第23話 続くよ!・・・的な話
~某運営チーム~
「主任!大変です!」
「どうした?」
「フェンリルが”笑う鍛冶師”に接触しました!」
「・・・また彼か・・・。不具合は?」
「いえ、特に出ていません。」
「って事は、承認されてるって事か・・・。どれだけ〈姫達〉に気に入られてるんだか。・・・良い事か、悪い事かは別問題だが。」
「どうしましょうか?」
「承認されているんならどうしようも無いだろう。とりあえず、チェックはしておいてくれ。」
「了解です。」
フェンリルさんがこちらに向かって駆けだした!広場の真ん中を過ぎた辺りで飛びかかってくる。其れを確認して俺もフェンリルさんに向かって駆けだした。
その勢いに乗ったまま右前足での凪ぎ払いを仕掛けてきた!
ブォン!
先程まで自分の上半身が有った場所への凪ぎ払いを前傾姿勢になることで辛うじて避け、そのままの速度でフェンリルさんの腹の下を駆け抜ける!
ザンッ!
駆け抜ける勢いのままに、右後ろ足へ抜刀からの《一閃》を叩き込む!
ブォッ!ザンッ!
そのまま駆け抜け前方に転がって左後ろ足からのけりを回避し、転がりながら左後ろ足を斬りつけた!
ソコからさらに1回転して跳ね起き、5mほど走ってから振り向き刀を構える。
「いきなり殺る気マンマンやん。プレッシャーがハンパないなぁ。」
『あの状況でしっかり反撃しておいて良く言いますね。良くて回避だけだと思っていましたよ。しかも2撃も。』
そう言いながらこちらに向き直るフェンリルさん。
「こっちゃ必死やからなぁ。それにかすり傷程度しか与えられてへんし。」
チュートリアルのガンガディの時とは違い攻撃が通らないなんて状態こそ起こらなかったが、今の2撃でせいぜい5%程HPを削れた程度だ。最初の《一閃》で3%、次の攻撃で2%削ったようだ。
「どう考えても俺に分が悪すぎるんちゃうか?」
『本来ならば、そのレベルではこちらに攻撃を当てることすら出来ないと思いますよ?仮に当たったとしてもこれだけのダメージを与えること事態出来ないのですよ?』
「まぁ俺は鍛冶師やからなぁ。」
すっとぼけて一見関係ないようなことを言ってみる。
『?ちょっとなに言ってるのか解らないのですが・・・。』
馬鹿にされていると思ったのか、若干ムッとしたようだ。まぁ普通は解らないだろうなぁ。まだ戦士だと言われた方が理解できるかもしれない。
「あぁ、勘違いせんといてや。別におちょくってるわけやないから。この世界の住人の職人はどうか知らんけど、俺らみたいな鍛冶師はな、力とか器用さとか高いねん。もしかしたら、其れこそ本職の戦闘職以上にな。」
〈Diva〉の様々な数値は、様々な要因で増減する。まずは、レベルアップによる増加。これはレベルアップまでに行っていた行動に即したパラメータの数値が上がる。次にレベルアップ時に手に入れたBPを割り振る。これは自分の好きな数値を上げることが出来る。最後に、戦闘や生産など行動によっても上がる。例えば、戦闘で武器や生産で鎚を振るうと力が上がる、弓を射れば器用さが上がる、等だ。他にも走れば持久力が上がり、本を読めば知識が上がる等、様々な要因が絡む。
『へぇ、初めて知りました。それはそれとして・・・。』
フェンリルさんがそう呟いたと思ったら、なにやら冷たい微風が吹いてきた。
・・・いや違う・・・これは・・・風が吹いてきたんじゃなくて、周りの気温が下がっているのか。
よく見ると、フェンリルさんの足下の草に霜が降りている。この突然の気温低下は、フェンリルさんが原因のようだ。
『そろそろ続きを始めましょうか。』
爛々と輝く瞳が、こちらを見据えていた。
遅くなりました。
と言うわけで、フェンリルさんとの戦闘シーン最序盤です。
できれば、次話で戦闘は終了させたいと思ってます。