは全力でサイハさまをサポートさせていただきます!』


笑顔になり、フンス!と鼻息も荒くガッツポーズをするトロワ。


{フフ・・・}


(ん?)


なにか笑い声のような物が聞こえた気がした。


「トロワ、今なんか聞こえへんかったか?」


『え?いえ、特になにも。』


「そうか、ほんなら気のせいやろ。さて、これでチュートリアルは終わりか?」


『あ、はい!大変なイレギュラーは有りましたが、以上でチュートリアルは終了です!お疲れさまでした!』


「あぁ、お疲れ。心の底からお疲れって言葉が飛び出してくるわ。」


『ふふ!本当ですね!ではこれより始まりの街”ステイ”にお送りします!最初は街の中心である噴水広場に出ますが、先ずは自分の使いたい武器の道場に入門されることをお勧めします!今はチュートリアルで使うアーツも少ない道場に仮入門の状態になっていますので!』


「了解や。」


『それでは!ようこそ〈セレスフォニア〉へ!サイハさまの冒険が素晴らしき物に成りますように神々の祝福がその身に在らんことを!』


自分が光に包まれる。


「ありがとうな、トロワ。」


そして意識が途切れた。


~~~~~


「誰かPT組んで狩りにいきませんか~!」


「PT組んでくださ~い!」


「人多いな!」


「すげぇ!リアルだ!」


「ふぅははは!我と共に踊りを極めようではないか!」


「「「ぎゃ~!変態が出た~!」」」


・・・覚醒したときには喧噪に包まれていた。PTに誘う者、友達を捜す者、世界のリアルさに感動する者、アンダーウェア1枚で踊り狂う変態紳士等々、凄まじく賑やかだ。


〔メールを受信しました〕


いきなりメールが届いた。差出人はグランツとカゲミツだ。内容を要約すると、”さっさと待ち合わせ場所に来い”と言うことだ。時間を確認すると19:52で、待ち合わせ時間を大幅に超えていた。とにかく待ち合わせ場所の道場に向けて歩き出す。


多くの喧噪を背後に聞きながら歩くこと凡そ5分。待ち合わせ場所が見えてきた。通りにはそれなりに人が歩いているが、道場の前には2人の人影があるだけだ。こちらを見つけた人影が手を振りながら叫んでいる。


「遅ぇ~ぞ!あ・・・じゃなかったサイハ!こいつと2人きりにするなよ!めちゃくちゃ疲れるんだぞ!」


「失礼な奴だな、グランツ。僕がなにをしたって言うんだ。それはそれとして、ずいぶんと時間がかかったなサイハ。何かあったのか?ウィスパー飛ばしたが届かなかったが。」


「おう悪い悪い。ちょっとしたイベント在ってなぁチュートリアル終わったん今さっきやねん。」


「何かしたか?って俺をイジリ倒しただろうが!それよりサイハ!イベントって何だ?チュートリアルでそんなの在ったか?」


「イベント?」


「まぁその前にさっさとフレ登録済ましとこ。」


「おう!」「そうだな。」


サクッとフレンド登録を済ませた。


「で?イベントとは?」


「それがやな、戦闘のチュートリアルの最後に魔物と戦うやん?あれ2人はなにと戦った?」


「俺はゴブリンメイジだったな。遠距離の魔法はやっぱり鬱陶しいな。まぁ楽に勝てたけどな!」


「僕はオークファイターだったな。普通のオークよりは強いが、ゴブリンより足が遅いから初級魔法の連発で危なげなく勝てた。サイハは?」


「俺は、〈ガンガディ〉言うとったな。」


「は?」「ん?」


「そやから、ガンガディ言う名付きのオーガやった。」


「な!?」「ネームドの、それもオーガだと?」


「おう、なんやイレギュラーらしいてな、トロワがえらい慌てとったわ。」


「名付きのオーガもそうだが、トロワとは誰だ?」


「そういや知らんわな。サポートAIや。キャラクリの時のサポートAIに名前付けたらそんなことする奴珍しい言うて運営が俺の専属サポートAIにしたらしい。」


「わざわざAIに名前付けたのか?確かに珍しいわな。」


「トロワとやらのことは其れでいいとして、なぜチュートリアルの戦闘訓練でネームドが出てくるんだ?しかもオーガだなんて。」


「そうだよな!いったい何やらかしたんだ?」


「何もやらかしてへんわ、グランツやあるまいし。トロワがパニクってたから完全に想定外なことやったみたいやな。なんかどっかに連絡してたみたいやから、運営あたりに確認してたみたいではあるな。」


「俺じゃ有るまいしってどういう事だよ!?しかし、オーガのネームドと戦ったんだろ?良く無事だったよな!」


「まぁ、ずっと凄いプレッシャー喰ろとったけどな。何回か攻撃当たったけど、なんやゴーレム斬ってるみたいな音しとったわ。」


「チュートリアルも終わってないような最弱状態でオーガと、しかもネームドとまともに戦えるわけがないな。」


「それで、向こうが「なめてんのか?」みたいなこと言うてきたから「これが今の全壊や」言うたら、「強なってこい」って帰らはったわ。いや~生きてるてスバラシイなぁ。」


「ま!乗り越えたから良かったじゃないか!終わりよければすべて良しってな!」


「おおぅ。なんやトモが難しい言葉をドヤ顔で言いよったで。ちょっとイラっと来たわ。」


「トモ・・・無理にそんな言葉使わなくてもいいんだぞ?いきなり頭をフル回転させるから煙が出てるじゃないか。」


「お前等!人をバカみたいに言うな!煙なんか出てねぇよ!」


「さて、ほんならそろそろギルド行って登録しよか。」


「そうだな。少しは空いてるといいんだが。」


「お前等~!スルーすんな~!」


2人と合流して平常運転が戻ってくる。相変わらずトモはイジリ甲斐の在る奴だ。ギルドへ向かって歩き出す2人をトモが叫びながら追いかける。ここから遂に飛鳥と仲間たちの冒険が始まる!


「あ。ギルド行く前にここの道場で入門済ませな。」


・・・本当に始まるんだ!

第8話、お送りします。

纏めるのが下手で、少々長くなってしまいました。


・・・それにしても戦闘シーンは本当に難しいですね!こんな短いシーンで此だけ難儀してたら此からどうなるんだろうか・・・。


第9話でやっとフィールドに出ます!妹達の登場はもうちょっと先になりますかね。

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