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閑話 その頃他のメンバーは・・・グランツの場合

『ちょっと休憩しましょうか。誰も見ていませんし。』


「メタな発言はやめんかいな。」


「ウォフ・・・。」

さて、サイハが森でフェンリルさんと激闘を繰り広げている時に他のメンバーが何をしていたかというと・・・。


sideグランツ


「さってと!アイツ等もう集まってるかなっと!」


サイハ、カゲミツと別行動を選んだグランツは、ある場所へ向けてのんびりと歩いていた。向かう場所は、β時代のクランメンバーの所だ。

〈クラン〉とは、プレイヤーが集まって作る集団のことで、他のVRMMO等では〈ギルド〉と呼ばれていたりする。当然冒険者ギルドや職人ギルド等とは別物だ。〈クラン〉を組む利点は幾つかあるが、その中でも1位はやはり”クランホームの取得”にあるだろう。

〈クランホーム〉とは、その名の通りクラン毎に与えられる建物で、基本クランメンバー以外が進入することが出来ない準プライベートエリアの事だ。その中に、メンバー個人のプライベートエリアや鍛冶場などのメンバー専用の施設が設置されている。(ただし、それら施設は最初から設置されている物は簡易なもので、クランのランクを上げれば施設のランクも上げることが出来るようになっている。)

これがあれば、安全にログアウトするための宿代を節約できるようになるのも細かなメリットだろう。


「ん?お前はあん時の・・・。」


「んあ?」


前から歩いてきたおっさんに、いきなり声をかけられた。


「・・・誰だっけ?」


「・・・お前大丈夫か?逢ってからまだ数日しか経ってねぇぞ?」


目の前のおっさんが盛大に溜息を付いた。何だか呆れられてしまったようだ。


「ハァ・・・ガラドだよ。お前等がギルドで登録したときに逢っただろうが。」


登録したとき?なんかアイツ等にイジられたのは覚えてるんだが・・・。いや・・・あん時誰かに絡まれたような・・・?


「あぁ!あの時なんか絡んできたおっさんか!装備着けてなかったから気が付かなかったぜ!」


「誰がおっさんだ!俺はまだ24だ!それに俺はここにホームが在るんでな。休みの日まで武装するほど治安が悪いわけでもないし酔狂でもないんでな。」


あの時は金属補強されたハードレザーに身を包みグレートアックスを背負っていたが、今日はソフトレザーの服に腰にショートソードを装備しているだけだ。そんな事より・・・。


「24!?嘘だろ!?どう頑張ってみても30後半にしか見えねぇよ!」


「よ~し!面白ぇこと言うじゃねぇか!あん時の続きだ表ぇ出やがれ!」


「上等だ!泣かしてやんよ!」


一触即発の空気の中!


バンッ!


「手前ぇらさっきから人の店の前で喧しいんだよ!喧嘩してぇんなら余所でやれ余所で!」


ゴンッ!ゴンッ!


「「ごめんなさい!!」」


武器屋のおっちゃんに殴られた。


~~~~~


「ってぇ~・・・相変わらず馬鹿力なんだからな武器屋のおやじは・・・。」


武器屋のおやじに殴られた頭をさすりながらガラドが愚痴をこぼす。


「アンタのせいで俺まで巻き込まれたじゃねぇか・・・。」


同じく殴られた頭をさすりながらグランツが呟く。


「んだとぉ?」


「ああん?」


今度こそつかみ合いに発展するのか!?しかし、そうは成らなかった。何故なら・・・。


「・・・アンタたち・・・まさかアタシの店で喧嘩おっぱじめようってんじゃないだろうねぇ。」


目の前に笑顔の般若がいた。


「「イエイエソンナメッソウモアリマセン!!」」


「ちょっとした口喧嘩ですよ!」「そうそう言葉のやり取りです!」


必死に言い訳する強面の男2人。本当に必死である。


「血の気が多いのは結構だけどね、ここでの喧嘩は御法度だよ。ほら、注文の品だ。ガラドは昼間っから飲み過ぎるんじゃないよ?」


「「アザ~ッス!!」」


早速来たグラスに口を付ける。


「うめぇな!」


さわやかな柑橘系のドリンクだ。甘ったるくなく、喉越しも良い。


「だろ?」


おっさんはビールみたいな酒を頼んだらしい。うまそうに口元に泡を付けている。


「そういやお前・・・グランツつったか。何処か行くのか?」


「おう!仲間とクエストにな!」


「仲間って、あの時の2人か?」


「いや、アイツ等じゃねぇよ。昔のクランの仲間だ。」


そう言うと、おっさんは驚いたような顔をした。


「お前もうクラン組んでんのか!?まだ登録したところだろ?」


「だから”昔の”クラン仲間だっつったろ?まぁたぶん近いうちに新たに組むだろうけどな。やっぱホーム欲しいしな!」


そう言うと、何かを思い出したように納得した顔になった。


「そう言えばお前等は〈帰還者〉だったな。消える前の仲間って事か。」


「そう言うこった。」


「ん?ならあの2人はクランメンバーじゃないのか?」


「アイツ等はクランメンバーと出会う前からの親友だよ。人をイジりまくりやがるけどな!」


「そ、そうか・・・なんか大変だな・・・。」


なんか知らんが同情された。まぁいいや。


「おっと!俺はそろそろ行くぜ!これ以上待たせたら何言われるか解らんからな!」


「お!そうか。ならここは先輩が奢ってやるよ!」


「マジか!アザ~ッス!」


「んじゃまたな!あの2人に宜しくな!あと、今度暇なときに一緒にクエストでもやろうぜ!」


「いいなそれ!んじゃまたな~!」


挨拶を交わして店を出た。ちょっといい気分に浸りながら仲間との待ち合わせ場所に急ぐ。


~~~~~


それから10分ほどで待ち合わせ場所が見えてきた。そこには、男3人女2人の計5人が待っていた。


「わりぃ~遅くなった!待たせたな!早速行こうぜ!」


俺は早く暴れたくてウズウズしながらそう声をかけた。


「遅ぇぞてめぇ!」


「待ちくたびれたよ。」


「あらあら、相変わらずルーズなんですねぇ。」


「・・・ぎるてぃ・・・。」


「ま、まぁまぁ。彼も悪気があったわけじゃない・・・と思うし、待ち合わせに遅れてくるのはいつもの事じゃないか。大目に見てあげ・・・ってグランツ!?どうしたの!?」


「・・・相変わらず無自覚に一番抉るよな、お前。」


「・・・え?」


そこにはそれは見事なorzを披露するグランツの姿があった。



サイハが激闘を繰り広げている裏側の仲間たちを覗いてみました。

グランツの仲間の5人とも全員、嘗てのランク15位以内に入ってる実力者たちです。(内1人は七舞衆の1人です)

本当はこの1話で他の仲間も書こうと思ったのですが、長くなってしまったので、それぞれに1話割り当てることにしました。

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