第32話 謎の一端。その後ステイへ!・・・的な話
いきなりハクが実体化した。
「どないしたん?」
「なんだなんだ?」
「どうしたんだ?」
おれが突然ハク(召喚獣)を出したから2人が驚いている。
「いや、ハクがなんや感じ取ったみたいなんやけど。」
そんなことを話していると、ハクが真ん中の通路を進み始めた。
「とりあえず、着いてってみよか。『ほんまにどうしたん?』」
『この通路の奥に、何かあるようです。』
警戒しながら聞いてみると、この通路の奥から何か気配のような物を感じ取ったらしい。俺の【走査】にもひっかからない”何か”を。
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そのまま歩き続けると、なぜか全くmobと遭遇することなく”広間”の前へ到着した。
「へぇ、ここがサイハが言ってた広場か~。此処に何かあるのか?」
グランツがそういいながら”広場”に入ろうとした瞬間。
「止まれ。」
その声を聞いた瞬間、グランツはフリーズしたように立ち止まり、2歩下がりおそるおそる後ろを振り向いた。
声を発した人物の横で、カゲミツも驚いた表情を向けていた。
声を発した人物は当然サイハだ。2人が驚いている原因は、サイハの声が普段聞いたことがない低く冷たい有無を言わせない声だったからだ。
「な、なんか気に障ったか?」
恐る恐る聞いたグランツに
「ん?・・・あぁ、すまん。それ以上進んだら確実に死ぬから止めただけや。別に気に障ったとかやないで。」
あっさりと普段の様子に戻って言った。
『マスター?』
『すまんなハク。今の俺らじゃこの先は無理や。無駄死にするだけやな。』
ハクと念話していると、
「確実に死ぬってのはどういうことだ?この先に何か居るのか?」
「僕も聞きたいな。僕の感知系統にはなにも反応ないけど。」
2人が聞いてきた。まぁ当然だわな。
「俺の【走査】にも特に反応無いよ。強いて言うならリアルの第六感が全力で「進むな。」ってシグナル上げてるんや。」
βの時はなかったから、正式公開で追加された何かやろな。そうつぶやいた俺を見て2人が顔を見合わせて1つ頷いた。
「そっか。おまえの第六感ならそれに従った方がいいな!」
「そうだな。君のいざというときの勘の鋭さは実証されているからね。」
2人ともそういって納得してくれたようだ。俺の勘にはそれなりの信頼度があるらしい。
「さて、目当てのブツも手に入れたし帰ろか。あ、これ渡しとくわ。」
そういってインベントリから珠みたいな物を取り出して2人に手渡した。
「これは?」
「”転移珠”や。」
”転移珠”。名前の通り転移するためのアイテムで、主に街にある”ゲート”に一瞬で移動出来る優れ物。
ただ便利な反面それなりに高価な為、ゲーム開始序盤はあまり購入も出来ない代物でもある。
「転移珠!?いいのか?そんな高いモン貰っても?」
「おう、何か最初の特典の中に幾つか入っててな。ため込むもんでもないしさっさと帰りたいしな。」
「なら遠慮なしに使わせて貰うか。」
「んじゃ、ステイに戻るで。”転移”!」
3人の体が輝きに包まれ、収まった頃には消えていた。
長らくお待たせしました!第32話やっと更新しました!
この後内容的には進んでいくのですが、更新は時間が掛かると思います。
(仕事で疲れ果て、気力が・・・)
当然更新は続けるので、引き続き読んでいただければ幸いです。